義母の同居を決めた妻、義兄夫婦へ怒りの反撃-かっちん夫婦とマミーの日々<12>
脳出血から重度の左片麻痺と高次脳機能障害になってしまった義母“マミー”を、施設に入れると言い張る長男(兄ちゃん)。当初は同居すると言っていたのに…と裏切られた思いに駆られた妻かっちんは、マミーとの同居を決めたことを機に、兄ちゃん夫婦への反撃に出た。
[広がっていく怒りの思い]
その後、家に帰ってきた妻のかっちんは泣きながら僕にこう言った。
「兄ちゃん・・・マミーを施設に入れるって…」
悔し涙にくれるかっちんだった。
思い悩む妻を前にして僕が出した決断は、仕事を辞めてマミーのリハビリと
介護をするというもの。これを聞いてやっと涙が止まったかっちんだった。
まぁなんとなく、そうなるだろうとは思っていたかっちんだったが、実際に
施設入所の話が出た時の兄嫁さんの態度には、相当頭に来たようだった。
「何でお義姉さん、兄ちゃんに何も言わへんねん!自分からマミー引き取る
から、昼間はかっこちゃん来てなって言うてたくせに!」
かっちんの兄嫁さんへの怒りは収まらなかった。
そして我家でマミーを引き取ると決めた後も、ジワジワとかっちんの心の中
で、怒りの感情はドス黒い墨のように広がっていった。
[妻が兄夫婦に送った反撃のFAX ]
僕は結局、仕事は辞めずに介護休業を取ることになった。
こう決めた時、ついに悪魔のかっちんは怒りの思いを行動に移した。
兄夫婦宛に以下のようなFAXを送りつけたのだ。
「お義姉さんが退院後はマミーを引き取ると言っていたから、病院側から
“当初は2ヶ月で退院”と言われていた入院期間を延ばすことができました。
だから今更、やはりマミーを家に連れて帰れないとは病院には言えません。
よって、たーちゃんが仕事を辞めて、マミーの世話をすることになりました。
なので、月々13万円をこれから我々に支払ってください。
よろしくお願いします」
この文章を見た時、僕は悲鳴をあげた。
「じゅ、13万円!?何これっ???」
するとかっちんはこう言った。
「だって今の病院の入院費高いねんで! リハビリの服とか布オムツとか
全部レンタルで月に8万はするねん!それプラス入院費で10万はするし、
私が病院に通うのに交通費が月2万かかっとんねん!」
「高いな~、でもそれだと12万でしょ?」
「1万は迷惑料や! ざまみろ!!」
一体何の迷惑料なのかよく分からないのだが、とにかく恐ろしいFAXを送り
つける怖いかっちんだった。
その後、FAXを受け取った兄嫁さんから電話がかかってくると、かっちんは
同じようなことを淡々と言っていた。
しかし13万の内訳の迷惑料1万円のことには最後まで口をつぐんでいた。
[同居は無理だと決め込む兄と、回復を信じる妹と]
そのFAXを受け取ったせいなのかどうかは分からないが、数日後兄ちゃんが
一人で病院へ現れた。
話があると言うのでマミーを車椅子に乗せて談話室へと向かうかっちん。
僕は怖いから病室で待っていた。
すると兄ちゃんはこう言ったそうだ。
「なんか、わけ分からんFAX送りつけてきたそうやな?」
「うん、送った」
「結論から言うけど、13万なんか払われへんからな」
「あっそ」
13万に関しては最初から無理だと思っていたかっちんは反論はしなかった。
しかし次の瞬間、かっちんは切れた。
「なんか、うちの嫁はんがお袋の面倒見るとか言うたとか言うてるらしい
けど、そんな事は嫁は言うてへんからな」
「はぁ~? 言うたよ!」
「いいや、言うてない!」
「言うたっちゅーねん!」
「いいや、絶対に言うてない!」
「ほんだら、本人に電話かけて聞いてみいや!」
「あかん、あかん! 今、仕事中や! そんなしょーもない電話できるか!
