荒川祐二&Teamスサノオで~す☆






『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。

※イラスト by 瑠璃の星☆ミさん







瀬織津姫が愛した神、

 

ニギハヤヒという神の正体。



瀬織津姫が時空を越えて、

 

愛され続けたその理由。



そしてその瀬織津姫とニギハヤヒという神を、

 

国家形成の流れの中で封印をしたという、

 

持統天皇の魂の解放。






そのすべてを終えて、


いよいよ準備が整った。






『伝説の女神』、瀬織津姫に会いに行く。






…そして僕らは、


この長きに渡った旅の最後の目的地として、


岩手県は遠野市へと向かった。

なぜこの地を、

 

最後の地として選んだのか?





実はこの旅を本格的に始める前の、

 

早い段階から情報として、



『岩手県は瀬織津姫の聖地。それを伝える民間伝承がある』と、


僕の耳には入っていた。







『遠野物語』という、


岩手県遠野市に伝わる、



座敷童や河童を始めとした、


妖怪や小さな神々の民間伝承をまとめた説話がある。

その『遠野物語』には、このような記載がある。





大昔に女神あり。

 

三人の娘を伴ひて此高原に来り、
 

今の来内村の伊豆権現の社ある処に宿りし夜、
 

今夜よき夢を見たらん娘によき山を与ふべしと母の神の語りて寝たりしに、



夜深く天より霊華降りて、


姉の姫の胸の上に止りしを、

 

末の姫眼覚めて窃に之を取り、
 

我胸の上に載せたりしかば、



終に最も美しき早地峰の山を得、


姉たちは六角牛と石神とを得たり。

(『遠野物語』2 神の始 より)』





これを簡単に訳すならば、





大昔、遠野に女神が訪れた。

 

その女神には3人の娘がいて、

 

現在の来内(らいない)村の伊豆神社で宿を取ることにした。


女神は3人の娘にむかってこう言いました。
 

「今夜良い夢を見た者に、良い山を与えましょう」。


その夜のこと、

 

末娘がフッと目を覚ますと、

 

長女の胸に天の華が舞い降り、止まっているのが見えた。


末娘はこれを手に取り、自分の胸に乗せかえた。
 

こうして末娘は最も高く美しい早池峰山を。


姉達は六角牛山、石上山をそれぞれ得ることなった』。






これだけを読めば、

 

何が何のことだか、


分からないのかもしれない。






僕自身も最初はそうだった。


『この遠野物語の一体どこが、瀬織津姫の聖地に繋がる物語なんだ?』と。







…しかし、

 

これまで多くの知識を学び、


感覚を研ぎ澄ませてきた、



『今』だからこそ、わかることがある。







この遠野物語に伝わる、


『大昔に女神あり』の『女神』こそ、


『瀬織津姫』であるということが。







…その遠野物語に登場する、


『瀬織津姫』に会いに僕らは、


東京から車で約7時間。







まずは先程の、


『遠野物語』の伝承の中で、



遠野に降り立った女神とその3人の娘が、


山を分け合う話を語らったという、


『伊豆神社』に到着した。

ここの神社のご祭神はもちろん、

『瀬織津姫命』。





そして伊豆神社の由緒によると、


その別名を、


『おないさん』と言う。





…この『おないさん』という、


別名は一体何なのか?





そしてなぜ瀬織津姫は、

 

遠くこの岩手の地で、


聖地として全国で、


最も数多く祀られているのか?


(※岩手県内で瀬織津姫を祀る神社の数は23社。これは47都道府県で最多)





…これまでの旅と同じように、

 

その一つひとつの謎をひも解き、


瀬織津姫に対する、


『正しい理解』に近付いていかないことには、





本当の意味での、


『瀬織津姫』に出会うことは出来ない。





…そうして、

 

伊豆神社の境内にて参拝し、



ここで『ある一人の人間の女性』の魂に、


思いを馳せる。

その僕が思いを馳せた『ある一人の人間の女性』こそ、



ここ伊豆神社での瀬織津姫の別名である、


『おないさん』。





この『おないさん』とは、一体何者なのか?

