話が面白くなくても……ゆりやんレトリィバァ | りおみーのブログ ニュースとお笑い芸人に不毛な突っ込み

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主にお笑いのネタに関して、時々ニュースに関して、「これってどういう事?」をロジカルに分析してます。

面白くない……でも笑えます。。。

□□□□□□はじめに□□□□□□

『女芸人No.1決定戦 THE W』の優勝はゆりやんレトリィバァさんでした。

『女芸人No.1決定戦 THE W』自体は、
放送前からケチがついてましたし、
放送後も色々言われてます。

システムとか、採点方法とか、演出とか。

私の感想も、正直、、、
ノーコメント、、、です。。。

ただ一つ言えるのは、
ゆりやんレトリィバァさん圧勝。

圧勝だけに、番組としては面白くないとも言えますが、
ゆりやんさんのネタは笑いました。

さて、何を笑ったんでしょう?

□□□□□□内容□□□□□□

……突然ですが、
以下の話をどう思いますか?

(A):連絡を全然とってなかった中学の同級生から、突然、結婚式のおめでとう動画を頼まれた。
でも、めんどくさいから送らない。

(B):Twitterで「面白くない」って書かれると、「お前がやってみろ!」って思う。
でも、コンプライアンスとかあるから気にしない方がいい。

(C):太ってて寝る時にのどの肉が気道を塞いで、夜中に咳をして起きる。
だから、その対策として座って寝てる。

(D):マネージャーからの電話で、仕事の時間を勘違いしていた事に気付き、焦る。

これ、何か分かりますか?

ご覧になった方は分かりますね?

……ゆりやんさんの決勝2本目のネタの内容です。

これで全て。

ネタで話した内容をまとめるとこうなります。

本当かどうかは知りませんが、

これって、、、

ゆりやんさんがゆりやんさんとして喋るなら、、、

楽屋で芸人仲間にしている相談、愚痴に過ぎませんね。

でも、これで笑いを獲ったんです。

スゴくないですか?
これで優勝したんですよ。。。

□□□□□□キャラクター□□□□□□

これが笑いになっているという事は、
何処かで「笑いのフォーマット」を作っている訳です。

何処で「笑いのフォーマット」を作り出しているかというと、、、

ゆりやんさんの演じるキャラクターと、
その口から出る話の内容とのズレです。

実は、、、
ネタでは、ゆりやんさんはドラえもんに扮しています。

いや、極端な事を言えば、
「僕ぅ、ドラえも~ん。」とは言っていません。

ただ、徹底してます。

ドラえもんっぽいメイク、
ドラえもんっぽい声、
ドラえもんっぽいしゃべり方、
のび太、ジャイアンという名前、
四次元ポケットっぽいポケット、
ドラえもんのアニメっぽいSE。

誰がどう見てもドラえもん。

演じているキャラとその話のズレで笑わせる訳ですから、
ドラえもんと思わせる事が必要で、
そう思わせる事が出来れば成功です。

なりきりのクオリティーの高さこそが生命線。

それが「前振り」ですから。

□□□□□□ネタ□□□□□□

ネタの展開は基本的には同型なので、
一つ目の(A)ネタで考えます。

ドラえもんのメイクをして、
ドラえもんの声、口調で喋ってるのをイメージしてください。

【・・・またのび太君、こんな所でだらだらして!
何?またジャイアンにいじめられたから何とかしてくれって?
なーんだ、そんな事か。……(a)

僕なんか、今から中学生の時の同級生の結婚おめでとうって動画を撮っておくらないといけないんだ。
全然連絡とってなかったのに、
・・・(中略)・・・
おめでとうだけでいいから、送ってって言われた。
全然連絡とってなかったのに、、、……(b)

めんどくさー!……(c)

だから、、、だから、、、僕は、、、(SE)

おーくーらーなーいー!……(d)

いいかいのび太君!
ずっと連絡をとってたならいいけど、
全然連絡とってなかったんだから、
のび太君もそういう時はおくらない方がいいよ!……(e)・・・】

(a)は「前振り」。

ドラえもんという設定であり、
ドラえもんとして話している事を観客に認識させます。

(b)では、
キャラ、口調はドラえもんを維持したままですが、
話の内容はドラえもんらしさから逸脱

ドラえもんらしくない事はすぐ気づくのですが、
話を聞いて、どういうズレ方なのかという事に徐々に気付き、
じわじわと笑える感じ。

……と、少し間を置いて、

(c)「めんどくさー!!!」

突然、口調でもドラえもんらしさから逸脱します。

ドラえもんが「めんどくさー!」とは言いませんね。

続けて、、、

「だから、、、だから、、、僕は、、、」と言いながら、
四次元ポケットを手で探り、
ジャンジャカジャンジャン~♪とSEまでなったにも関わらず、

(d)「おーくーらーなーいー!!!

