湖について | 男の喫茶店

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昔、日々の中で書き留めていた詩やエッセイに手直しをしながら載せていきます。

湖は

さざ波が

遠い感傷を覚ます



湖は

そよ風が

新しい予感を耳打ちする



湖は

爽やかな空気が

皮膚をなだめる



湖は神秘的で美しい



湖は過去 未来 現在を

見透かしているように存在する




ただ

湖は

いつも

美しいとは限らない



湖面の色は日によって違う



どんな生物が潜んでいるのか

誰にも教えない



月を映す夜もあれば

何も映さない冷淡がある



織り成す部分の組合せが

もっとも調和した時

景色の総体が

美しいのであって



湖自体が

美しいのではない



湖は

訪れる人に

へつらう時がある


湖は

いつまでも

正体を明かさない