映画『100回泣くこと』 | 私の大好きな日本映画たち

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映画(邦画)が好きで、時折映画館で観にいったり、レンタルで借りて観たり^_^
私のオススメしたい映画を、このブログの中で紹介していけたらと思ってます!

映画館へ行こうかな…とか、レンタルショップで何借りようかなぁと思った時の参考にしてくれたら、嬉しいです!

あらすじ
4年前に起こしたバイク事故で記憶の一部を喪失した藤井(大倉忠義さん)は、友人の結婚式で出会った佳美(桐谷美玲さん)と交際をスタートさせる。交際間もなくプロポーズした藤井に、佳美は1年間は結婚の練習をしようと提案。そんな幸せ絶頂の最中、佳美を病魔が襲う。実は、佳美が練習期間と言い出したのには理由があり……。


 私がこの映画で1番泣いたシーンは、意外にもヒロインの父(大杉漣さん)のシーンでした。
  この映画は、記憶喪失の彼である藤井君と、病を抱えながらも懸命に生きる佳美さんの姿と、二人が育む愛しい時間をゆっくり時間をかけて映してる作品なので、ヒロインの父が登場するシーン、セリフは映画全体の中ではそんなに多くはありません。

 それでも、1番泣いたのには訳があります。


 ここから先はネタバレになると思われます。
 それでも、書かずにはいられなかったので、自分の心のままに書かせて頂きます。

 ネタバレOKの方のみ、お進み下さい。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 病魔に襲われてる娘の元に彼氏が現れた時、父として娘の今後を考えて『別れて下さい』と頭を下げるシーンは、様々なドラマや映画でも目にしたことがあります。
 でも、この映画での、父親が『別れて下さい』と頭を下げるシーンには、この映画でしか感じることの出来ない、特別な印象を持ちました。

 それは、このヒロインの父親が沢山の愛と葛藤を感じているというのを、涙目で頭を下げるシーンから強く感じたからです。

 彼氏がどれほど娘を愛しているか知ってるから。
 彼氏が過去に娘に対してどうであったかを知ってるから。
 彼にも娘にももう2度と傷ついて欲しくないから。

 何よりも二人が二人をよく知っていて、相思相愛であることを知ってるから。

誰よりも娘の側にいて欲しい彼氏だと父として彼を1人の人として大事にしている。
娘にとっても彼の存在がどれだけ大きいかも知っている。


 娘がどんな病気でも、絶対治るって父として信じてる。

 だけど、もしもがあったらって考えた時に誰1人傷ついて欲しくない。
 悲しい過去を作って欲しくない。
 一緒にいた時間が愛しいぶん、その先の未来を生きることを辛く思って欲しくない。

 そんな、2人を1人1人のそれぞれの人間として愛してるんだということを、たった一言の『別れてください!』と頭を下げる姿に沢山詰まっているのを私は感じて、映画館でこのシーンで1番泣きました。


 父親の愛。単なる娘に悲しい思いをして欲しくないという、娘思いの父の愛なんかじゃなくて、娘の彼氏のことも大切に思っていて、先のことも考えて、2人の関係も大好きだから、別れて欲しくないし、ずっと一緒にいて欲しいから、だから『別れて下さい』と言う、その愛に私は泣きました。


 演じる2人はお若いこともあり、演技には初々しさと、どこか照れも滲み出ていて、それが所々リアルにも感じました。

 そこにベテラン俳優の大杉漣さんがすっと入ることで、『愛とは何であるか?』ということ、『100回泣くこと』というタイトルと重ね、深く優しく感じさせる映画になったのではと私は思います。


 ー映画『100回泣くこと』2013.06.22公開ー