医学部合格応援団◇息子のための英文法演習ブログ

ロンドン単身赴任の米国公認会計士が、息子のために医学部受験向けに英語を解説しています。

長文読解問題 ─ 予防医学関連記事の解説前編

予防医学に関する、ワシントン・ポスト紙の記事からの出題でした。予想問題本文はこちらです。

medicpress-harada.hatenablog.com

今日は最初の部分を見ていきましょう。下線部Aが仲間はずれの語句を選ぶ問題、下線部Bが類語選択、下線部Cが空欄補充となっています。

Preventive med businesses flourishing after deregulation

Business (A-1) related to preventive medicine – which focuses on preventing illnesses and maintaining health – are steadily (B-1) gaining ground as the government (B-2) vigorously eases medical field regulations to (A-2) curb the increasing expenses stemming (C-1) from the aging of society.

 

まずは記事のタイトルから。

★Preventive med businesses / 予防医学関連ビジネス

flourishing after deregulation/ 規制緩和受け隆盛へ

 

flourishというのは「栄える」という動詞です。下線部A-3でthriveという動詞の類義語を並べましたが、これも同じ意味です。A-3の選択肢にも同義語がありますので、並べますね。どれも書き言葉として使う、固めの動詞です。

・flourish

・thrive

・prosper

選択肢では他に

・take off 元は「離陸する」というイディオム

・become popular 「人気が出る」という言い方

もflourishと同じ文脈で使えます。

take offは、ビジネスと合わせて使うと「会社が儲かる」的な意味となります。飛行機が飛ぶ前の離陸で一番エネルギーを使うのと同じで、会社を興すと軌道に乗せるまでが一番大変です。ただ、頑張って頑張っていざビジネスがテイクオフすると、お金が入って来て会社が回るようになります。そういうことからtake offがこういう使われ方をするようになったのかなと思います。

 

次の文は、「-」で区切って挿入句が入っています。新聞記事では細かく背景を説明するには紙面が足りませんので、こうしてちょこちょこっと説明することが多いです。ただし本文の主旨はここを読まずとも分かる場合が多いですから、挿入句はいったん置いておいて次を読み進める習慣にしてください。速読のコツです。 

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★Business (A-1) related to preventive medicine / 予防医学関連ビジネスは

– which focuses on preventing illnesses and maintaining health – / これは病気の予防と健康維持にフォーカスするものなのだが

are steadily (B-1) gaining ground / 着実に育っている。

as the government (B-2) vigorously eases medical field regulations / 政府が医学分野の規制をせっせと緩和しているため 

to (A-2) curb the increasing expenses / 増加する一方の経費を抑え

stemming (C-1) from the aging of society./ この増加は社会の高齢化から来ているのだが

 

下線部A-1のrelated toは、実にさまざまな言い換えが出来ます。どれもよく出るので出題しました。選択肢も含め

  • related to
  • relating to
  • concerning about
  • with regards to

が同じ意味になります。ぐっと頻度は減りますが、pertaining toという固い言い方もありますよ。

according toだけ「~によると」という言い方なので意味が違います。仲間はずれを選ぶ問題なので、これが正解ですね。

このaccording toもまた、いくつも同じ言い方があります。in accordance withとperは、言い換えが出来るように覚えておきましょう。

 

長文読解の予想問題を書き始めた時から「/」で区切りながら文頭からどんどん理解していくやり方で解説を書いていますが、慣れましたか。

英語は語順が日本語とは違い、最初に大事なことを言って後からどんどん修飾を足していきます。日本人の頭で、全部修飾箇所を理解してから述語に戻ると、効率がとても悪いです。

上の文でもincreasing expenses which is stemming from…など、which isを省略する形で次に次にと文章だけ長くなっていますが、言っていることは簡単です。Business…are steadily gaining groundをしっかり押さえることが最重要です。

 

さてこのgaining groundですが、さっき出たgetting popularと似ています。「定着する」、「人気が出る」という意味です。groundは地面ですから、そこをgain得て根付くわけですね。よって下線部B-1の答えはgetting popularでした。

 

下線部B-2の形容動詞vigorouslyは、元は「熱意」という意味の名詞vigorです(イギリス英語ではuが入ってvigour)。つまり「熱心に」「力を入れて」という意味で、選択肢からはstrenuouslyが該当します。ほかにforcefullyでもよいです。いずれも、書けなくてもいいですが、意味は知っておいた方がいい形容動詞です。

外見だけ似た形容動詞を選択肢に混ぜておきました。どれも元の形容詞が透けて見える、簡単な形容動詞です。strangely「奇妙にも」・surprisingly「驚いたことに」・suspiciously「怪しいことに」ですね。

 

下線部A-2は動詞curbの言い換えでした。線形のカーブはcurveでまったくつづりが違いますよ。動詞curbは「抑制する」という意味です。よって選択肢も含め

  • restrain
  • keep in check
  • curb
  • kerb

が同じ意味となります。kerbはあまり見かけませんが、curbと意味も発音も同じ双子です。

動詞restrainが名詞になってrestrainerとなると、動物実験で使う保定器や拘束具を指します。医学生は将来使う単語かもしれませんね。

restrainerの意味 - 英和辞典 Weblio辞書

keep in checkは面白いイディオムです。初めて見た場合でも「チェックを続けるわけだから、(医療費が)増えすぎないよう見張るという意味かな」と予想できた方、正解です。

この3つ以外の選択肢、maintainは「維持する」ですから、これが仲間はずれ問題の正解でした。日本語でメインテナンスというのはmaintenanceと書き、この動詞の名詞形です。

 

下線部C-1は空欄補充です。stemはもともと「茎」という意味の名詞です。「根」はroot、「種」はseedですね。stem fromという形で動詞になると、イディオム「~に起因し」という意味になります。due toやbecause ofの難しい言い方です。正解はfromでした。stemを見た瞬間に「fromを入れさせる問題だな」と気づくようになりましょう。