いつまで経っても、のらりくらりな永吉に父は怒り、派手にケンカをするが、なんだかんだありつつも、2人の結婚を祝う宴会を開く。しかし、その夜、永吉は倒れてる父を発見。病院で告げられた検査結果はガンだった。動揺を隠せない5人の頭に渦巻く「どうする!?」 何をするのが正しいのかわからないけれど、不器用にぶつかりあいながら、喧嘩したり笑い合って離れた時を埋めていく。
家族がガンだと聞いたら、誰だって悲しい気持ちになると思うし、動揺すると思います。
けど、この映画は、『悲しいのが当たり前』という常識を覆すくらいに笑いに溢れてました。
命に向き合う時、笑ったら不謹慎って思っちゃいますが、初めてでした。
命に対して、笑いながら泣いたのは。
映画だから笑うのが許せるとかじゃなくて、命に対する向き合いかたや寄り添い方はそれぞれで、沢山笑える瞬間に包まれた命があってもいいんだよねと気付かされました。
父親がガンを疑う瞬間も笑っちゃうし、死ぬまでにしてあげたいことを家族がなんとかかんとか考えて実行するのも笑えるし、その愛は切なくも暖かくて、私の死んだ祖父を思い出しました。
私の死んだ祖父は亡くなる前に、
『戒名はクソジジイくらいが丁度いい。
俺が何を思い、何を考えながら生きたかなんて、年に数回しか会うことがなかった和尚さんに、適当な漢字で戒名というもので綴られても、どうせ誰も戒名なんて覚えちゃいねぇ。
死んだ時のこと、死ぬ前のことを思い出されるより、生きて馬鹿みたいに笑った時間を思い出してくれるほうが俺にとっては大事なんだよ。
命日を数えるくらいなら、一緒に笑った誕生日を思い出して欲しい。
だから、俺にはクソジジイが丁度いいんだ。
クソジジイだったら、忘れないだろう?』
最初、クソジジイだなんてと祖父の言葉を聞いた時、思いましたが、真意を尋ねたらこう返ってきたので、なるほどなぁと思いました
この映画には至るところに、家族のボケや愛が詰まってます。
それは、悲しみの中で病気と向き合うんじゃなくて、家族にとってのいつも通りと、笑いに溢れる時間を大切にするっていう1つの答えだったんだと思います。
いつを切り取って思い出しても、笑えるようにっていう。。。
最後の最後まで笑ってしまいました。
息子に永吉と名付けるくらいの矢沢永吉ファンの父親を柄本明さん、モヒカンの売れないバンドマンを松田龍平さん、熱狂的なカープファンの母親をもたいまさこさんが演じられてるからこそ面白いです。
会話1つ1つの間が面白いです
穏やかな昼下がりにオススメの映画です
ー映画『モヒカン故郷に帰る』ー
広島先行2016年3月26日公開
全国2016年4月9日公開