ス「…じゃあ、お前の見解を聞かせてもらおうか?

 

『おないさん』とは何者か?







あ「おないさんとは…、


瀬織津姫であり、



瀬織津姫とは…、


おないさんです」







ス「そんな禅問答みたいな答えはいらんぞ。

 

いつもみたいにお前らしく、

 

分かりやすく、的確に答えろ」






あ「先日役行者さんの生きた時代を垣間見た時、

 

時のヤマト政権によって、


『瀬織津姫』という名前も存在も、

 

奪われそうになった女神は、

 

 

役行者を始め多くの人々の手によって、


不動明王を始め、


仏や違う神の中に、


瀬織津姫を隠し祀られることで、



その受難の歴史を乗り越えてきたという、


歴史の裏側を知ることが出来ました」




ス「ふむ…」





あ「…そうして瀬織津姫は時を越えて、

 

時に滝行を見守る不動明王として、


時に水の神の化身 龍神として、


時に水大神、小河天神、ミズハノメノカミと名前を変え、

 

無限に形を変えて、大切に人々に祀られてきました。

 

 

その瀬織津姫が無限に祀られてきた形の一つに…、


七夕伝説の『織姫』があります

ス「………」




あ「『織姫』とは…、


七夕伝説でも伝わっている通り、


起源は機織りや織物の女神です。

 

 

その『織姫』という名前。

 

そして1年に1度、7月7日にしか、

 

愛する男性に出会うことの出来ないという伝承を、

 

引き裂かれた瀬織津姫とニギハヤヒに重ね合わせ、

 

 

瀬織津姫を織姫と同一化して祀った、


ある一人の女性がいます。



…それが、『おないさん』

ス「………」




あ「『おないさん』とは、


平安の時代を生きた、


三河地方に住むある女性と一説に言われています。



そんな三河地方に住む彼女がなぜ、

 

遠く岩手の地に来たのか。

 

 

彼女は未開の東北の地に、

 

養蚕(カイコを育て、糸を精製すること)と、

 

織物の技術を教え、産業を発展させるために、

 

派遣された『拓殖婦人』だったと言われています」




ス「…ふむ…」





あ「彼女はヤマト政権が、

 

東北の蝦夷を制圧した後の783年に、

 

三河からこの岩手遠野の地に派遣された。

 

 

その時同時に、


自身の守護神として、


大切に、大切に、


ずっと隠して祀っていた、



織物の神としての『瀬織津姫』を、


一緒に連れて行ったと言われています…




ス「………」




あ「そして彼女はその後、

 

この遠野の地に移り住み、

 

3人の子どもをもうけて、

 

この岩手 遠野の地の産業発展に生涯を捧げた」

 あ「それによってこの遠野の地の人々に、


おないさんはまるで女神かのように、


大切に愛され、慕われた。



そして同時に彼女が愛し、大切に祀り、


三河からこの遠野の地に持ち込んだ、


『瀬織津姫』もまた、



瀬織津姫を封印しようとしていた、


ヤマト政権から遠く離れた、


この東北岩手 遠野の地で復活を果たし、



遠野物語に伝わる『大昔に女神あり』の、


この地で愛され続ける『女神』となり、



この地(遠野)は、


『瀬織津姫の聖地』となった。



…僕は瀬織津姫がヤマト政権から離れて、


岩手の地に来るまでのこの、



役行者さんから始まった、


人と人が繋いできた女神のバトンを知った時に、


鳥肌が止まりませんでした。



『こんな奇跡のような歩みが、本当にあるのか』と…

 

 

 

 

ス「………」







あ「…これがこの岩手の地が、

 

『瀬織津姫の聖地』と言われている理由であり、

 

 

時空を超えて、


人から人へと受け継がれた『伝説の女神』の、


奇跡の物語の答えだったのです




 




