赤ちゃんに熱が出たらすべき事、すべきでない事を知ればママも安心

赤ちゃんに熱は、服装だけでも簡単に上がったり下がったりします。

しかし、赤ちゃんの熱が続く時、その原因は何らかのウィルス、もしくは細菌に感染したと疑うべきでしょう。

赤ちゃんに熱が出ると脳症を心配するお母さんも多いと思いますが、正しい知識をもって対処すれば慌てずに済みます。

また、赤ちゃんの熱が単なる風邪と診断を受けたのに、実は肺炎を患っていたということも起こりえます。しかし、この場合でも、お母さんがきちんと赤ちゃんの熱を記録していれば、そういった診断の間違いを少なくすることができます。

この記事は、赤ちゃんが熱を出した時に、病院を受診すべきタイミングや、家庭での対処の仕方、赤ちゃんの熱には使ってはいけない解熱剤など、赤ちゃんの熱についてまとめてあります。

この記事を最後まで読む事で、赤ちゃんの熱についての正しい知識が身に付き、いざという時の備えに何を準備しておいたらいいか、どう行動したらいいかが分かるようになります。

赤ちゃんの熱は何度から?服装、布団などでも簡単に上下するので、38度未満で元気ならばあまり心配をしなくていい

赤ちゃんの体は小さく、体液も少ないので、周りの環境によって熱が上がったり下がったりします。つまり、周りの熱の影響を受けやすいのです。着るものやエアコン、扇風機やクーラー、うちわなどでも体温が影響されます。

また、もともと赤ちゃんの熱の平均は37度を超えますので、37.5度くらいであれば平熱と同じに考えてもいいでしょう。

また、計る位置によっても体温は変わってきます。

下記のページを参考にすると分かりますが、頭や口の中、肛門は体温が高めになります。赤ちゃんの熱が計りにくい場所ですが、一般的にどこで測るかというと脇の体温を基準として考えます。

首と脇は体温が違いますし、同じ首でも首の後ろと前で体温が変わってくる事もあります。それは首で体温を計ると、体温計が部屋の温度も拾ってしまうからです。

従って、赤ちゃんのおでこが熱くても熱がないということは普通にあります。

参考 テルモ体温研究所 体温は、測る場所によって異なる?

赤ちゃんに熱があると思ったら、まず服を一枚脱がせて薄着にしてみましょう。そして、少し時間がたってから熱を測ってみます。赤ちゃんの平熱が37度くらいある事は普通なので、37度を超えていても、笑顔で遊ぶくらい元気なら心配は要らないでしょう。

これくらいであれば、赤ちゃんに熱があって気づかないことも問題ありません。

赤ちゃんが熱で唸る(うなる)、動き回るなどすれば、マメに体温を測りながら、それを記録し、機嫌や食欲、呼吸数や呼吸の大小などの様子がおかしくないかを観察します。

呼吸数の目安は、新生児では1分間に60回以上、乳児では40回以上であれば危険であると判断します。

赤ちゃんの発熱は何度からと考えたらいいのかというと、38度を目安にします。38度を超えたら何らかの異常がある発熱と判断して、早めに病院を受診します。

参考 生馬医院 こんな時どうしたらいいの?こどもが病気の時

日頃から、日時と体温、赤ちゃんの服装や、部屋の温度、赤ちゃんの様子などを記録しておくと、赤ちゃんの平熱や、周りの温度、服装によってどのような変化があるのか把握できます。

いざ、本当に熱が出た時も、早く気がつく事ができます。また、病院を受診する際にも医師が異常に気づきやすく、早めの対処が可能になります。

赤ちゃんの熱だけでは緊急にはなりません。医療機関で受診してもたいした治療をしてもらえません。

しかし、赤ちゃんに熱があり、同時に不機嫌であったり、苦しそうであったり、ぐったりしている場合は、日曜日なら緊急医療、夜なら夜間救急を急いで受診しましょう。何らかの病気がかくれているかもしれないからです。