こちらは、
口調はドラえもんですが、
内容はドラえもんと真逆。

四次元ポケットを探る動作、
ジャンジャカジャンジャン~♪というSEは、
ドラえもんを知っている人達にとっては、
道具を取り出す事で問題を解決するような劇的な展開を期待させます。

ドラえもんは解決するはず……です。

しかし実際は、
起きている問題(送らなければならないという事)を、
ただ無視、不作為の対応で解決、、、
……というか、
要するに実際は何も解決しないというドラえもんにあるまじき結論。

また、その結論は、
「だから、、、……」のセリフで作られる「間」が醸し出す、
何が出るんだろうという疑問、
問題解決の劇的な展開を期待する空気という、
緊張を一気に緩和しますね。

「緊張の緩和」が効いた笑いです。

(e)では、通常のドラえもんの声、口調に戻りながらも、
「特に連絡をとってない同級生のお願いなんて無視した方がいい」という発言内容は、やはりドラえもんの言う事じゃないですね。

□□□□□□詳細□□□□□□

この後、続けて、
(B)(C)という同様の形式を繰り返し、
(D)でハケて暗転。

その笑いの基本は、
話の内容が、ドラえもんから逸脱している事。

< 基準 >:「ドラえもん」になりきっているにも拘わらず
< ズレ >:話の内容は「ドラえもん」から逸脱
<ツッコミ>:「ドラえもんそんな事言わへんわ!」

ドラえもんが、
「お前がやってみろ!」(B)という言葉使い、
「コンプライアンス」(B)という言葉、
「肉で気道を塞がれて、咳して起きる」(C)というエピソードなんて、
絶対言いませんよね。


ドラえもんから逸脱するタイミングで笑いを作る訳ですから、
ドラえもんから逸脱しっぱなしではなく、
ネタごとに、一旦ドラえもんのキャラに戻った方がいいですね。

実際、(B)(C)でも、
のび太に相談される上記(a)に対応する部分が、
「前振り」の効果を担ってます。


(D)は締めの位置付けですが、
その他の(A)(B)(C)を比較すると、

(A)(B)の「送らない」「気にしない」という「~ない」という「文字通りの不作為」は、
「作為の期待」とは真逆で、大きな落差を感じさせます。

それに対して、
(C)の「座って寝てる!」は、
「文字通りの不作為」ではなく「作為」の対策で、
(A)(B)の様な「作為の期待」が裏切られる面白さは無いようにも思えます。

しかし、
根本的な解決にはなっていないので、
「『解決する』という作為の期待」が裏切られる面白さはありますね。

「痩せろや!」って、
根本的な解決策を突っ込みたくなります。


何れにしても、

話の内容がそこまで面白くなくても、
話の内容以外に、笑いのフォーマットを感受させれば、
笑いに出来るという事です。

手間をかけてドラえもんになりきっているからこそ、
ドラえもんらしい言動を期待させるし、
ドラえもんらしい言動を期待させるからこそ、
ドラえもんらしくない事が面白い訳です。

ただ、
キャラクターとその言動のズレで笑いを作る事そのものは、
特別な事ではありませんし、
ゆりやんさんのこのネタにも、
それ以外の面白さもあります。

キャラクターとその言動のズレは、
このネタを笑いにする前提条件だと思います。

□□□□□□なりきりですが…□□□□□□

ゆりやん優勝を伝えるオリコンのニュース(https://www.oricon.co.jp/news/2102166/full/)より、、、

「ゆりやんの武器は“なりきり力”。この日もなりきり力を存分に発揮して……(後略)」

「『変幻自在のキャラ姉さん』のキャッチフレーズを持つ友近を筆頭に、なりきりキャラの先輩たちが数多く存在する中で、見事に新たな道を切り拓いたゆりやん。 」

なるほど、記事にある通り「なりきり力」は大事です。

なりきっているからこそ、
キャラクターと話の内容とのズレを大きく感受できる訳ですから。

ただ、
なりきりの例として友近さんを挙げ、
なりきりキャラの芸風という一つの枠組みに括ってしまうと誤解されてしまいます。

「何を笑っているか」は真逆だって解ります?

友近さんのネタ、例えば、
水谷千重子、
ピザ屋店員の西尾一男、
「ディラン&キャサリン」のキャサリンなど、
何が面白いのでしょう。

友近さんのネタは、
ものまねにしろ、コントのキャラクターにしろ、
デフォルメしているとはいえ、あるあるそのもの。

実在する人物像、又は、
実在しそうな架空の人物像を、
「見た目」も「言動」も作り上げ、
その人物の言動に内在するディスコミュニケーションを、
デフォルメして、あるあるとして提示しています。

エレベーターガールやウェイトレスのバイトをしながら、人間観察をしていたという経験を生かしていますね。

「なりきりキャラ」それ自体に、ディスコミュニケーションが内在します。

柳原可奈子さん、横澤夏子さんも同様。

それに対して、
ゆりやんさんのドラえもんのネタは、
なりきりキャラクターに内在するズレが面白いのではなく、
なりきりキャラクターとは異なる言動のズレを笑っています。

見た目はなりきっているけど、
その発言内容はなりきりキャラではない事がおかしい。

笑いとしては全く違う事が分かると思います。

□□□□□□おわり□□□□□□

……って事はですねぇ、、、

平場では、やりにくいんですよね。

友近さんの場合は、
平場でも特異なキャラクターを演じて、
そのキャラクターが言いそうな事を言って笑いを獲ってるじゃないですか。

横澤夏子さんなんかもそうですね。

ムカつく女を一瞬放り込むだけで笑いになりますよね。

要するに、
なりきれば、そのなりきりキャラ自体がディスコミュニケーションなので、
それが笑いになる訳です。

それに対して、ゆりやんさんは、、、

キャラクターを作っても笑いに出来ないでしょう。

キャラクターを作った後、
そこから更に逸脱しなきゃダメな訳ですからね。

フリートークの流れの中でこの2段階を入れ込むのは難しそうです。

その結果選択しているのが、
現在の「スベりキャラ」的な?

更にその結果が、
「Twitterで『面白くない』と書かれる」って事かな。

「ネタ」と「平場」は別、、、

笑いって難しい。。。(-_-;)


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