プリンターおじさん ベトナム サパ ©アジアしあわせ特急 


プリンターおじさんとは、変なおじさんである。外国語は全くできないが、リュックに携行しているデジカメとプリンターを駆使して、現地人、特に子供の人気を得る。プリンタースペシャリストである。中国と東南アジアに詳しい。謎が多い。
出典:たっちゃんペディア






 プリンターおじさん登場


サパ、2日目。
昨日も雨で今日も雨。

宿のドミトリールームで「うだうだ」していると、初老のおっちゃん(以下Hさん)が入ってきました。

声をかけてみると日本人でしたが、「俺はちょっと変わってるから」と挨拶もそこそこに、カバンから「小型の充電式プリンター」と「デジカメ」を取り出しました!

二代目プリンター

「記念にね」と私にポーズを取らせてシャッターを押したHさん。

すかさずプリンターで印刷して写真をプレゼントしてくれました。

「俺は色んな所で写真を撮ってきたんだよ。言葉が通じなくても、これをやっておくだけで、その後の待遇がかなり違うんだ」


・ウルルンを知らない人は是非↓






 サパに来る前


少数民族の村にホームステイしていたようで、その時の写真を見せてくれました。

子供たちが何人か集まって、こちら(カメラ)に笑顔を向けている写真がたくさんありました。


「まずは子供からだね。全員の写真を取って全員にプレゼントしたんだ。はじめは嫌がる子もいたけど、撮った写真がプリントされていくのを見ると、みんな目の色を変えるよね」


「プリンターのおかげで大人にも気に入られて、ほら」と自分の袖をまくって腕に巻かれた金と銀のブレスレットを見せてくれました。

5,6個ありました。

「普通では考えられないだろう」と言いながらHさんは笑っていました。





 年齢


Hさんの年齢が60代後半と聞いてビックリ。もっと若く見えます。

仕事の合間を利用して、中国と東南アジアを中心によく旅行しているとのことでした。

「ベトナムは北も南も主なところはほとんど回っているよ。カンボジアは地方も全部回った。中国もよく行ったね」と、旅行の遍歴や体験を話してくれました。

今回の宿には日本人が私とHさんしかいなかったので、その後、数日間、ほぼ行動をともにすることになりました。



 若い頃


Hさんと話をすればするほど、その「得体のしれなさ(底の深さ、奥の深さ)」に驚かされました。

ある時は若い頃のやんちゃ話、ある時は商売や経営の話、またある時はマスコミや報道の裏話など、話が尽きることがありませんでした。

中卒でサラリーマンをしていたこともあったようですが、転機があり独立して商売をはじめ、かなり儲かっていた時期もあったとのことでした。

あるサービス業の創成期にあたり、止めずに続けていたら今頃、何億と稼いでいただろう等、私の知らない話ばかりで、とても興味深かったです。



 お酒


夜、一緒に飲みに行くと、儲けるための考え方や、女性にモテる方法等、惜しみなく話をしてくれました。

ただ、話に夢中になっているかと思えば、店の従業員同士の上下関係を鋭く見抜いたり、従業員に写真を印刷してプレゼントしたりする等、まさにマルチプレーヤーな働きもしていました。

それでいてお酒もめっぽう強い。



 コミュニケーション


Hさん:飲んで帰るだけでもいいけど、どうせ遊ぶんなら楽しいほうがいい。私は外国語が全くダメだけど、このプリンターがあるとコミュニケーションも成り立つし、楽しむこともできる。コツもあるんだけどね。色々経験してきているからそれが分かるんだ。君も何か自分にあった方法で新しい遊び方を考えてみるといいよ。

:うーん、それがなかなか難しいんですよねえ。特技とか何もないですし…。

Hさん:何もないってことはないよ。難しく考えなくてもいい。自分のできる範囲で何ができるか。絶対に何かあるから。次回の旅行ででも試してみるといいよ。

:そういうもんですかねー。ちょっと考えてみます。

(私はコミュニケーションを始める「きっかけ作り」が苦手です。「何かあればいいのになぁ」と思いながら、Hさんの話を聞いていました)

Hさん
:それとさぁ、
ベトナムでも今は、みんなスマホは持っているけど、自分の写真を持っている人は少ないと思うよ。まして我が子の写真など持ってないのでプレゼントすると非常に喜ばれるんだ。

:そうなんですかー。

Hさん:うん。
俺は、一見、嫌がっているような人でも関係なく声をかけるよ。そこから生まれるコミュニケーションが面白いのよね。



 合気道?


隣のテーブルのベトナム人グループに声をかけ、写真をプレゼントするうちに話が弾み「こっちに来て話そうよ」ということになり、隣のテーブルにお邪魔したこともありました。

別のグループからは「この後、コーヒーを飲みに行かない?」と誘われたりもしました。

テーブルを移動してひとしきり談笑した後、Hさんは「よし、いっちょ教えたろうか」と席を立ちました。

aikido_man

ある男性の腕をとって肘を使って固める。その状態で動いてみるように促す。でも、その男性は動けない。

「合気道の技だよ。女の子でも簡単にできるからやってごらん」

ベトナム人グループは大喜び。

「アイキドーゥ」等と言いながら、みんな試していました。

そんな時でも、一番おとなしい女の子の写真を撮って印刷したりするなど、気配りも忘れていませんでした。

ほんと、凄い人です!



 感想


私はベトナム語が少しだけ話せるようになっていましたが、そんな小手先の語学力なんて軽くぶっ飛ぶぐらいの「圧倒的なコミュニケーション力」をHさんは身に付けていました。

出会った時に「俺はちょっと変わってるから」と言ってましたが、Hさんはムチャクチャ変わってる人でした。

「旅の人1」の記事に書いた「変人ってマイナスの表現じゃないよ。リスペクトだよ」の話を思い出しました。

Hさんは確実に変人です(^^)



 旅の人


旅の人1:「変人ですね」という言葉にはリスペクトの意味がある

旅の人3:ベトナムのホーチミンで人力車「シクロ」のドライバー、ファンさんに出会う

旅の人4:おっちゃん会議 in プノンペン

旅の人5:中国の西域「トルファン」(1988年の夏)





 旅ラジオ


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 おわりに


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

アジアしあわせ特急では、皆様からのお便りをお待ちしております。

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これからも、アジアしあわせ特急を宜しくお願い致します。



2017年09月28日 初回投稿
2020年03月15日 更新
2020年04月04日 旅ラジオ配信
2020年04月11日 旅ラジオ配信
*文中の「私」は人見知り系バックパッカーのたっちゃんです。

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