赤ちゃんが熱を出してよく寝る、たくさん寝る、ずっと寝るなどの状態が続く場合は、携帯電話、もしくは固定電話#8000をプッシュして、小児救急電話相談事業で赤ちゃんの詳細を伝えて対応を決めてください。

参考 小児救急電話相談事業(#8000)について |厚生労働省

赤ちゃんの熱は汗や嘔吐などで脱水症状を起こしやすく、熱中症になりやすいので、水分補給で熱が下がることも多い

赤ちゃんは体液が少ない事もあって、汗や、息が荒いだけでも簡単に体の水分がなくなります。赤ちゃんは軽い脱水症状を起こしやすいので気をつけてください。

脱水症状が軽いと、お母さんも気がつきにくいですが、汗をかくだけの水分が不足するために汗による体温の調整ができなくなります。

体温の調整ができないと、赤ちゃんの体は汗を出す努力を止めてしまいますので、体に熱がこもってきます。脱水症状は、やがては熱中症の症状を起こします。

単なる水分不足が、高熱の原因になりかねないのです。39度以上の熱がある場合は、まずは脱水症状を疑うことです。

従って、水を飲ませてやるだけで、赤ちゃんの体液が回復し、汗をかく事ができるようになり、簡単に熱が下がる事があります。

汗は、同時にミネラルも失います。ミルクや母乳で水分補給ができればいいですが、飲まないということであれば、水よりもりんごジュース、ポカリやイオン水、経口補水液といったものを少しずつでも与えましょう。

赤ちゃんの体液に近い濃度のミネラルが水にふくまれていると、すぐに体の隅々にまで水分が行き渡り、発汗作用が正常に働くようになります。

赤ちゃん用イオン飲料ミネラルアクア

経口補水液 OS1

しかし、どんな場合でも赤ちゃんの塩分のとり過ぎに注意しましょう。赤ちゃんは塩水で健康被害を簡単に起こします。OS1(オーエスワン)の注意書きに、乳児:体重1kgあたり30~50ml(g) /日と記載がありますので、分量をきちんと守りましょう。

また、経口補水液は、自宅にあるものでも簡単に出来ます。以下のページを参考にしましょう。

参考 かくれ脱水Journal 経口補水液の作り方

赤ちゃんの熱が原因で、嘔吐すると考えがちですが、全く逆のケースも多いので注意しましょう。赤ちゃんは、ミルクや母乳が上手く飲めないと簡単に嘔吐してしまいます。それによって体の水分が失われ、脱水症状で熱がこもるというパターンもあることを覚えておきましょう。

脱水症状が起ると、泣いても涙がでないくらい水分が失われる事もあります。赤ちゃんをよく観察しましょう。

赤ちゃんに熱があると離乳食もなかなか食べないことがあります。消化のいい食べ物、うどんやおかゆなどを与えてみましょう。

バナナも消化がいいですが、カリウムをたくさん含んでいますので、利尿作用や発汗を促し、体温も下がりやすいというメリットもあります。スイカも同じような作用があります。しかし、同時に体から塩分を奪います。経口補水液なども合わせて飲むといいでしょう。

どうしても食べなければ、できるだけ経口補水液だけは飲ませるようにします。点滴とほぼ同じ成分なので、必要最低限の栄養も確保できます。

赤ちゃんに熱があるときのお風呂やシャワーは控えて、熱が微熱程度なら入れましょう。お風呂では汗をかくことで、同時に体力を消耗するからです。体を拭いてやる事は問題ないでしょう。

また、季節によってはロタウイルスなどで嘔吐と熱が出る事もあります。しかし、通常は1週間程で熱も嘔吐も治まります。ロタウイルスについては、以下のページが参考になります。

