(中野北口 第二力酒造)
かつて世話になった会社の先輩が声をかけてくださり、久々に酒席を共にした。場所は中野北口の
名店「第二力酒造」である。
第二力酒造は1962年に新井薬師の本店(力酒造)から暖簾分けし「第二」を名乗ることになったが、その本店も今はなくなり、わずかにここ第二力酒造と第六力酒造(三鷹)が残っているらしい。
(外はボロいが中はピカピカ)
近況報告の後は第二の人生の話となった。まあ、第二力酒造ですから。
以前記事にした植木屋を志した先輩は剪定技能講習を無事終了(記事は→ ここ)、ハローワークの斡旋で4月から都内の某有名ゴルフ場で植栽の手入れやらなんやらをすることになったそうだ。
「普段は何を?」
「うん、だいたいは〇〇〇カントリーにいますね」
すこぶるかっこいいではないか(残念なことに本人はゴルフはやらない)。名刺も「〇〇〇カントリー
テクニカルアドバイザー」とかにしたりして。
勤務は週5日、朝6時から16時まで(途中休憩がふんだんにあるらしい)だという。
朝飯はクラブハウスで朝定食を食うのか訊ねると、社員用の食堂が別にあるとのこと。休憩はキャディさんの休憩室を使うそうだ。
どうかアヤマチが起きませんように、私は愛すべき先輩のために密かに祈った。
(小金井カントリー洋朝食セット 記事とは関係ありません)
昨日は去年定年退職した同期がわざわざ昼メシをご馳走しに会社まで訪ねてくれた。昨年私がこの
男に退職祝いで昼メシをおごったお返しだそうだ。その律儀さに頭が下がる。
お言葉に甘えて近所の割烹で天丼セットを食いながら近況を聞くと、ハローワークの強引な斡旋により現在個別指導塾の講師をしているという。
相手は小学生、中学生、高校生と千差万別、しかも国語から数学英語全教科、2日前に教える相手とその生徒が取り組んでいる問題を渡され、解き方を2時間ほど個別指導するそうだ。
もともとこの男は性格はいいが、おツムはそれほどいい方ではない。私が疑惑の目でじっと顔を見つめると、
「あ、高校生の数学は除外してもらった」と正直に告白した。
男の観察では、ハローワーク職員の勤務評定はマッチング数で決まるらしく、面談の席上で職員自ら塾に電話、その場で採用となったそうだ(おツムの出来が露見しなかったのは僥倖である)。
2時間の指導も大変だが事前の予習がもっと大変で、その時間も加味すると時給は1000円に達しないよ、とのこと。
明日は我が身、心から同情した私は500円の高級コーヒーをご馳走してあげた。
その前の日は同じく昨年定年退職、そのまま再雇用となった同期とメシを食った。
この男は今年1月に脳梗塞で倒れ、そのまま手術、1か月半にわたって生死の境を彷徨ったあげく先週退院して会社に復帰したのである。
男は毎週末はテニスかゴルフという根っからのスポーツマンで、筋肉質のスリムな体型、血圧は上が私の下とほぼ同じという健康男であったが、すっかり尾羽うち枯らして哀れな風情である。
これからどうすんだ、と聞くと「うん~~とりあえず、4月以降も、継続雇用、にした~」とのこと。
言葉が訥々としているが、この男も生来おツムの回転がイマイチなのでそのせいなのか業病のせいなのかは今となっては判断がつかない。
私はこれからはそう会うこともないであろう男の健康を心から祈った。
まさに第二の人生は十人十色である。
人生いろいろ、仕事もいろいろ
いま~輝くのよ私たち
いま~飛び立つのよ私たち
笑い話に希望がいっぱい
希望の中に若さがい~っぱい
頭の中に古い曲が流れる。ことによると頭の中ではなく、店の有線放送かもしれない。
夢うつつの中、ゆる~く、ふんわりと第二力酒造の夜はふけていった。