身辺整理。捨てるのは物じゃない、

 玄関の上がり框のすぐ脇に、箱入り食器を大小十数個積んだままで年を跨いだ。それも2年連続で。なぜこんなことになったか。
 先月12/7に書いたが、「ご家庭の不用な物、履かなくなった靴や古いTシャツ1枚から買い取ります」とリサイクル業者から営業の電話がかかってきた。いつもなら断るものを、翌日訪問の約束をしたのは、明確に処分したいものがあったからだ。内祝いや引出物に頂いて十年以上も眠らせた食器の箱たち。
 実は、もう1年前の年の瀬から出してあったのだ。その時も別のリサイクル業者からの電話で、この地区を順に買取に回るというので断捨離を思い立ち、選び出したものだった。しかし翌日、訪問はなく、箱を積み上げたまま年が明け、春先に私がひと月入院をした間に夫が目立たない所へ移動させてくれた。が、依然として存在する箱たち。
 どうしたものかと頭の片隅にずっと引っかかっていた。今度こそ片付く筈が、今度もお流れになってしまった。年が明けた上がり框はデジャブのような光景である。
 なにやってんだ、私、なんとかせねば…。さすがにこれではイカンと頭を抱えていると、夫の同僚が「ネットで売れるよ」、また某ブログの「自分が要らないものは他人も要らないと思い込んでいたけれど、そうとは限らないらしい」、この2つの言葉に背中を押して貰い、ネットのフリーマーケット”メルカリ”をスタートさせた。
 これは私にとって画期的と言えるだろう。夫と違い、これまで私はネットでの買い物をほとんどしたことがなかった。それがこの度、売り手側になるのだから。
 メルカリはなるほど分かり易いシステムで、記念すべき初出品の、写真を撮り、説明を添え、値段はどうせ業者さんに出しても付くか付かないかだからと配送費程度に設定して「出品」ボタンを押した。さあ次、2品目の写真を撮っていると、なんと1品目が「購入されました。発送をお願いします」と通知が来た!早いっ、売れる、片付く~♪ よし1日に3個ずつ出品だ! 値が安いからか3個のうち1個は売れるのだ。
 だが喜んだのも束の間、送るのは割れ物である。慌ててスクーターでホームセンターへ走り、段ボール箱とガムテープを買ってきて、新聞丸めてぎっちりと詰めて、封をして、郵便局へ走って。これを4日間繰り返すことになった。ちょっと草臥れて、今日は出品を休んでいる。
 あれは2日目だったろうか。梱包にはプチプチシートなんかが今後どんどん要りそう、買わなきゃダメかな、夫がよくネットで買い物をするのだけれど、その際に出た段ボールやパッキング材、これまではすぐに捨ててしまっていた、まさかこんなことになるなんて思わないから。そんなことをこぼすと、夫が2階へ上がり、燃えるゴミの袋を提げて降りてきた。中には使用済みのプチプチや緩衝材なんかが詰まっているのが見えて、「わあっ宝の山!」と叫んでしまった。そしてすぐに、そんなげんきんな自分が可笑しくなった。だって袋の中身は今まで目のタカキにして捨てていた物たちだ。
 今回つくづく思った。立場変われば真逆にもなる、誰かのゴミは別の誰かの宝物。自分勝手な思い込みこそ断捨離してしまえ。