参考 和歌山市感染症情報センター ロタウィルス下痢症について

赤ちゃんの熱が下がらず、嘔吐を繰り返したり、水分をとろうとしないときは、すぐに病院を受診して、点滴などで赤ちゃんの脱水症状を回復します。

赤ちゃんが熱を持ってぐったりしているときは、脱水症状から熱中症を発症しているかもしれません。土日、夜中でも夜間救急、場合によっては救急車を呼びましょう。

赤ちゃんが六ヶ月未満であれば、熱があればすぐに病院で血液検査を受け、重症化する病気を未然に防ぐ

赤ちゃんは三ヶ月までは、お母さんの免疫をそのまま受け継いでいます。そして6ヶ月くらいまでは、その影響で殆ど熱がでないといわれています。

ということは、六ヶ月未満の赤ちゃんが熱を持つとすれば、お母さんの免疫にはないウィルスや細菌に感染した可能性があるということです。

その為、血液検査をしてくれる病院を探して受診しましょう。何科を受診すればいいかと言えば、小児科で問題ありません。

しかし、近所の医者を受診して、六ヶ月未満の赤ちゃんに熱が出ても血液検査をしてもらえないところは、医師としての適格が怪しいので、別の医者なり病院なりで必ず検査をします。

血液検査をすると、ウィルス感染か細菌感染かがわかります。どちらの感染もないのに熱がある場合は川崎病の可能性も否定できません。

6ヶ月未満の赤ちゃんにとって特に危険なのは、肺炎や髄膜炎といったものです。これらは、細菌による感染で、最初の症状が発熱くらいで発見しにくいのと、重症化しやすいのが特徴です。

風邪のウイルスから脳炎や心筋炎を起こす事もあります。

尿路感染症なども赤ちゃんの尿道から細菌感染して起ります。尿路感染症は、腎臓に障害を及ぼす可能性もあります。

参考 東京女子医科大学病院 泌尿器科 尿路感染症について

ウイルス感染は安静にして、水分補給ができれば5日程度で自然治癒できます。しかし、細菌感染は抗生物質によって治療しなければいけません。

赤ちゃんに蜂蜜を与えてはいけない、ということは多くのお母さんもご存知だと思います。蜂蜜を食べた赤ちゃんが死んでしまうという痛ましい事故も起っています。蜂蜜に含まれる細菌でさえ、赤ちゃんには有害になってしまうのです。

最近は抗生物質が効かない細菌もふえてきているので、その場合は、さらに血液検査から、効果のある抗生物質を探して投与しますので、早めの対応ができると、後遺症などのリスクを少なく出来ます。

早期発見ができればできるほど、重症化を未然に防ぐ事ができます。

参考 赤尾ファミリークリニック なぜ、熱が続くと、白血球や、炎症反応を調べるのですか

また、肺炎や髄膜炎は生後2ヶ月から予防接種が可能で、ほぼ感染を予防する事ができます。早めに予防接種を受けておけば安心できます。

参考 小児用肺炎球菌ワクチン- Know VPD!

赤ちゃんの熱は、ほどんどが風邪のウィルスに感染したことで起るので3日程度で治まる

赤ちゃんの熱は、ウィルスに感染した場合、上がったり下がったりを繰り返します。これは、眠っている時に活動的になる副交感神経とウイルスが関係しているようです。ウィルス感染の場合は、夜から朝方に熱が高くなる傾向があるのです。

風邪のウイルスは色々な種類がありますが、特効薬はありません。熱とともに咳や鼻水が伴うことも普通にあります。

赤ちゃんの熱がいつまで続くかというと、通常、ウイルス感染で赤ちゃんに熱がでても、水分をとる事で発汗がきちんと行なわれれば、2、3日で治まります。

赤ちゃんの熱が上がり始めは、悪寒を感じる事も多く、小刻みにふるえながら、手や足だけ冷たいということが起ります。手足が冷たいと不安になりますが、この時点では体を温めてやる事が大事です。

そのうち、熱が上がりきると悪寒はとまり、手や足の震えは止まります。赤ちゃんの様子を確認しながら、服を着替えたりしながら体温を調整し、汗をかいたら必ず水分を補給します。

赤ちゃんの熱を下げるのに、熱さまシートや冷えピタなどの冷却シートの効果はあまり期待できません。何故なら、体感温度を下げるだけで、ひんやりした感覚を与えるだけだからです。

