「義訓(ぎくん)」というものがありまして、漢字とかに本来の読みとは違うルビをあえてつける技法のことです。
ハンターではめっちゃ多いです。
それがついに今週はサブタイトルにまで侵食しました。
週刊少年ジャンプ 冨樫義博 ハンターハンター No.377 均衡(バランス)
ハンターはサブタイはいつも二字熟語ですが、今週のサブタイも普通に「均衡(きんこう)」でいいんじゃねーの?とも思うんですが、どういう意図なのか「バランス」ってつけてあります。
義訓は、古くは例えば「生命(いのち)」とか、英語が入ってきた時代では「牛乳(ミルク)」とか、日本語の柔軟性を生かした技術なんですが、現代の漫画文化では柔軟性とかいう次元をもう超越してます。
「強敵」と書いて「とも」と読むみたいな。
特攻の拓の「“事故”る奴は… “不運(ハードラック)”と“踊(ダンス)”っちまったんだよ…」が有名でしょうか。
漫画を外国語に翻訳する人にとっては悩みの種らしくて義訓は英語では「DEEP FURIGANA」と呼ぶそうです。
正直なところ、ハンターって、意図が分かる義訓も分からない義訓も大量に混在しているなあーって常々思っていました。
今週あったもので例えれば「幻影旅団(クモ)」は前者。
「能力名“恋のエチュード”(サイキンオセン)」は、ぎりぎり前者ですが、そもそも能力名に義訓をつける漫画ってハンターに限らずめだかボックスとか文豪ストレイドッグスとか多いですがそういう慣例にあまり好感持ってません…。
ハンターのは昔は気にならなかったのですが、慣例を模倣した能力漫画が増えたせいで本家的存在のハンターのにもちょっと食傷を覚えるようになるという本末転倒状態です。
「均衡(バランス)」は後者でした。
さて今週は先週から引き続き下層客室での旅団とヒソカのバトルを描いてました。
気になる場面が多くて「あっちはどうなってるの~!?」ってじれます。
巨大な船内はマフィアが三すくみで拮抗していますが、シャ一家とシュウ一家は裏で馴れ合っていました。
均衡(バランス)のために。
そしてエイ一家は馴れ合う気はなくて組長は破滅的思想の女。
なんか、馴れ合ってるほうの組長オニオールとブロッコの会話はしょぼいです。
旅団を「持たざるものに力を与えてはいけない」「力を持つものの礼節をわきまえない輩」と酷評してますが、これちょっとおかしいですね。
マフィアの理屈で言うなら力を持ってるものが持つ者だし、強い者が弱い者に礼節を尽くす必要性なんてない筈です。
調整とか均衡(バランス)とか偉そうに言ってるけど、結局自分の権益が減るのが嫌なだけっぽい…。
組長は3人ともホイコーロ国王の血縁者で顔に2線の傷をしょってて、なんかカキン王国の闇がまたひとつ見えた感じです。
一般国民もひどい搾取を受けてるけど、王家の人間にも厳しい差別が存在してると。
そらマフィアにもなるわ。
そして念能力も身につけるわ。
なんていうか、社会に強い怨念をかかえるような人間をわざわざ生み出して、そしてわざわざ彼らを危険な念能力者に仕立て上げて、自縄自縛してる気がしてなりません。闇すぎ。
しかしこの組長モレナ=プルードはなかなかナイスなキャラで気に入りました。
まずその能力恋のエチュードは細菌というか、まさにヤクザ組織。
組員が強くなって出世したら二次団体の組長になれちゃうそうです。
あと冨樫が大好きな女王蟻の空気もちょっとあります。
幽遊白書の仙水にも少し似てますが、このモレナは人間以外も世界の何もかもをぶっ壊したい人のようです。
彼女の言う「糞溜めみたいな世界」のイメージ図に、人類の罪以外に、野鳥の託卵やカマキリの寄生虫などの動物も含まれているのが意味深です。
しかし!そんなナイスなモレナのせっかくの初登場回なのに、大事な傷を描き忘れてるコマがありました。
残念すぎます。
普段なら些細なミスに目くじら立てる気はないですが、この回のこの傷は決して些細ではないです。
重要じゃん!!
あ、そういえば、顔に傷をしょってる睫毛の長い美人っていうと、やっぱり松本零士のクイーン・エメラルダスですね。
エイ一家の兵隊の一人ルイーニーがさっそく暴れ出しました。
組長の能力では感染者は一般人20人を殺すと自分の念能力が持てるから、キスしてもらったその足で第3層の一般人20人殺してきたようです。行動力の化身。
そして旅団の3人にちょっかいをかけます。
ノブナガの円が炸裂!
素晴らしい円です!そこにしびれるあこがれる!
あと、休載が迫っていることにはもう目を逸らしたい!