キッチン カウンター | 男の喫茶店

男の喫茶店

昔、日々の中で書き留めていた詩やエッセイに手直しをしながら載せていきます。


君の手料理を食べ終えたなら

君が涙をこぼす前に

部屋を出ようと思う


けれど

僕が部屋を出た後に

君が一人食器を洗う姿を想うと

あまりにも忍びないから


僕が食器を洗うことにした



最初で最後

食器を洗いだす僕に

君は最後の微笑を見せた



キッチンカウンター越しの君は

手持ちぶさたになって

ソファに腰掛ける


ここから見える君は

まるで初めて会った他人のよう



僕は本当の君が見えていなかった



君はいつもこのフレームから

僕を眺めていたんだね


僕の姿に将来を描けた?


君にとって

僕はどんな存在だった?


今になって愚問が湧き出る



食器を洗い終えて

僕がこの部屋を出れば


君は故郷に戻って

間違いなく

幸せになれるんだね


それが君が出した

最後の答なんだね