従って、赤ちゃんの熱を下げようと思ったらアイスノンなどの氷枕などの方が効果的です。

赤ちゃんの熱は、頭を冷やすことでは下がりませんが、つらそうにしていたのが気持ち良さそうになるのなら続けましょう。

熱を下げる為に冷やす場所は、首、脇の下、足の付け根(鼠径部)などです。太い動脈が皮膚表面を通っている所をクーリングして冷やします。脇の下の冷やし方は、濡れタオル、もしくは保冷剤などをハンカチなどで包み、冷たくなりすぎないように挟んでやります。

参考 こまだアレルギークリニック 小児の発熱・病気 夜間休日の対応

氷枕が冷えすぎる場合は、タオルを凍らせて使いましょう。固くなりすぎず、冷たくなりすぎることもありません。

赤ちゃんの熱が40度を超えたら、脳症などのリスクを考え、冷えピタなどではなく、氷や座薬で熱を下げてやる

細菌では、インフルエンザなどのウイルスは、40度以上の高熱で脳症などのリスクが高くなると言う事が分かってきました。脳症は脳障害などの後遺症を残す事が多いです。1歳をピークに乳幼児に多いといわれています。

ただの熱だけでは脳症は起らないと考えられていますが、念のために40度を超える熱は解熱剤などを使って、出来るだけ早く下げる事がよいと考えられます。インフルエンザ発症後、12時間から48時間の間の発症が多いという統計もあります。

参考 日経メディカル 40度以上の高熱持続が脳症発症の引き金に

高熱になると意識障害や熱痙攣(ねつけいれん)などの症状を起こす事もあります。解熱剤の使用には小児科医でも意見の分かれる所ですが、40度を超える高熱には使用すべきでしょう。

解熱剤をためらうのであれば、氷枕や凍ったタオルなどを、冷たくなりすぎないように再度、タオルなどで包み、首、脇の下、足の付け根を冷やす事で体温を下げる事が出来ます。

念のため、頭も冷やしてやりましょう。冷えピタなどは実際に体温を下げる効果はありませんので、氷枕やアイスノンを使います。

赤ちゃんの熱でピクピクと痙攣が起きたときの対処ですが、特に1歳から2歳の赤ちゃんの熱が高温になるとぴくつきやひきつけを起こすケースが多いようです。しかし、それは数分以内に治まるのが普通です。

ひきつけが5分以上、長く起きたり、頻繁に起る場合は、髄膜炎や脳炎などの可能性を疑います。すぐに救急車を呼びましょう。

同様に顔が白くなる顔面蒼白の症状、唇や爪が紫色になるチアノーゼなどの症状が出ても、すぐに救急車を呼びます。

また、赤ちゃんの熱に解熱剤を使うときは、使っていい解熱剤と、絶対に使ってはいけない解熱剤がある事を知っておきましょう。

子供に使ってよい解熱剤は、アセトアミノフェンという成分が主成分のものです。市販薬の小児用バファリンやこどもパブロン坐薬はアセトアミノフェンが主成分です。

処方薬ではカロナール、コカール、ピリナジン、アニルーメ、カルジール、アンヒバ、アルピニー、アフロギスなどです。

市販のパブロン坐薬

赤ちゃんの熱にアセトアミノフェン以外、イブプロフェン以外の主成分の解熱剤は使ってはいけません。特にアスピリンは15歳未満の子供には使ってはいけません。特に子供用と謳っていない解熱剤や大人の解熱剤は、使わない事が大事です。

参考 かわぐちこどもクリニック 子どもの発熱と解熱剤について

特にインフルエンザで使う解熱剤は、アセトアミノフェンと決まっています。解熱剤を間違えると、解熱剤が原因でインフルエンザ脳症を発症する恐れがあります。

参考 一般社団法人 日本小児神経学会 インフルエンザ脳症はどうしたら予防できますか?

