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大宮アルディージャ観戦日記

監督とヘッドコーチ、監督と強化部長を1シーズン中にそれぞれ同時解任したことから透けて見える、あいまいな経営スタイルを持つ大宮アルディージャの体質。

投稿日:2017年11月19日 更新日:

昨日11月18日の32節ベガルタ仙台戦の敗戦を持って大宮アルディージャの事実上の降格が決まった。

2017シーズンのリーグ戦も残り2試合となり次節33節をもってホーム最終戦を迎えることになる。

ホーム最終戦は勝利で飾ってほしいものだが来期J2で大宮アルディージャが出直す前に、気になっていることを書いてみたい。

今季を振り返るとシーズン当初、大宮アルディージャは成績不振のため5月28日に渋谷洋樹監督を解任した。シーズン途中で監督が解任されること自体は特別なことではない。

今シーズンのJリーグは大宮アルディージャのシーズン中2度目になる伊藤彰監督の解任を含めると8人の監督が途中交代している。シーズン終了時に退任が決まったガンバ大阪の長谷川健太監督を含めると都合9人の監督交代があったことになる。

もしかしたらDAZN(ダ・ゾーン)の参入による上位チームへの配当金の争奪戦が監督交代に拍車をかけたかもしれないが、それを抜きにしても海外のリーグでも監督の途中交代は日常茶飯事に行われている。

大宮アルディージャの渋谷監督の解任もそのひとつに過ぎない。渋谷監督の解任と同時に黒崎久志ヘッドコーチが解任されたことも特にめずらしいことではないのではないだろうか。

11月5日には渋谷監督の後任だった伊藤彰監督も解任される事態になったが、J1残留に光の見えない状況下でこれも仕方がないことに私の目には映った。

しかし監督の解任と同時に強化部長を解任したことで、私の見方は変わった。

本来、監督の更迭を判断する立場の強化部長が監督と同時に解任されるということはどういうことなのだろうかという疑問が湧いてきた。

それと同時に、そもそも大宮アルディージャの組織のヒエラルキー(階層)はどうなっているのだろうかという疑問も湧いてきた。

もし監督の上に強化部長が位置づけされているとすれば、同時解任はさらにその上に位置する人間が決めたことになる。

その人の肩書は何なのだろう。役員のはずだが、役員なら誰になるのだろう。役員の肩書は何になっているのだろうなどの疑問がいっぺんに湧いてきたのだ。

私の知る限りでは大宮アルディージャの組織上のヒエラルキー(階層)は公式にどこにも公開されていない(もしかしたらあるのかもしれないが)。上場企業ではなので公開する責任はないのかもしれないが、こういうことひとつにしても大宮アルディージャの運営にあいまいさを感じる。

大宮アルディージャには事業本部と管理本部の取締役がいることは知っているし、少し前には強化部門においてチーム統括本部長という肩書やジェネラルマネージャーという肩書も組織上存在していることは知っているが、ヒエラルキー(階層)がどうなっているのかは判然としない。

監督と強化部長という要の人事に責任を負っている取締役(役員)の顔がはっきりしないのだ。

もし強化部長が役員だとすると、その責任を負っているのは取締役会ひいては代表取締役の森正志社長ということになる。

森正志社長の前任の鈴木茂元社長は社長に就任する前後でJリーグマッチコミッショナー(試合の立会人)をしていて2017シーズンもマッチコミッショナーとなっている。サッカーをよく知っている経験者ということがいえよう。鈴木茂氏自身もサッカー選手としての経験があるようだ。

森正志社長の経歴をみるとサッカーに関する経歴が見当たらない。

つまり、大変失礼な言い方だが、鈴木茂元社長はサッカーについてご存じでも森正志現社長はサッカーに関しては素人なのではないだろうか。

サッカーの素人である人物がトップチームの肝心な要素である監督と強化部長の人事を決めなければならない状況に追い込まれていたのではないかということだ。「人事を決めなければならない」といったのは取締役が持つ通常の人事の決裁権という意味ではなく、監督や強化部長の資質や適性のあるなしをサッカーの観点から判断することだ。

これでは結果からしか判断できないし、トップチームの強化に関して的確なサポートができる可能性は低くなるから、クラブが強くなるわけがないのだ。

私はここに問題があると思っている。

ただし私が問題だと思っている点は、経営者にサッカーの知識がないからではない。

経営者が的確な経営判断ができるようなフォロー体制が組織の機能として働いているのか、いないのかという点だ。

会社という組織の性質上、その分野の専門家ではない人が経営者になることはある。

必ずしも鈴木茂氏のようなサッカーの経験や知識がある人がサッカークラブの経営者になるとは限らないということだ。

しかし、サッカーの経験はなくても経営者としての経験はあるのだから、サッカーに関する知識をサポートする体制があれば、経営はできるものと考える。そしてそういった経営者へのバックアップやサポート体制を整えることに協力するのが株主の役割なのではないだろうか。

例えば、サッカーの知識があるような人材を社外取締役に置いてサポートしてもらうことなどがあげられる。チーム強化にスキルがあるような人材やサッカー関係者に人脈があるような人材がいればなお良いことだと思う。

その役割が果たせていないことは今シーズンの大宮アルディージャの解任人事劇のストーリーを見ていると透けて見えるのだ。

選手をサポートするのは監督やコーチだ。だからまず監督とコーチを解任した。

監督をサポートするのは強化部長だ。だから次に強化部長を解任した。

強化部長をサポートするのは取締役(会)だ。

だから今度は取締役(代表)を解任する可能性がある。

馬鹿げている。きつい言い方だが、延々ととかげのしっぽ切りが続くのだろうか?

