ほぅ~
思わず裕太は、ガクンとその場に膝をつく。
「寝ているだけ?」
もしくは…気絶しているのか?
そう思うと、力が抜ける。
『おそらく、アイツがジュンペイを乗っ取っているんだろ』
なぜか自信たっぷりな答えが、裕太の頭に響く。
「乗っ取る?」
それって、なんだ?
裕太には、リュウタの言うことが理解できない。
(あのドローンのせいで、ジュンペイが動けないのか?)
すぐさま、天井でとどまっているドローンを見上げる。
さっきまでは、裕太の様子をうかがっているようだったのだが…
今度はフワフワと浮遊し始める。
「ちょっと!」
逃がすもんか!
裕太はグンと、立ち上がる。
「ジュンペイを返してよ!」
ジュンペイがこうなったのは、お前のせいなんだろ?
ドローンをにらみつける。
「返すって?」
人聞きの悪いことを言うなぁ~
ドローンが、笑っているように見える。
そんなはずがない。
だって、機械なのだから…
裕太はそう思うけれども。
裕太には、何だか優越感に浸っているように見えるので、
急にムカムカと、怒りがこみあげてくる。
「こいつめぇ~!」
もしもこの場に、石があったのなら、すぐにでも投げつけて
いただろう。
だが、裕太が手に取ったのは、諸悪の根源(と裕太は思っている)
のリモコンだ。
プツン!
迷うことなく、赤いボタンを押す。
途端に、ストップモーションがかかったように、
ヒュルルルル…と、ドローンがまっすぐに落ちてくる。
裕太はジュンペイを守るようにして、とっさにジュンペイに
覆いかぶさる。
その時…竜がパッと動く。
ビン!とその長い胴体を動かすと、裕太目掛けて落ちてくる
ドローンを振り払う。
バリン!
凄まじい音を立てて、その機械は岩にたたきつけられる。
裕太はただ、頭を手で守るようにして、ジュンペイの
上に丸まった。