ス「…そうか…。


…ニギハヤヒの謎に続いて、


よくぞここまで辿り着いた…







…スサノオさんとの会話を終えて、

 

改めて、僕は伊豆神社の本殿を見た。

そして、

 

瀬織津姫が今日まで歩んできた受難の歴史と、



かつてヤマト政権以前、


この日本の7割以上の神社で祀られていたという、


『伝説の女神』瀬織津姫を、


大切に思う人々が、



様々な形で時代を越えて繋いできた、


複雑すぎる、


それでもたくさんの愛に溢れた、


その『奇跡の歩み』を思い返していた。







…その時だった…。







?「お母さん、お母さん」



?「キャッ、キャッ、キャッ」



?「ワーイ、ワーイ」







…3人の女の子の小さい声とともに…。







…『おないさん』とその3人の娘が、


僕らの前に姿を現した。

※イラスト by AYUMI

おないさん「…ようこそ…おいで下さいました…」





あ「…おないさん…ですか…。

 

こんにちは…」






おないさん「…貴方様の歩みは、


瀬織津姫様と共に見させて頂いておりました…。



貴方様がお子さまを連れて、


滝に来られた時にお声がけをしたのも、


私でございます…」






あ「…ずっと、ずっと…、

 

見守っていて下さったんですね…。

 

…ありがとうございます…」






恐らくおないさんは、


この伊豆神社の地で、


瀬織津姫様と同一化されたことで、



その瀬織津姫様のご神威も共有されているのであろう、


温かいご神威と大いなる愛に包まれて、



おないさんと話をしているうちに、


自然と涙が溢れてくる…。



まるで昨年の夏にその偉大過ぎるご神威に触れて、


自然と涙が止まらなくなった、


アマテラス様に出会った時と同じように…。







おないさん「御礼を申し上げるのは、


こちらのほうです…。



…瀬織津姫様を大切に思って下さり…、

 

本当に…本当に…ありがとうございます…」





あ「いえ…そんなこと…、

 

本当に…とんでも…ございません…」





おないさん「…瀬織津姫様も…、

 

その歩みに…心より感謝していらっしゃいます…。

 

 

…どうぞそのままのお心で、


お会いになられてください…。



…瀬織津姫様も心待ちにしております…





あ「…瀬織津姫様には然るべき場所で、

 

お会いできたらと思っています…。

 

その場所を…最後に教えて頂けたら…」





おないさん「瀬織津姫様は…、


多くの軌跡と奇跡を経て、


この遠野の地の女神となりました…。



この遠野は、

 

早池峰山、六角牛山、石上山の、

 

『遠野三山』に囲まれた地でございます…。



そして遠野物語にも伝わる通り、


早池峰山こそが、


最も高く美しい山…

あ「早池峰山…ですか…」





おないさん「…早池峰山への登山口は東西南北に存在し、


その四方の登山口それぞれに早池峰神社という、


瀬織津姫様をお祭りする神社がございます…。



そしてその早池峰神社の奥宮が、


早池峰山山頂に…





あ「早池峰山山頂…。


…わかりました」





おないさん「…東北の冬山でございます…。


…道中どうぞお気をつけて…。



…事故のございませんよう…、


私も、また遠野三山を司る、


私の3人の娘も見守っております…。



…どうか素晴らしき旅路となりますように…」

…その言葉と共に、

 

おないさんと3人の娘は、


光を残して姿を消していった。







…『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。







時空を超えた『伝説の女神』を巡る旅は、


最後に僕らを瀬織津姫の待つ、


『早池峰山山頂』へと導いて、





長い旅の幕を閉じることとなる。





最後まで難しい話に向き合い続けた、


たくさんの思い出と成長、


神と人の歴史、


先人たちが繋いできた軌跡と奇跡。





…様々な思いを胸に、


瀬織津姫の待つ、



最後の地『早池峰山山頂』へと、


僕らは歩みを進めていく。

※『スサノオと瀬織津姫を巡る旅』。クライマックスまで後3話!


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■僕らが作る、新たなる第一歩。
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