八ヶ岳そば事情 新そば祭りはどうなってる? | 八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。

 

  八ヶ岳山麓はソバの産地である。

 「信州信濃の蕎麦よりもわたしゃあなたのそばがいい」、蕎麦といえば長野というイメージも強いが、

大泉でもあちこちでソバ畑を見かける。

 

(ソバの花のむこうに金峰山)

 

 私は蕎麦は好きだが、立ち食いソバ屋以外ではまず食べない。法外に高いからだ。

 米のできないやせ地で育った穀物を水でちゃちゃっと捏ねて1000円なり~、ラーメン屋主人の手間のかけ方、材料へのこだわりとは大違い。それでもありがたがる方も多いから、蕎麦屋が脱税の本にとりあげられるのも不思議ではない。

 

 私の憤懣はさておいて、大泉には7軒の蕎麦屋がある(もっとあるかもしれない)。

 あの「仙人小屋」も含めると8軒になるが、あちらは「まあついでに蕎麦も出してます」ということだろうから(あくまで推測である)、除外して7軒である。

 

 

  

  私がつきあい等で時々行くのはこのうちの2軒。

 

 1軒は「藤乃屋(地図C)」。若林交差点からひまわり方面へ500メートルほど行ったとこにある。地元のじいちゃんばあちゃんが多い気取りのない店である。

 蕎麦は普通。高いから当たり前だが「ゆで太郎」よりは旨い。ゆで太郎のモリそば320円を基準値(「Y値」と呼ぶことにする)にすると、Y値1.97。

 

(田舎家そのもののたたずまい 妙に気取っていない)

 

 もう1軒が「まつ浅(地図D)」。ここはテラス席があって、ワンちゃんOKなのがありがたい。

高原大橋交差点のセブンイレブンから少し大橋方面に行った道路沿いのわかりやすい場所にある。

蕎麦は普通。高いから当たり前だが「ゆで太郎」よりは旨い(Y値2.66)。

 

(高原大橋方面から来ると左に看板が見える)

 

 大泉で蕎麦を召し上がるなら、まずは「パノラマの湯」の露天風呂に浸かって、併設の「八ヶ岳いずみ荘(地図G)」の蕎麦を試してみてはどうだろうか。350円の蕎麦を物差しに、どこが旨いそこが旨い、と

評価しても面白いと思う。

 蕎麦は普通。値段はあまり変わらないが、「ゆで太郎」よりあきらかに旨い(Y値1.09)。

 

(パノラマの湯露天風呂は好天時の眺めがよい)
 

 食べログスコアが一番高い蕎麦屋が「さかさい(地図A)」。麦と卵街道(県道28号)沿いのコーヒー「豆玄」の近辺に看板があり、それを見落とすとまずたどり着けない。

 

(細い道を進んで行くと最後の看板 奥は「さかさい」とは関係ない民家)

 
 林の中にぽつねんと「さかさい」はある。この深山幽谷感のようなものが、旅人の旅情を刺激するのであろう。
 蕎麦は普通。ツユが塩辛くて私は苦手だ(Y値2.78)。
 
 もしここに行かれることがあったら、帰りは一軒家の美容院の手前の十字路を南へ降りて、ステンドグラスとアイアンの工房「KOJI」に立ち寄られることをお奨めする(KOJIの記事→ここ)。
 その道をさらに下っていけば額工房「なな」、「根ノ鼻窯」もある(窯の記事→ここ)。
 
 「曄(よう 地図B)」は八ヶ岳ロイヤルホテルの沿道にある。旨いも不味いも、とにかく高すぎる。Y値は
3.13、ここの蕎麦1杯がゆで太郎の3杯以上の価値がある、ということだ。
 私には宿泊客目当てのぼったくりにしか思えないが、まあ蓼食う虫も好き好きである。
 
(店構えはわりと地味 奥は関係ない建物)
 
「豪蕎麦(地図E)」、「きままや(地図F)」は店の前をクルマで通ったことしかないが、値段が値段なのだから、ゆで太郎よりは旨いはずである。「きままや」のY値も3を超えている(3.12)。
 
 なぜこのように蕎麦は高いのか。大泉と東京のそば経営を比較してみた。
 
 
 やはり飲食業にとって人件費負担は重い。
 その点大泉の蕎麦屋はほとんどが家族経営(に見える)なので、人件費を大幅に削減できるアドバンテージがあるが、一方でその分年間の実稼働日数が少ないというハンデがある。
 
 この試算ではゆで太郎の価格設定では赤字になってしまうが、
・ フランチャイズ方式により人件費、物件費をすべて店主側に持たせていること(どのゆで太郎も朝から 
 店主自らシャカリキである)
・ そば粉(含有率45%)単価が低いこと(1杯50円位?)
・ 損益分岐点を3,000杯/月以上において本部店舗一体であの手この手で集客していること
などで本部としては経営を成り立たせているのだろう。
 
 それにしても、家族のみで経営し、そば粉の質をちょっと落とし、建物の固定資産税が屁のような古民家で蕎麦屋をやれば笑いが止まらないはずだ。単品で粗利500円以上稼げる食い物屋は、海の家を除けば世の中にそうそうあるものではない。 
 
 北杜市で一番有名な蕎麦屋は清春芸術村近くの「翁」だと思うが、もっと大泉に近いところでちょっと変わったところでは、「いち(高根町箕輪)」。
 昭和初期の病院跡をそのまま店舗にしている。蕎麦屋というよりは観光スポットだと思えば1600円の蕎麦も納得できるかもしれない(私はできないが)。
 

(立派なこしらえの玄関 一発でたどり着くのは至難)

 

 もう一軒は高根町パン「インノ」のさらに奥にある「紬山荘(つむぎさんそう)」。

 繰り返しになるが、蕎麦は普通。高いから当たり前だが「ゆで太郎」よりは旨い。

 蕎麦屋兼フレンチの店で、蕎麦はもう食わないが、フレンチは一度試してみたい。

 

(紬山荘HPより ここもそう簡単にはたどり着けません)

 

 大泉観光ならパン屋さん巡り、工房巡りなどをお奨めしたいが、「やはり蕎麦で」、ということならば、

パノラマの湯に浸かって軽く蕎麦を召し上がり、その後はカーナビが役に立たないアドベンチャードライブも味わえる「さかさい」、「紬山荘」あたりを回ってみてはいかがでしょうか。

 

 ところで毎年10月下旬に開催される新そば祭りのお知らせが、今年はいまだに掲示されない。

 今年はやらないのだろうか?

 ひょっとして田舎蕎麦派対更科派の対立とか、価格破壊の動きで足並みが揃わないとか、天候不順で「サンマ祭り」のように新物が使えないとか、外からは窺いしれない蕎麦業界の裏事情があるのかもしれない。