黒柴スポーツ新聞

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福島県のふたば未来学園高校「ノーヒットノーラン、夏初勝利」で考えたこと

原発事故受け皿校」。なんだ、この見出しは? そう思って、購読している新聞の夕刊を見た。原発事故受け皿校ってほかに言い方ないんかな、と思ったがともかく記事を読んでみた。そしてびっくり。原発事故受け皿校とは福島県広野町にある、ふたば未来学園高校のことで、全国高校野球選手権福島県大会で初勝利を挙げた記事だった。

 

 

読み進めてさらにびっくり。「夏1勝」どころか、3年生投手の草野陸世君がノーヒットノーランを達成したのだ。

 

だれがやってもノーヒットノーランはすごい。夏の福島大会では実に34年ぶりの快挙という。だから本来はこれがニュースになるはずだ。だがこの記事は「東京電力福島第1原発事故の影響を受けて休校した五つの学校の受け皿になった学校」、あるいは「原発事故の影響を受けた生徒」の快挙である、というところにニュースバリューが見出されている。

 

それが何とも悔しい。特に野球好きにとっては。

 

もちろん、キャプテンが言うように「避難者の希望になるように」という気持ちは正直なところだろうし、実際、応援にいった関係者はめちゃくちゃうれしかったに違いない。もし筆者が関係者で、スタンドにいたら泣いてしまったかもなと想像してみた。

 

草野君の自宅は楢葉町にある、と記事に書いてあった。小学校の時に被災して、避難先のいわき市内の中学校で野球を再開したというが、野球は心の支えどになったのだろうか。どんな気持ちでふたば未来学園高校への進学を決めて、どんな気持ちで高校野球に打ち込んでいるのか。いろいろ考えさせられる記事だ。

 

地元、福島民友新聞の記事をネットでチェックしてみた。「ふたば未来『休校5校の思い胸に』 夏初勝利!新たな歴史刻む」という見出し。そう、そうだった。この初勝利ふたば未来学園高校のものであると同時に、休校した五つの高校の思いも込められたものだった。

 

このノーヒットノーランは第三者でもぞわぞわぞわっと鳥肌が立った。そして何だか元気をもらった。避難を余儀なくされている地域の実情も知らないで軽々しくは言えないけれど、いずれ「原発事故の影響を受けた学校の」という但し書きがなくともプレーの中身でまた話題になってほしいなあと。いつまでもそういう目線で見ては選手にも失礼かもしれない。選手自身が「被災者の希望に」とコメントするならばいいけれど、何でもかんでもそういうストーリーにするのもどうかなあと(実際、上記の福島民友記事は必要以上に原発事故に絡めているとは思えない)。筆者自身、被災地での取材を始めたころに、美談に救いを求めていた節があったことへの反省を込めて思ったことだ。

 

ふたば未来学園がフツーに強くなって、勝ってももうニュースにならなくなったらもっと福島は元気になっているんじゃないか。そう思いながら彼らの活躍を遠くから楽しみにしていようと思う。

 

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