母乳保育のメリットはいろいろありますが、代表的なものは母親の持つ免疫(抗体)の移行です。
また、母乳保育によって子供のアレルギー性疾患(アトピーや喘息など)の発症が減るのではないか?という話は昔からあります。
今回はそのことが医学的に正しいのか、検証したいと思います。
Duration and exclusiveness of breastfeeding and school-age lung function and asthma.
母乳保育の長さと喘息の発症に関連なし。
Duration and exclusiveness of breastfeeding and risk of childhood atopic diseases.
母乳保育期間が短いと湿疹は増加するが、アレルギー感作や医師がアレルギーと診断する割合は変わらなかった。
母乳保育によってアレルギー性疾患の発症は減少しなかった。
Breastfeeding and asthma outcomes at the age of 6 years: The Generation R Study.
母乳保育期間が短いと喘息が増加した。
Breastfeeding and atopic eczema in Japanese infants: The Osaka Maternal and Child Health Study.
母乳保育によってアトピー性湿疹の発症は減少しなかった。(日本のデータ)
このように、中には母乳保育による良い影響も報告されているものの、大半の論文は母乳保育によってアレルギー性疾患の発症は減少しなという結果でした。
母乳育児にアレルギーに対する効果がないことは残念です。
一方で、病気等のために母乳育児をしたくても諦めなければならないお母さんもいます。
中にはご自身が母乳育児を出来ないことを負い目に感じる方もおられます。
過剰な「母乳信仰」がそのような人たちを苦しめるわけですが、今回の結果から、たとえ母乳を与えられなくても、我が子のアレルギー発症には影響ないという情報が、一助になればと思います。