赤ちゃんの熱が座薬を使っても下がらない場合、便秘かどうかを確認しましょう。溜まった便が薬の作用の邪魔をしますので効果が薄くなります。浣腸などで便を出してやると、座薬の効果は高まります。いざという時のために、座薬と浣腸はセットで用意しておきましょう。

赤ちゃんようのイチジク浣腸

赤ちゃんの熱が40度を超えると、体が脱水症状を起こしていて熱が下がりにくくなります。嘔吐や下痢を伴うと、体からさらに水分とミネラルなどの電解質が失われるので、薬が効きにくくなります。

その場合は、できるだけマメに水分をとらせ、便秘を解消して座薬を使ってください。

解熱剤は、熱が高い時にだけ服用する、頓服(とんぷく)という飲み方が基本です。熱が高い時にだけ使うようにしましょう。

便秘と発熱が関係があるような意見がウェブ上で散見されますが、調べても根拠のある説明が何一つ見つかりません。医師監修と謳ったサイトの説明ですら、美容外科の医師の監修で全く根拠も示されていません。

何らかのウイルス感染や細菌感染が原因で熱が出て、便秘になったと考えるべきでしょう。

赤ちゃんの熱が3日以上38度を超えたら、風邪以外の病気を疑い、血液検査などが出来る病院を受診する

赤ちゃんの熱が3日以上38度を超えて下がらない場合は、風邪以外のウィルスや細菌の感染を疑います。風邪の症状なしで、熱以外の症状がなければ3日程度は様子を見ましょう。

何故なら、赤ちゃんの熱がいつからいつまで続くかというと、3日もあれば下がるのが普通だからです。

通常、ウィルス感染は5日程度で治まってきます。

赤ちゃんがウイルスに感染して熱を出しても3日を過ぎるとピークが終わって、熱が下がり始めます。赤ちゃんの熱が5日過ぎても下がらなければ異常と考えて間違いありません。

赤ちゃんの熱が上がったり下がったりと一週間も長引くのは危険な状況になる場合もありますので注意が必要です。それは、最初に感染したウイルスが治まってきた後に、別のウイルスや細菌が肺や脳などに感染して、再度、熱が上がるようなケースがあるからです。

発熱後3日以上38度を超えていると、医師は風邪以外の可能性を考えるはずです。赤ちゃんの場合は、早めに血液検査を行なった方がよいケースです。

血液検査でウイルス感染か細菌感染かを判断できます。細菌感染は重症化しやすいので、早めに抗生剤などで治療が必要になります。放っておくと肺や脳に移動し、肺炎や脳炎を発症する事があります。

ウイルス感染で危険なのは、マイコプラズマ感染症、RSウイルス、アデノウイルスなどです。しかし、ウイルスには特効薬がないので、安静にして水分を十分にとって赤ちゃんの中に抗体が出来るのを待つしかありません。

水分が十分に取れないと、発汗ができずに熱も下がりませんので、必要に応じて、入院、点滴を受ける必要がでてきます。

どちらにしても、早期発見することで、対応も早くなり、重症化の予防になります。

赤ちゃんは細菌やバイ菌に対する抵抗力が弱いので、風邪などでのどが炎症を起し、鼻水や痰にウイルスや細菌が混じっていつまでも残っていると、細菌などが肺に移動し肺炎にかかりやすくなります。

また、鼻の粘膜などが炎症を起こし、鼻の奥の副鼻腔などに鼻水が溜まっていると、その内に細菌が鼻から耳に移動して中耳炎を起こす事もあります。

赤ちゃんの熱が中耳炎だと、かなり高熱になります。

その肺炎や中耳炎を起こす肺炎球菌は、生まれたときの赤ちゃんにはありませんが、小さい子供や大人には普通に体の中に住み着いている細菌なのです。つまり、赤ちゃんのお母さんの体には普通にいる細菌なのです。

赤ちゃんが元気であれば、肺炎球菌も肺や耳に移動する事はありません。赤ちゃんの抵抗力が弱くなって、喉や耳に炎症などが起る事で、そのすきを狙って、細菌が他の場所に移動してしまうのです。