もし取締役が専門分野外の人ならその取締役をサポートするのが株主の役目なのではないのだろうか?

その人事は株主が承認したものではなかったのか?

もし私の言っていることが当たっているとしたら、大宮アルディージャが今季低迷した理由だけでなく、長年低迷している理由が浮き彫りになってくる。それは社内の取締役会が強化部門をサポートできる機能として働いていない可能性があるということだ。

これは重要な問題だ。

なぜなら、そういった体制だとチームが好調、堅調の時はいいが、戦績が悪くなったり、サッカーに詳しくない人が経営者だったりすると、効果的なチームの立て直しができず、あっという間にダメになってしまうからだ。

また、運よく監督や選手に恵まれている時はいいが、監督や選手に恵まれなかった場合、取締役会のサポート力の脆弱さが根底にあるために、一身に監督や強化部長が責任を取らざるを得ない状況になるのではないだろうか。それに巻き添えをくらうコーチもいるかもしれない。取締役会が監督や強化部長を信頼しているように見えて、実は依存していることが明るみに出たのではないだろうか。

もしクラブがこのような体質であれば、大宮アルディージャの低迷の慢性化や、昨シーズン過去最高成績の5位から、一気に2部へ降格した理由も説明がつくことになる。クラブ収益が去年と今年でたいへんな違いがあるとも思えない。

このような問題を明るみにして解決しない限り、いくら監督、コーチ、強化部長を交代しても、または優秀な監督、コーチ、強化部長を招聘しても、慢性的な大宮アルディージャの低迷は解消されず、ひとつほころびが出たとたんに、あっという間にチームは転落していくだろう。

過去Jリーグで優勝したクラブチームが2部に降格したり、明らかに上位を狙えるクラブチームが下位に低迷しているケースが見受けられる。また大宮アルディージャを含め1部リーグに在籍していてもおかしくないクラブチームが2部に低迷している様子を見ていると、理由は様々あろうが、おそらく経営上のことで問題を抱えているクラブが多く存在していることに気づかされる。

今季の大宮アルディージャの転落の様子は、まさにわが身のこととして起こったために、前から薄々感じていたことを今回ブログに綴ってみた。ここに書いたことはあくまでも推論で事実と違うこともあるかもしれないのでご容赦いただきたい。

プロサッカーは普通の営利企業が持つ性質の他に、地域振興などのボランティア精神やスポーツを通じて健康的な身体、精神を涵養することを目的とする性質もあるために文化的な要素があり「特殊な企業法人」に思われがちだが、経営という意味では何ら一般企業と変わらない。

健全な経営がなければ「サッカーの文化」を根付かせていくことは難しいだろう。

2014年に村井満氏がJリーグチェアマンに就任してすぐに経営者人材育成のプログラムを立命館大学とコラボレーションして立ち上げていたが、いいことをしているなと思ってみていた。

村井満氏はリクルート出身で主に人事畑にいた方のようだが、リクルートらしい発想で(笑)この取り組みについては今後どのように現場に反映されていくのか楽しみだが、最近は話題に取り上げられていないようだ。

最近のトピックスだと村井満チェアマンは大口スポンサーのDAZN(ダ・ゾーン)からJ1に限り週に1試合を金曜日に開催することを求められているという記事が出ていた。

金曜日開催の理由の詳細はわからない。大口スポンサーの相手もいいが、経営者の人材育成のアピールもしてほしいものだ。大宮アルディージャを含め他のクラブが抱える経営上の問題を村井満チェアマンがどこまで把握しているか分からない。DAZN(ダ・ゾーン)のようなエンジェル(投資家)の存在は重要だが、安定したリーグ運営の足場を固めることもおろそかにしないようにお願いしたい。

もちろん降格する大宮アルディージャは言うに及ばないが、低迷する他のクラブも自助努力でクラブの再建をやっていく気概が必要だ。

Jリーグの中では鹿島アントラーズが安定した経営のもとに常に上位をキープし、タイトルを獲得できるクラブとして頭がひとつ抜きん出ているように思える。

でも鹿島アントラーズだけが強いのはリーグを面白くさせないでしょ。(笑)

DAZN(ダ・ゾーン)からもっと競合クラブを作れと言われる前に、安定した経営によって強いクラブチームを作りたいですね。(笑)

そのひとつに大宮アルディージャがなれることを心から願っている。

不運にも大宮アルディージャは降格の憂き目にあったが、これにより見えてきた弱点が根本的な問題であることを浮き彫りにさせてくれたのではないでしょうか。本当にひどい目に遭うと、皮肉ですが物の本質が見えてくることがあるのかもしれません。

だとすればこれはチームを再建するチャンスです!

人間万事塞翁が馬と考えたいですね。(笑)

 

余談だが、日本サッカー協会の田島幸三会長は22-23シーズンからJリーグを春開催から秋開催に移行することをJリーグに訴えているようだ。(11月14日Jリーグ実行委員会にて)

秋開催はかねてより私も訴えていたことだが、Jリーグの実行委員の8割が反対で21日の理事会で「移行不可能」の結論を出すそうです。その双方の理由の詳細がまだよくわかっていないので、このことについては改めてブログに投稿させてもらいます。

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