スサノオで~す
仙台で~~~す
僕らが向かった場所は、ここ『陸奥国一宮 鹽竈(しおかま)神社』なり。
あ「『鹽竈神社』ってまぁ聞いたことはあるけど、どんな場所?」
ス「お前、塩椎神(しおつちのかみ)、別名『塩土老爺神(しおつちおじのかみ)』は知ってるか?」
あ「聞いたことはあるけど、
確か古事記で、兄貴の釣り針を海の中に無くして途方に暮れていた、山幸彦を海神の神殿に導いた神?
あの浦島太郎の話の起源にもなった」
ス「そうそう。よう知ってるやん。あと神武天皇もな。そこら辺は自分で調べ」
あ「でも、やっぱり『オジ』ってことは結構なお歳??こんな感じ?」
ス「まぁ…かなりギャップのある神ではあるんやけど、会ったら分か…」
あ「って、これ凄いっすね!!」
僕らの前に現れたのは、
天まで届くかのような境内に向かう途方もない階段、階段、階段…。
あ「ひえー!!!!何段あるんだこれ!!!!」
ス「202段。表坂、別名『男坂』ともいう」
あ「なに、その暑苦しいネーミング(笑)やだわ、乙女の私に似合わない」
ス「アホ(笑)
まぁその名から連想される通り、
昇り切ればパワーがみなぎると言われてるこの坂やけど、結構傾斜もきついから大変よ」
あ「今日ヒールなんだけど。もう、やんなっちゃうわ。プンプン」
そして境内に上がると、中はこんなとこ。
ス「お、塩ジイおったぞ。お~い!!塩ジイ~!!」
スサノオがそう言って、近付いて行くとそこには…?
ス「おぅ!塩ジイ!!」
…。
……。
………。
…………。
え?
あ「…めっちゃマッチョやん…」
ス「だからギャップあるって言ったやん(笑)」
塩「おぉ!!スサノオ!!久しぶりじゃないかぁ!!」
ス「塩ジイ、またムキムキになったんちゃうか(笑)」
塩「神やってると暇な時は暇でな!筋肉ばっかり鍛えてたら、こんなことに!!…はいっ!!」
あ「………」
ス&塩「ガッハッハッハッハッハー!!」
あ「もう……変な神さまばっかり……」
塩「で、スサノオ。そちらの『ノットマッスル』は?」
あ「誰が『ノットマッスル』や。初めて聞いたわ、そんな言葉」
ス「俺が居候してる家の主(笑)
人生に迷える子羊ちゃんやからな。『導きの神』でもある塩ジイのところに連れてこよう思って」
あ「塩ジイさんは、『導きの神』なんですか?」
ス「あぁ、さっき話してたやん。山幸彦とか神武天皇を導いた話とかな。
そこから航海の安全も兼ねた『導きの神』とも、安産の神とも言われてる」
あ「導きの神『とも』?『とも』ってことは他にも?」
ス「その名の通り、『塩の神』。人々に塩の製法を伝えた神でもある。
ちょっと塩ジイ見せたれや」
塩「ん?おう!分かった、分かった!!」
塩椎神はそう言うと、
突如として僕らの前で高速腕立て伏せを始める。
塩「ふん!ふん!ふんふんふん!!!!」
あ「……」
塩「続いて、高速腹筋!!ふん!!ふん!!ふんふんふんふんふん!!!!!!」
あ「………」
塩「最後に、高速ヒンズースクワット!!ふん!!ふん!!!!!ふんんんっ!!!!!!」
あ「………」
…。
……。
………。
…………。
塩「ふぅ、お待たせ、お待たせ(汗だく)」
ス「ほい、行け。舐めろ」
あ「…な、何が?」
ス「塩」
スサノオが、指差したその先には……
汗だくの塩椎神の身体に浮き出し始めた塩、塩、塩…。
あ「絶対いやじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
ス「アホか!!お前、塩の神直々の塩やぞ!!『神の塩』やぞ!!『神の塩』!!!!」
あ「ふざけんな!!こんな『神の塩』があるか!!」
塩「さぁ、荒川さん!どうぞ!どうぞ!!」
あ「どうぞじゃねぇよ!バカ野郎!!!!」
…。
……。
………。
…………。
あ「おヴぉえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
結局スサノオに羽交い絞めにされ、
シオツチの身体の塩を舐めさせられ……。
あ「うっ…うっ…(泣)…こんな神ばっかり…もう嫌だ…」
ス「いつまで騒いどるか」
塩「まったく汗と塩の大切な関係を分かっとらん。
まぁ普通の人間には、もっとちゃんとした塩の製法を教えたがね」
あ「アホっ!!このアホどもがぁっ!!!!」
