その日の夜、九時過ぎでした。
新入社員の二女が帰宅し、夕食を終えたところに、
大学病院の移植医から、電話が入りました。
「夜になって、ICUに、再び運ばれましたが、
細菌感染していて、危険な状態です。」
「(療養中の)お母さんは、来ないで下さい。
娘さんが、至急、来てください。」
…妙に、冷静な自分がいました。
危険!? 生命の危機!?
…当たり前でしょ、遅すぎたのだから。
二女は、「真夜中になると、戻ってこれないから、今夜は、
友達の家に泊めてもらって、明日、そこから出社する。」
と言って、飛び出していきました。
2時間後の娘からの電話…
「『緑膿菌という、タチの悪い細菌に感染していて、
生死は、五分五分、ここ数日が勝負』だと、説明された。」
…やはり、夫は、細菌感染により、
敗血症に、陥っていました。
「生死は五分五分」と言われたのに、
「絶対に死なない!」
「ここまで耐えてきた夫が、死ぬ訳がない!」
…そう、断定している、自分がいました。