食欲は、相変わらずありません。
腹水は、時々抜いてもらえるのですが、せいぜい三リットル。
「手術に耐えられるだけの体力維持」と、
「腹水除去」とのバランスで、
制限があるのでしょう。
苦しそうな大きなお腹と、
真っ黒な中華まんじゅうと化したおヘソだけは、
弱まる気配もなく、夫を、攻め続けます。
「レモンが食べたい。」と、夫が言いました。
手術に向けて、食事制限、水分制限も、厳しくなり、
いちいち、「これを食べさせてもいいですか?」と、
お伺いを立てねばならないのですが、
「ダメ」と言われたら可哀そうだから、と、
黙って、レモンを持ってきて、口に一切れ、入れました。
…「おいしい」…
水分が欲しいので、「氷」も欲しがりました。
差し入れの氷を、「手の届くベッドの下に置いておいて…」
という、夫の願いを聞いて、
長男が、室内に置いて帰ったところ、
さすがに、看護師さんに見つかって、捨てられたそうです。