ス「まぁ、それはもうええとして、何か塩ジイに聞きたいことないか?」
あ「もう今更…ないですよ…」
ス「何か出せ」
あ「『何か出せ』って、もう何でもいいですよ…。
じゃあ、神さまに上手に導かれるにはどうしたらいいですか?(投げやり)」
塩「上手に導かれるには…か」
ス「塩ジイ、今はもうマッスルギャグはええぞ(笑)」
塩「『自分のためと人のため』の両立ですかな」
あ「…どういうことでしょう…?」
塩「えてして、日本人は両極端な人が多い。
『人のため』と言えば、もう自分も一生清貧でいろ。
ボランティアに尽くせ。
お洒落も美味しいものも、もう贅沢なんて絶対に許さん。
もう尼さんか修道女みたいなイメージの生き方をしろと。
かたや、『自分のため』と言えば、もうすべてが俺のもの。
他人大嫌い。
自分最高。
自分LOVE。
世の中、私が中心にまわってるわ、みたいな」
あ「結構、口悪いな(笑)」
塩「ワシら神々の考え方として、
まずは『自分が幸せになること』、それが一番大切で。
まず自分が幸せになって、
その心のコップが満たされた状態で、他者に分け与えていく。
それでいい。
だから何事も物事を選択する時は、
『自分も良くなって、人も良くなる』その方法は何か?
ということを常に考えて選んでほしい。
それが当たり前に出来るようになれば、
もう息を吐くように毎日『徳』を積むことが出来る。
そうすれば、ワシら神々も最大の導きを与えることが出来る」
ス「結局いつも言ってる、『みんなが良くなること、それが一番』ってことな」
あ「何か心は複雑ですが、良いことを言ってるんだろうなということはよく分かります。
素直に受け止めたくはありませんが」
塩「結局、あれやこれやと考えずに、まっすぐに自分が楽しい方へ行けばいい。
人間同士でも同じであるように、
やはり心に嘘をついている場合、神々も応援のしようがない。
目的地が見えない旅のようで、導きも出来ない。
船の航路のように、目的地に向かって、
余計なことは考えずに、まっすぐにいけばいい。
『いや…でも…やっぱり…』という言葉を、一度止めてみて、
自らの心が喜ぶ方へ、楽しい方へ。
それが周りの人も喜ばせられるなら、楽しませられるなら、もっといい。
『喜べば、さらなる喜び事が、楽しめば、さらなる楽しみ事がやってくる』。
これだけは古代から今も変わらない、人生の絶対法則」
あ「あなたは別として、言葉だけは大切に受け取っておきます」
ス「あぁ、楽しかった。塩ジイ、また来るで!」
塩「おう!スサノオ!!またな!!
せっかく来たのだから、最後に、人生を悩める人間達にワシから珠玉の言葉を贈ろう!!」
あ&ス「?」
塩「(※躍りながら)
人生を歩むとき♪あっち向き♪こっち向き♪
そんなこと迷うより、自分の心に、マッスル(まっすぐ)、マッスル(まっすぐ)、ムッキムッキ!!!!」
…。
……。
………。
…………。
ス「…行こか…さすがに俺も呆れたわ…」
あ「…うん。…あの言葉…そういう意味だったんすね…。
ていうか、今日の話、全然頭に入ってきませんでしたわ…」
塩「最後に、これで決めポーズを一緒に!!」
あ&ス「嫌じゃぁっ!!」
あ「そんなんやるぐらいやったら、『Yes 高天原』の方が5億倍マシじゃ!!」
ス「おい!マシとはなんや!!こんなんと一緒にとか、俺に失礼やぞ!!」
塩「こんなんとはなんじゃ!はいはい!じゃあコラボでいいから!!せーの!!」
あ「俺…こんな嫌な『Yes 高天原』始めてですわ……」
ス「うん…俺も……」
あ「ちなみに…これさっき…『清めの塩』買ったんすけど…まさか…」
ス「いや、それはちゃんとした製法で、宮司さんたちに作られた塩やろ(笑)」
(遠くから聴こえる声)
塩「ムッキムキ!!」
あ&ス「うるさいわ!!」
芸術・人文ランキング!現在第9位
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※『笑って、泣いて、神話を学ぶ』、日本の国の始まりと神々のルーツを知る史上最古の連載ファンタジー『アウトロー古事記』、第1話目はこちら☆
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