5月14日に付き合い始めた娘と彼は、毎月14日に、二人だけで小さなお祝いをしていた。

 

 

ある月の14日。

 

お気に入りのバーガー屋さんでお祝いすることにした二人。

 

その帰り道、手を繋いで歩いていると、5、6歳くらいの小さな女の子が、二人に近づいてきた。

 

女の子は、手の中に持っていたものを差し出して言う。

 

「これ、貰ってくれますか?」

 

女の子の手の中にあったのは、ハートの絵が描かれた小石。

 

彼女は、その小石を「ラブロック」と呼んでいた。

 

娘が、

 

「貰ってもいいの?」と聞くと、女の子は頷いて、

 

「私、最近思うんです。

 

 世の中に、愛が少なくなってるなって。

 

 特に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トランプが大統領になってから・・・。」

 

女の子は、ラブロックをできるだけ沢山の人に渡して、愛のある世界を取り戻したいと言っていたという。

 

わずか5,6歳にして政治の知識もあるとは・・・・。

 

近い将来、こういう子が大統領になってくれることを願う。

 

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娘が大学へ向かう準備をしていた時、危なくラブロックを自分の机の上に置き忘れて行きそうになった。

 

彼がそれに気が付き、ラブロックを娘に渡しながら言う。

 

「忘れちゃだめだよ。

 

 ラブロックのことも。

 

 僕のことも。」

 

 

 

大学が始まり、勉強も、慣れない寮生活も大変で、心の余裕がない時も多い二人。

 

時々、お互いの言葉がトゲトゲしくなり、傷ついてしまうことも・・・・。

 

それでも、何か困った事があると、娘は彼に、彼は娘に一番先に相談している。

ラブロックも彼も、暫く忘れることはないようだ。

 


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どくしゃになってね…