反復…笑いの言葉(4)2/2 | りおみーのブログ ニュースとお笑い芸人に不毛な突っ込み

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主にお笑いのネタに関して、時々ニュースに関して、「これってどういう事?」をロジカルに分析してます。

前号続きです。。。

お笑い分析研究69号修正

□□□□□□前号まとめ□□□□□□

放送作家の方によると、
「反復」は笑いの基本構造の1つで、
「反復」とは、
「ギャグやボケを繰り返し使うことで笑いを誘」う事だそうです。

でも「繰り返す事」としか言いようがない「反復」が、
「何故笑いになるか」
「どんな笑いのフォーマットがあるか」
は、それぞれ異なるでしょう。

前号では、
「単純リピート」と「ダウンタウン松本人志さんの『天丼』」を取り上げました。

以下続き。。。

□□□□□□はじめに□□□□□□

放送作家の方の記事では、
反復の説明で、タカアンドトシの「欧米か!」を例示していました。

ただ、「ギャグやボケを繰り返し使う事で笑いを誘います。」と説明している「反復」の例として、
「欧米か!」挙げるのは適切ではないと思います。

タカアンドトシの漫才では、
トシさんの突っ込み「欧米か!」が同型で繰り返されます。

これは、前号で書いた単純リピートと同じ笑いではない事は解るでしょう。

「欧米か!」の繰返しそのものが、ディスコミュニケーションな訳ではないですよね?

トシさんの「欧米か!」という突っ込みの繰り返しに対して、
「何で繰り返すねん!」
と、言いたくなる訳じゃないでしょう?

「欧米か!」という突っ込みが間違いという訳でもありません。

でも、その反復に笑いをつくる効果があるのは間違いありません。

同じ突っ込みをただ繰り返す事に、
どんな効果があるんでしょう。

□□□□□□欧米か!(1)□□□□□□

まず、タカさんのボケのディスコミュニケーション度を大きくする効果があると思います。

トシさんの突っ込みはディスコミュニケーションではないので、
トシさんの突っ込みに対して、
「何で何回も言うねん!」
とは思いませんが、

逆に、タカさんのボケに対しては、
「何で何回も言わすねん!」
と、突っ込めますね。

繰り返したからこそ芽生える「突っ込みたい気持ち」でしょう。

タカさんのボケ自体が特に面白い訳ではない。

…というか、勝手にミートパイ作ればいいでしょう。

そんな笑いにならないボケをより面白く感じさせるのが、
同じ突っ込みの繰返しと、
同じ突っ込みをさせる同様のボケの繰返しによる、
ディスコミュニケーションの醸成

何度突っ込まれても、
同じようなボケを繰り返す、
「伝わらなさ」がおかしい。

「ディスコミュニケーションの醸成」
< 基準 >:一度突っ込まれれば、伝わるはずにも拘わらず
< ズレ >:何度突っ込まれても、伝わらず同じ逸脱を繰り返す
<ツッコミ>:「何回言わすねん!」「いい加減解れよ!」

□□□□□□欧米か!(2)□□□□□□

次に、「反復」が、
トシさんの突っ込み自体を笑いにする効果もあります。

「欧米か!」の突っ込みを繰返す事は、
「欧米か!」をいわゆる「お約束」にし、
その結果、観客自身が、
「欧米か!」反復を期待しますよね。

お約束のパターンに成り立つのは「予定調和の緊張と緩和」。

展開を知っていて、突っ込みの予想が出来ても、
予想通りの展開を期待しつつ、予想が外れるかもしれない不安もある。

実際、後で違う事が起きますよね。

そのペンディングの状態が生み出す緊張から、
予想通りの落ちで、緊張の緩和。

< 基準 >:予想通りの展開か未決定の緊張
< ズレ >:予想通りの展開に決定して緩和
<ツッコミ>:「同じかい!」「『欧米か!』しか言うてへんやん!」「言い方のバリエーション無いんか!」

「欧米か!」が間違っているという「ディスコミュニケーション」の笑いではなく、
「緊張の緩和」の笑い。

□□□□□□欧米か!(3)□□□□□□

タカアンドトシの漫才は、
上記2つの笑いをテンポよく繰り返し、
観客をひきつけます。

そして、その観客をひきつける力は、
次の笑いに繋がる効果を持ちます。

同じやり取りを繰返した後、
タカさんが、自分自身のボケに対して、トシさんの頭を叩き、突っ込むというイレギュラーで笑いを獲りますよね。

しかも、突っ込みが「南米か!」などに変わっている。

予定調和を期待する観客にとっては、
それは、二重の「思い込みの間違い」の笑い。

その「前振り」として、
「思い込みの醸成」の役割を担うのが、
「欧米か!」
の、繰返しです。

「2重の思い込みの間違い」
< 基準 >:「トシさん」が「欧米か!」と突っ込むかと思ったら
< ズレ >:「タカさん自身」が「南米か?」と突っ込む
<ツッコミ>:「『欧米か!』違うんかい!」「今度はこっちかい!」「自分で言うんかい!」

□□□□□□欧米か!(4)□□□□□□

タカさんの「南米か!」は、
形式的には、逸脱の存在を指摘する「突っ込み」ですが、
自らボケながら、
何も間違ってないトシさんを叩くという行動自体が、
常識を逸脱したディスコミュニケーション。

実際、トシさんは怒って突っ込みますね。

< 基準 >:タカさんが自らボケたにも拘わらず
< ズレ >:ボケていないトシさんを叩く
<ツッコミ>:「何で俺叩くんだよ!」「お前が言ったんだろ!」


上記の「ディスコミュニケーションの醸成(1)」「予定調和の緊張と緩和(2)」「思い込みの醸成(3)」は、
「反復」の直接の効果です。

(4)そのものは「反復」の効果ではありませんが、
「反復」の効果である(3)の「思い込みの間違い」を上手く効かせた笑いになってます。

□□□□□□まとめ□□□□□□

「反復」という言葉表現できる言動が、
笑いに貢献する事があるのは間違いありません。

ただ、その貢献の仕方は、
一つではありません。。

特に、タカアンドトシの「欧米か!」は、
反復には違いありませんが、
代表例として挙げるような一般的な形態ではないと思います。

「何を笑うか」を考えずにひとまとめに出来る程、
笑いって単純じゃないですね。


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