どうせオマエが勝手に言うてるだけやろ!」
そうやって逃げるんやなと思ったかっちんは、もう何を言っても無駄だと
思ったのか黙った。
すると兄ちゃんはマミーにこんな事を言い出した。
「なぁ、自分(マミー)なぁ、今の状態では家に帰られへんから、ここの
病院退院したら老健っていう施設行ってリハビリするか、それか療養型の
病院ってところがあるんやって・・・そこで療養できるらしいわ」
「ここを出て、他所に行ったら、リハビリが、あんまり、出来ない、らしい
です」
「まぁ、リハビリの量は今よりかは減るやろうけどな・・・でもあるには
あるらしいで?」
「リハビリ、すごく、頑張らないと、私の、体が、良く、ならないそうです。
だから、かっこちゃんの家に行って、たーちゃんと、リハビリ、頑張ります」
マミーのその言葉を聞いて兄ちゃんは言った。
「あんな、正直な話、ここのリハビリ病院で何ヶ月も厳しいリハビリやって
も結局立つことも杖で歩くこともできへんかってん。もうなんぼやっても
それ以上は良くはならんで?」
こんな風に兄ちゃんは、マミーの先のことまで決めつけてしまうようなこと
を言うのだった。
(つづく)
この回の兄ちゃんとかっちんの会話は僕はその場にいなかったので、後で
かっちんから聞いた話を書いたものです。が、何度聞いてもこんな風なこと
を言ってるので間違いはないと思います。
ちなみに介護ブログ時代に書いてた記事でも、脳出血をやった頃のマミー
の入院中の出来事などは、かっちんが事細かく当時の事を書いたノートを
元に、またかっちんから詳しく聞き込み調査をして書いていたので、僕の
ブログ記事はその大した事ない内容のわりには書くのに(仕上げるのに)
異常に時間がかかるというのが特徴的でしたね~。
普段の記事で僕がその場にいたような内容のものでも、臨場感出すために
細部(言葉使いとか)を細かくかっちんから聞きだして書いてたので1本書
くのに4時間位はザラにかかってたかな?
(※聞き込み調査の時間なども入れてね)
しかし今から考えると、よくそんなの毎日書いてたものだな・・・。笑
(まぁあの頃は音大受験生じゃなかったから時間的余裕あったしな~)
ちなみに今やってる「ピアノ男のソナチネソナタ」というブログはまんま
僕が主役のブログなので聞き込み調査などはいりません・・・がっ、それ
でも書くのに2時間以上はかかってる。(なんせ長文記事なので書いても
書いても読み直すたびに誤字脱字だらけなのでね~笑)
訂正しまくっても、やっぱり後から誤字脱字に気づく事も数しれず~。
ちなみに今、毎日ここで発表している「かっちん夫婦とマミーの日々」です
が、これは以前「たすケア」さんの方で書いてた記事なんですけど今回ここ
にUPするのに少し手直ししてからUPさせて頂いてます。
理由は「たすケア」さんの方へ納品していた記事は一応文字数制限という
ものがありましたので、活字中毒系記事を書く僕にとっては一通り記事を
書いても長すぎて削除しなければならない部分が沢山あったんですよ。
(それでも長すぎて1本の記事が3本とかに分けられて処理されたりして
「たすケア」さんの方にはいつも大変ご迷惑をおかけしておりました。笑)
なので「ここはもうちょっと書きたかったな~」と思うところが多々あったり
もして、そんなわけで全ての記事において少しばかり手直しさせて頂いて
ます。
なので、この「かっちん夫婦~」の記事UPするのも相変わらず時間かかって
るんですよ。笑
さてさて次回はいよいよこの緊迫するシーンに僕が登場します~。
争いごとが苦手なこの僕が、こんな場面に出てきて大丈夫かいな?って
感じなんですけど、果たしてどうなる事やら・・・。
では、また明日お会いしましょう~!
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