君の手料理を食べ終えたなら
君が涙をこぼす前に
部屋を出ようと思う
けれど
僕が部屋を出た後に
君が一人食器を洗う姿を想うと
あまりにも忍びないから
僕が食器を洗うことにした
最初で最後
食器を洗いだす僕に
君は最後の微笑を見せた
キッチンカウンター越しの君は
手持ちぶさたになって
ソファに腰掛ける
ここから見える君は
まるで初めて会った他人のよう
僕は本当の君が見えていなかった
君はいつもこのフレームから
僕を眺めていたんだね
僕の姿に将来を描けた?
君にとって
僕はどんな存在だった?
今になって愚問が湧き出る
食器を洗い終えて
僕がこの部屋を出れば
君は故郷に戻って
間違いなく
幸せになれるんだね
それが君が出した
最後の答なんだね