アメリカの医学生の中で、医学部4年生は「最高の年」と言われています。


理由はいくつかありますが、その前にまずは一般的な4年生の流れを見てみましょう。


6 USMLE STEP2受験

7 ERAS (研修医マッチングシステム)の準備開始

9 ERAS締め切り

10月末-1月末 面接

2 ERASへマッチングリスト提出

3 マッチング

5月末 卒業式


このように、上記の流れで慌ただしく1年間を過ごします。このマッチングプロセスの間に、実習と研究も混ざってきますので、決して楽ではありません。


研究は特に、競争率の高い科に進みたい場合は必須となります。科によっては6-8の研究歴を求める病院もあります。


研究は1年生はの夏休み頃から、自分達で病院の先生方のプロジェクトを見つけて、プロジェクトで使って頂けるよう交渉する場合と全く新しい研究を始める場合の2つがあります。


しかし、4年生の実習は、自分で組み立てることができるので、忙しくも非常に楽しく日々は進んでいきます。


自分も1年の半分以上を、放射線科の様々な実習と研究に費やし、残りをプライマリケア(必須のICUER、予防医学を含む)に費やしました。また1ヶ月ほど、逆留学生として沖縄の病院で実習する経験をさせて頂いたり、とても実りある1年間でした。


また、特記すべき点は「医者の倫理」、「禁酒禁煙を効率よく進める方法」みたいなクラスを実習として取ることができることでしょうか。


自分はLoma Linda University(ロマリンダ大学)の医学部に行きました。ロマリンダは、沖縄と並び、世界に誇ることができる菜食長寿の町です(ブルーゾーン)。なので、健康意識が非常に高い学校、また町であります。



ERAS:

さて、少しERAS (Electronic Residency Application Service)について書いてみたいと思います。


ERASとは、簡単に説明すると「オンラインで研修医になる為の願書を各病院に提出するシステム」です。


このERASは、独自のシステムを持つ泌尿器科と眼科(何故かは不明)を除き、全ての医学生がマッチングの為に使用します。


これは、非常に高度な技術とアルゴリズムを集結されて作られたアプリケーションシステムで、マッチングプロセスは全てこのERAS上で行われるので、忙しい医学生にとって大きな助けとなります。


住所、所属医学部、過去の学歴職歴資格等から、ボランティア活動、医学部での事細かな成績、研究歴、推薦状、自己推薦文(志願書)USMLE STEP12のスコアまで今までの人生の遍歴全てをここにアップロードします。



各プログラムが大体1000から3000の願書を受けますので、プログラム側の目を惹く願書を作成しなくてはいけません。


それが光り輝くように高得点のSTEP1のスコアだったり、または一度読んだら忘れられないような自己推薦文だったり様々です。


自己推薦文も、科学者としての自分を紹介するもの、小さい頃の親との経験を売りにするもの、ミュージシャンの経験を話すもの等様々です。


マッチングプロセスについては、後のブログで詳しく書きたいと思います。


4年生はこのERASの完成に9月まで追われます。


そして、10-1月の間は、実習の合間に面接でアメリカ全土を飛び回り、3月にマッチングとなります。




このようにして、医学部4年生というのはあっという間に過ぎ去ってしまいますが、遂に自分のやりたい事に向けてエンジン全開できる年であり、だからでこそ「最高の年」なのです。








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