「いや、それはちょっと」
「約束が違うだろ」
ナイトとルークが、女に向かって渋い顔をする。
「ねぇ、なに?」
「何をそんなに、もったいぶっているの?」
アキとカガリが、ナイトの腕にぶら下がらんばかりにくっついて、
にぃっと笑う。
「何かおかしい」
「すごくあやしい」
逆に二人が、からみ始める。
あぁ~こうなると、思っていたんだ!
ナイトは大きくため息をつくと、ルークの方を見る。
「いや、大した知り合いなんかじゃあない」
「初対面だよ」
どうにかして、子供たちを彼女から遠ざけようと、頑張る。
「あやしい」
「なに?」
名探偵のごとく、アキとカガリが、じぃっと見上げる。
「うーん、まさか…三角関係とか?」
「やだぁ~」
ユウジの言葉に、アキがひゃあひゃあと笑う。
「あら、可愛い子供たちねぇ」
彼女は二人に向かって、ニッコリと笑いかけた。
「はじめまして。私は、メアリー」
長くて、豊かなシルバーに近い色の髪を揺らして、彼女は
ペコンと頭を下げる。
もちろん、カマは持ったままだ。
「メアリーさん?」
「はじめまして」
こうして間近で見ると、色白で、とても端正な顔立ちを
している。
一発でノックダウンされたのか、ユウジはぼぉっとした顔で、
彼女の顔に見とれている。
「おい、ユウジ」
ショータが、からかうように突っつく。
「へっ?」
ポカンとした顔で、ユウジはショータを振り向いた。