続☆季節外れの季語の話 | まりんぼったの独り言

まりんぼったの独り言

ヨウムのまりん(2000年生まれ)との日々…
笑ったり、怒ったり、ひたすらにぎやかな日常の中で、私(なまちゃん)の日々も流れて行きます。
調子に乗って、俳句、短歌、川柳、小説なども。
秘境に1人暮らしをしている母も92歳になりました。

   授業は続く。

   無記名で投票して五つの俳句が選ばれた。 その中に私の俳句も辛うじて入っていた。

   H先生は選ばれた俳句を1句ずつ批評(そう!夏井先生のように)して行く。

   # 雪の朝 犬の足跡 梅模様 …「これを詠んだ人は足跡が梅の花のように見えて、新しい

   発想だと思ったのでしょうね。残念ながら、この発想は古来から有り平凡な句です」

   # フリージアを 枕辺に置き 病める友 …私の苦労した1句もH先生に掛かると

   「フリージア、枕辺、病める友、これもどこにでもありそうな句です。発想が平凡です」とバッサリ!

   # 裸木の 先まで揺れて 春は来む …この句が圧倒的多数で選ばれたのだが、H先生に

   高い評価は得られなかった。

   他の2句は、残念ながら憶えていない。 いずれにしても、凡人の発想と言われスゴスゴと

   引き下がったのだろう。

 

 

   「では、どんな1句が素晴らしい俳句なのでしょうか?」 多分生徒達は、苦労して詠んだ句を

   一刀両断に切られて、物問いたげな目で先生を見たと思う。

   H先生はチョークを取って、サラサラと一つの句を黒板に書いた。

   # 凍(い)て蝶の 小さく占むる 掌(たなごころ) 

   「この句の季語は凍て蝶です。寒さに縮こまった蝶が掌(てのひら)で動けなくなってじっとして

   いる。 情景が浮かぶようでしょう。 このように俳句というものは、具体的に、情感を籠めて

   詠まなくてはいけません……」

 

   H先生のとっておき?の1句が、生徒達みんなの心を打ったかどうかは、定かではない。

   正直、あのとき少しでもお褒めの言葉があったら、2句目、3句目を嬉々として詠んだかも

   知れないなあと思うこともある。

   夏井先生のように、凡人の俳句にもピカッと光る視点があると、上手に美味しい飴を舐め

   させてもらえたら…なんて、自分の才能の無さを棚に上げて、凡人の独り言は留まることを

   知らないのである。