あーあ、完成披露試写会、行きたかった
ずっと心待ちにしていた作品。
やっと鑑賞。
ちょこっとあらすじ
一緒に住んでいるミュージシャン志望の恋人の夢をかなえるため、ツチダ(臼田あさ美)がキャバクラで働き生活を支えている一方、曲が書けないせいいち(太賀)は仕事もせず自堕落に過ごしていた。しかし、ツチダがキャバクラの客(光石研)と愛人関係になり、生活費を稼いでいることを知った彼は改心して働きだす。一方、今も好きな元恋人ハギオ(オダギリジョー)と再会したツチダは、彼との関係にのめり込み……。(シネマトゥデイより)
感想
ここ数年、マイブームの太賀、それに、ずっと大好きなオダギリジョー、そして臼田あさ美。
太賀と臼田あさ美、どんな恋愛映画になるの?
原作は未読です。
臼田あさ美?太賀と同い年やるには年違い過ぎない?15年ぐらい前なら臼田あさ美の役どころ、市川実和子だろうな、と勝手なこと思いながら、観始める。
多分、普通。
多分、わたしたち、みたい。
多分…
多分…
って、共感できる。
多分、みんな、どっかで、シンパシー感じられるような作品だと思う。
普通の日常。
普通にやってくる毎日…
不意に刺さってくる日常
妙に生々しい
でも、毎日が普通にやってくるわけぢゃない、って気づかせてくれる。
脆く壊れやすい日常は、当たり前に続いていくわけぢゃないんだよ。
『わたしたちはもう終わっているのかもしれない。』
わかってても敢えて口にだしはしない。出したらホントに終わっちゃいそうだ。
『でも、わたしたちにはこの部屋のほかに行くところがない。わたしたちにはお互いしかいない』
って思ってるのは、壮大なる勘違いだ。行く場所なんていくらだってあるし、男なんて(女だって)35億もいる。
男の才能の信じ、男の夢を、自分の夢と、すり替えて、男に尽くす女…
音楽を理由に働かない男。でも、くだらないこだわりが邪魔してニッチもサッチもいかない。そんなジレンマ。(この葛藤が、うまいんだな、太賀。)
『自分がなんにもないからってひとに便乗すんなよ』
『な…によそれ
なんにもないから便乗するってなによ
お金とってきて生活支えてんのは誰よ
便乗してんのはあんたのほうじゃない
あんたがやりたいその音楽のせいであたしまでふり回されてんじゃないッ』
『な…によそれ
なんにもないから便乗するってなによ
お金とってきて生活支えてんのは誰よ
便乗してんのはあんたのほうじゃない
あんたがやりたいその音楽のせいであたしまでふり回されてんじゃないッ』
自分はなにもない?自分がないダメダメな女と、クズな男たち。
男たち…
そう、今カレと元カレの間で揺れるダメダメなオンナ。
今カレのことは好きだけど、1番好きなのは元カレ?
でも、そうでもない、寂しいから一緒に暮らしてて、生活の面倒もみてる今カレとの生活を守りたくて売春までしちゃう女を愚かだというのは簡単だけど…
うまく言えないけど、惰性かもしれないけど、離れたら、アタシ、どうなっちゃうんだろ?どこ行けばいい?だから一緒にいる。お互いがお互いを必要としているんだから、コレはコレでいいのではないか?共依存だよね。わたしもそういうとこあるけど…
恋愛って、どんだけダメな部分も愛せるか?だと思うんだけど、だけど愛するのは簡単だけど、それだけぢゃ意味がない。はっきりダメなモノはダメってケジメをつけられないと進歩もないし、発展もないし、ミジメだ。
これは特別なぢゃないし、等身大の普通に都会に彷徨ってる普通のカップルの日時を切り取った恋愛映画。
いつから、こうなっちゃったんだろうね…
ハッピーエンドではないけどラストは妙にすがすがしい。
そして、兎に角、太賀がいい。もう、ルックスと声のギャップ、好みなのだ。ずっとオダギリジョーの顔が好きだったが、もう全然、わたしの中で、オダギリジョーを凌駕しているのだ。
冨永昌敬監督って言ったら、野たれ死ぬのも、人生。そんなのを鮮烈に見せつける『ローリング』も併せて観たいよね。
剥き出しの生を感じると同時に、それでも生きようとする、生きることに一生懸命な大人は見苦しいほどに、愛おしい。
転がって、漂って、静かに眠る…(『ローリング』短評)
この表情、たまらないでしょ
【73点】
2017.12.13 新宿武蔵野館