麻雀戦術本「麻雀AI戦術 人工知能『爆打』に聞く必勝法」(水上直紀氏)

麻雀
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天鳳で、「爆打(ばくうち)」というIDのAIが打っているという話は、聞いたことがありました。
AIも進化したものだなぁと思っていたら、その成果をもとにした本が出ていたので、購入してしまいました。
内容について、少しだけ紹介してみようと思います。
 

そのほか、麻雀に関する記事のまとめページです。
麻雀上達・技術・メンタル・天鳳などに関する記事のまとめ
 



・爆打について


爆打とは、天鳳にて、最高段位9段・平均順位2.35位という成績を叩き出したAIです。

麻雀という不完全情報ゲームをコンピューターがプレイしようとしても、良い成績を出すのは難しいはずだと聞いていましたが、そうでもない時代になってきたようです。
本書は、爆打が様々な場面で行う選択について、どういう選択がどういう理由から有利なのか、という点をベースに書かれています。


・爆打の判断基準

爆打は、すべての場面でリアルタイムにあらゆる情報を計算しながら判断をしています。

その判断基準は、ずばり「期待最終順位」です。

ある場面で、ある牌を切ってリーチを掛けようとするときに、他家の聴牌確率、自分の和了確率など、あらゆる情報を計算した上で、一番最終期待順位が高い選択をします。

・例

例えば、「東1局7順目、平場の状態でピンフを聴牌しました。立直かダマか?」という場合について、考えてみます。
爆打は、おそらく14牌それぞれすべて切った場合のシミュレートをして、最も良い期待最終順位のものを選んでいるのです。
この問題の場合は、ダマにするかリーチにするか、両者の期待最終順位が良いほうはどちらでしょうか?という問いになります。

本書が独特なのは、ある選択と他の選択を比較したときに、「どれくらい期待最終順位に差が出るか」というのを出している点です。

これにより、ある選択がある選択より、どの程度有利なのかという優劣を、定量的に出せています。
押すのか引くのか、どちらが良いのかを経験的に知っていても、どのくらい有利なのかはなかなかわからないものです。
こういう曖昧だった部分を、はっきりと出せている部分は、今までに無い部分だったと思います。



・本の内容について

内容としては、まず問題が提示され、学生のキャラクターと爆打が、軽妙な掛け合いとともに解説していく内容となっています。

問題は、オーソドックスな内容のものが多く乗っており、中級者向けの押し引き本として使えると思います。
もうすでに何冊かそういった本を読んで、身についている人は必要ないかもしれません。


しかし「期待最終順位に対してどれくらい有利か」という情報はかなり面白いので、一読の価値はあると思います。

状況にかなり左右されるような選択もありますし、どんな状況であっても通用するくらい、大きな優位性がある選択もあります。


・今後の期待

AIの素晴らしいところは、AI自体がただ強いということではなく、人間では考え付かないような戦術を生み出すことだと思います。
囲碁の世界でAIが打ったような、パッと見、奇妙に見える戦術を解析してみると、後半からじわじわ効いてくる非常に合理的なものだったそうです。
人間には想像できないほど何十手先をシミュレートし、一打ごとに自分が一番優位になる手を選んでいくことで、対戦相手はいつの間にか劣勢になっているそうです。
麻雀のAIも今後、一見奇妙に見えるような切り方から、まったく新しい戦術や考え方を発見する助けになっていくのではないかと期待しています。
*余談ですが、この記事を書いている直前の天鳳の対戦で、偶然「爆打」と初めて対戦しました。
結果は自分が3位、爆打は1位でした・・・
本を購入して読み、記事を書こうとしたところでちょうど当たるとは、なんだか凄い偶然です。

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