国民健康保険料に自治体格差はあるのか? | 八ヶ岳ゆるふわ日記

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 8月17日付け日経新聞朝刊に、「国民健康保険料統一進まず」との記事があった。

 なんでも、来年度から国民健康保険事業の運営主体を各市町村から都道府県に移管することになっているが、都道府県内の料率統一作業が進んでおらず、現時点ではわずかに山梨県など9府県が統一に向けた検討に着手している状況である、とのことだ。

(なんであれ、健康がいちばんさ~  「みさおとふくまる」より)

 

 ふ~ん、なんだか大変そうだね、とのんびり構えていたが、よく考えてみれば2020年4月からは(現企業健康保険の任意継続期間が終わるため)、私も国民健康保険の被保険者になるのであるから他人事ではない。

 

 国民健康保険料は高い、老後の年金生活の圧迫要因、という話はよく聞く。実際どれくらいの負担になるのか、はたまた自治体によって格差があるのか、調べてみた。その結果次第では、住民票は杉並区のまま、という選択肢もある。

 調査対象は現在の住まいの杉並区、北杜市、甲府市(県内統一の際のベースとなりそうだから)、それから老人医療費無料で有名な長野県原村の4都市である。

(料率などは各自治体HPより)

 

 現時点では、杉並区よりは北杜市に住民登録した方がよさそうだ。モデルケースで月に4,158円、

豆玄コーヒー換算693グラム相当の節約となる。

 

 よっしゃ~北杜市だ、というのは早計だ。

 

 まず、県内統一作業の過程で、北杜市もマジョリティの甲府市にひきずられて、料率が上がるものと思われる。

 
 次に、「資産割」の扱いである。もともと課税根拠の曖昧な固定資産税と健康保険料を連関させた狂気の沙汰「資産割」は、厚生労働省の指導で都道府県移管の際に廃止される模様である。

 

「保険料適正算定マニュアル」(2016.2厚生労働省保険局国民健康保険課編)によると、

4方式の場合(=現北杜市) 所得割40% : 資産割10% : 均等割35% : 平等割15%

3方式の場合(=現甲府市) 所得割50% : 資産割 0% : 均等割35% : 平等割15%

としなさい、となっているので、資産割廃止の折には所得割の税率が現行の20%増しとなり、杉並区と大差ない料率となる。

この結果、私の場合は北杜市内の資産が少ないので、保険料が10%程度値上げとなる(泣)。

 
 これらの帰趨がはっきりしないうちは、どの自治体が、というのはにわかに判断ができない。

 

 老人医療費無料の村、原村の保険料がそれほど安くないのも意外である。ペンション産業が衰退し、村興しとして始めた施策なのだろうが、噂が噂を呼び、今では「医療費特別給付金」も年間2億円規模に

迫っているのではないだろうか。最近受給対象年齢を引き上げたようだが、同村HPを見るとさらに70歳以上に限定するらしい。

 

 原村を批判するつもりは毛頭ないが、この手の給付金施策というのはちょっとズルいところがあって、支出してもそれに伴って地方交付税交付金も増えるので、自治体の腹は大して痛まないのだ(それでも変なバラマキよりはるかにマシであるが)。

「やったもん勝ち」という意味では返礼品つきふるさと納税とよく似ている。

 原村の財政も、地方交付税17億円(平成27年度決算値)が主要財源で、自主財源率はわずかに38%、来年度の長野県統合の時点で、施策そのものの見直し論が高まるに違いない。

 
 国民健康保険料はさておいて、杉並区、北杜市どちらの住民となるか。
 温泉が安くなることはともかく(どうせ使わない)、「5年間毎月レシート収集」という全く意味のない苦役から解放される分、わずかに北杜市がよい、というところだろうか。
 

(左 阿佐ヶ谷河北総合病院 右 北杜市甲陽病院 将来どちらの厄介になるのだろうか)