ずっと当事者同士の交流が嫌いだった。
みんなで集まって、今までどんな辛い思いをしてきたか語り合ったりするのが、傷の舐め合いみたいだし、わざわざ自分がFTMだと再認識させられる場所に行く必要は無いと考えていた。
情報発信している人も嫌いだった。メディアに、僕はおなべです、今までこんな辛い思いをしながら、こういう風に生きてきましたと語られると、全てのFTMが同じように生きてきたと誤解されるし、おなべってこんな見た目なんだと知られると、自分が疑われる可能性も高くなる気がしたから。
だけど、陰茎形成術で大変な思いをしているうちに、その考えは変わった。
情報を探しても見つけられなかった、いまだ症例数の少ない国内での陰茎形成術。インターネットで見つけられないなら、僕が情報を発信すべきではないのか。
振り返ってみれば、昔よりGIDの理解力が高まったのは、情報発信してくれた方がいたからだ。
金八先生、ラストフレンズ、性同一性障害を公表したスポーツ選手。その度に話題に取り上げられ、当時は迷惑と思っていたけど、そういうメディアでの発信の積み重ねによって、一般の方に、こうやって苦しんでる人がいるんだという認識が広がり、多くの人の理解力が高まっていったからこそ、戸籍性別変更が認められたり、GID外来が作られたり、パートナーシップ制度が出来たのだと思う。
僕が10年前より生きやすくなったのは、情報発信のおかげだった。
自分と同じ人間がたくさんいることを知ったのも、インターネットだった。
さんざん情報発信してきた方にお世話になっておいて、都合が悪い時には否定していた。
もうそういう考えは止めよう。そして、僕も誰かのために情報を発信しよう。
そう決意した。
もちろん、これは僕の個人的な意見で、反対する人がいることも理解している。迷惑に思う人もいるだろう。
それを踏まえた上でも、僕の情報がきっと誰かの役に立つという可能性を信じたい。
そして、よりたくさんの情報を発信できるようにするため、当事者の方にも会ってみよう。傷の舐め合いなんかじゃない。自分達や、その後の世代の人達がより生きやすくするために、情報を共有する必要があるからだ。
そう思いました。
長文を読んで頂き、ありがとうございました。
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