義母の持病サルコイドーシスが増悪、即入院-かっちん夫婦とマミーの日々<40>
脱水で倒れ、食べ物を受け付けなくなってしまった義母“マミー”。医師に「老衰」扱いされて不安になった妻は、マミーの延命治療について義兄と話し合った。胃ろうをしてでも生きてほしいと願う妹の思いを義兄は尊重し「好きなように決めたらええ」と僕たち夫婦に判断を任せてくれた。
[血液検査の数値で気づいた食欲不振の原因]
義母のマミーをこのまま老衰で死なせてはならないと思った妻のかっちん
は、ここ何ヶ月かに渡って内科から貰っていたマミーの血液検査の結果を
マジマジと見ていた。
すると、ひとつ気になる項目が目に飛び込んできた。
それはカルシウムの数値だ。
マミーの血液検査は昔から、中性脂肪の数値は若干高めなのだが、それ
以外は正常だった。しかし、ここ数ヶ月ほどカルシウムの数値が少しず
つ上昇してきている事に気が付いた。
なのでネットで調べてみると、かっちんの予想どおりの情報にヒットした。
「カルシウムの数値が高くなると、食欲が全くなくなる」というものだった。
そしてカルシウムの数値が上がる原因に、このような病があるというのが
書かれてあった。
「難病サルコイドーシス」
聞きなれない人も多いかもしれないが、僕たちにはなじみのある病の名称
だった。理由は、マミーがこの難病を抱えている身だったからだ。
ちなみにサルコイドーシスとは全身のあらゆる臓器に肉芽腫ができる病だ。
これを見て、さっそく内科へと走ったかっちんだった。
[患者側に問われて初めて病気の特徴を検索]
マミーの血液検査の結果を見せながら、内科医に問うかっちん。
「先生、母の食欲不振の原因は、カルシウムの数値が上がってるからじゃ
ないんですか?」
「あ~、カルシウムの数値が上がると確かに食欲はなくなりますね~」
「これって、サルコイドーシスが増悪してるんと違うんですか?」
「あ~、サルコイドーシスでカルシウムの数値が上がることはありますね~」
かっちんが自宅で調べていたのと同じように、机の上のパソコンで検索しな
がら、内科医はまるで昼寝から覚めた動物園のカバのようにのんびりとした
態度こう語った。
しびれを切らしたかっちんは言った。
「どっか大きい病院に連れて行きますから紹介状書いて下さい!」
「大きい病院・・・行きますか?」
「はい、すぐに連れて行きます!」
[妻の読みどおり、サルコイドーシスで即入院]
そんなわけで11月の初旬、マミーを大きな総合病院へと連れて行ったかっち
んだった。そして、その結果はかっちんの読みどおり、サルコイドーシスが
増悪していた。
そんなこんなで、即入院となったマミーだった。
この時のマミーのサルコイドーシスの治療には、入院してから約2ヶ月の
期間を要した。カルシウムの数値は入院後、ほどなくして下がったので、
マミーの食欲は元通りにもどった。
それには本当に安堵した僕とかっちんだった。
総合病院を退院後、3ヶ月はリハビリ病院へ転院しリハビリに励んだマミー。
もちろん、かっちんも毎日リハビリ病院へ通っていた。
以前のように、自分で車を運転をして・・・。
そのためには、家からリハビリ病院までの往復の道のりを新たに覚えなくて
はならなかったかっちん。なので以前のように僕と運転の練習をしたのだっ
た。
[体力が落ちたマミーのためデイケアを朝からに変更]
2014年の春にリハビリ病院を退院してきたマミーは、2年前に脳出血を起こ
して退院してきた時と同じように、体の機能がかなり落ちていた。
そして当時よりも年齢が上がってしまった分、とても疲れやすくなってしま
った。なので、毎日ずっと通っていた鍼灸整骨院へ行くのを辞めた。
その代わりに、デイケアへ朝から通うようになったマミーだった。
(※以前は午後から半日だけ通っていた)
実はこの時初めて知ったのたが、どうやらマミーはずっと、朝からデイケア
へ行きたかったようなのだ。
理由は昼からのお勉強で「今日のデイケアでのお昼ごはんは何だったか?」
というのがあったから。笑
まわりのみんなは朝からデイケアへ通い、そこで昼食を食べているので、
その質問に対して張り切って手をあげて答えていたそうなのだが、マミー
だけは昼食が終わってから通っているので、その日のメニューが分からない。
それがどうやら寂しかったと言うのだ。
それを聞いて「何で早く朝から行きたいって言わなかったの」とマミーに
問うと、マミーはこう言った。
「だって、朝から学校(デイケア)へ行くとお金が沢山かかるでしょ?」
僕たちの経済状況を気にしてこう言ってくれる奥ゆかしいマミーだった。
そんなわけで2014年春からはデイケアに月、水、金の週3回、朝から1日通
うようになったマミー。
そして火曜と木曜は訪問リハビリの先生にも来てもらうようになった。
鍼灸整骨院へ通わなくなってしまった変わりに、毎日訪問マッサージの先生
にも来てもらうようになった我が家。
そんなわけで時間ができた僕は、いよいよ2014年の6月から自宅で行政書士
の事務所を開業する運びとなった。
職業訓練ではせっかく良い評価をもらえていたので、週に数回でも短時間の
介護職に就きたいという思いは無きにしもあらず。
しかし、なんせ僕がいない時に限ってマミーがいつも大変なことになるのだ。
だからしばらくは、のんびりと自宅開業でもしときましょうかね~。
(つづく)
なんかね、マミーを在宅介護したての頃は、なんとなく介護サービスを使う
事に抵抗があった妻のかっちん。
デイサービスとか、ショートステイとか、そういった所に一日中親を預ける
という事は、自分が楽をしたいが為の行為だと思ってたみたいなのだ。
確かに、そういうサービスは介護者を少しでも楽にするというものではある
んだけど、どうもそれだけでは無いと思ってる僕~。
マミー自身も、ずっと家族とだけいるよりも、外に出かけて色々な人と会っ
たり、会話することでかなり気分転換になっているようなのだ。
しかも他人の方が家族よりも優しいというのもあるしな・・・。
(僕もかっちんもマミーのリハビリに関しては本当に厳しいですからね~笑)
なのでデイとかで僕やかっちんの悪口を言うのも、マミーのひそやかな楽し
みなのである。(しかし毎回「そんなにリハビリやってくれる家族さんなんて
他にいませんよ?」とたしなめられて帰ってくる可哀想なマミーだった。笑)
ちなみに今のマミーは、ホント学校(デイケアやデイサービス)が大好きで
見当識障害があるせいか時間の感覚がないのもあって、夕方にデイから
帰ってきて夕食食べて少し仮眠後、夜のリハビリが終わる9時頃には
「今からどこ? 学校?」
と帰宅後たったの4時間で学校行く気満々だったりします。笑
かっちんに「さっき学校から帰って来たばっかりやで?」と言われると
「あっ、そうか」とベッドに横になるも、また2.3時間経つと
「今からどこ? 学校?」
と夜の12時に学校行く気満々のマミー。
ホント学校が大好きなところは手のかからない良い子のマミーです。笑
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