参考 ファイザー製薬 肺炎球菌 Q&A

風邪にはそういった2次感染も十分あり得る事を念頭に置いておきましょう。その為には、熱が高い低いというだけでなく、赤ちゃんに別の症状が出ていないかなどをよく観察する事です。

何か異常を感じたら、その都度、病院を受診して、症状についての説明をうけると安心です。

赤ちゃんの熱は、発疹や目やに、下痢などの症状があればウィルスなどの感染を疑って、すぐに病院を受診する

赤ちゃんの熱の他に、プツプツ、ボツボツなどの発疹がお腹や手や足、背中などに出たり、目やになど熱以外の症状があればすぐに病院を受診します。風邪以外のウイルスや細菌による感染の可能性が極めて高いからです。

発疹はウイルスによる突発性発疹、手足口病、目やには麻疹(はしか)、うんちがゆるいとか下痢や血便などは、細菌性の急性胃腸炎やアデノウイルスなどの感染が考えられます。

アデノウイルスは目が腫れる、目の周りが赤い、目の腫れ、目の下が赤いなどの結膜炎の症状が出る事もあり、重症な扁桃炎(浸出性扁桃炎)などを起こします。

喉の奥に潰瘍(かいよう)ができるヘルパンギーナもあります。

顔に発疹の出来るものにりんご病もありますが、通常、発熱はしません。

発疹(ほっしん)が炎症反応を起こしたものを湿疹(しっしん)といいます。炎症反応で局所的(部分的)に熱を持つ事もあります。虫さされなどは、炎症で部分的に熱を持つ場合があります。

水ぶくれのようなものは水痘(すいとう)と呼び水疱瘡(みずぼうそう)などがあります。見分けがつきにくいこともありますが、その違いによって、どんな病気か判断できます。

赤ちゃんに熱が出て、これらの発疹が現れても、やはり3日から5日ほどで回復するケースが殆どです。

赤ちゃんの熱が5日以上続く時は、症状も特徴的なものが多いです。例えば単純ヘルペスウイルスは口の中の歯肉が赤く腫れ、口内炎のようになり、高熱がでます。 歯肉は弱くなり、すぐに血がでやすくなり、口臭とよだれがでます。

むしろ、特徴的な症状もなかったり、風邪などの症状で熱が5日を超えて続く方が診断が遅れる原因にもなります。

赤ちゃんにとって怖いのは、2次感染や合併症です。例えば、麻疹(はしか)のウイルスは肺や耳に移動しやすく、肺炎や中耳炎などの合併症を起こしやすい病気です。

こう言った症状は、最初の風邪などの症状が終わる頃に、肺炎や中耳炎、髄膜炎などを発症し、再び発熱したりします。

その為、風邪のような症状で5日も熱が下がらないと勘違いしがちです。いったんよくなりかけて、再びぶり返すような症状は肺炎などにも多いですが、このようなプロセスで発症するからです。

麻疹(はしか)は風疹(ふうしん)ワクチンと組み合わせたMRワクチンの予防接種で90%以上は防ぐ事ができます。早めに予防接種を受けておくのが安心です。

参考 みやたけクリニック 麻疹(はしか)ワクチン

そしてやはり、免疫力の弱い赤ちゃんにとって細菌感染は気をつけなければいけません。

溶連菌感染症は、幼稚園やプール後に感染しますが、兄弟などから赤ちゃんに感染することもあります。細菌なので抗生剤による治療が必要です。

以下のページが非常に参考になります。赤ちゃんの症状と比べてどんな病気の可能性があるか分かりやすくまとめてあります。

参考 かめさきこども・アレルギークリニック 発熱|よくあるこどもの病気

こちらのページは、赤ちゃんの熱を伴う病気の症例の写真と詳しい解説などもあって、とても参考になります。体に発疹が出た場合は、こちらも参考にしましょう。

参考 独立行政法人国立病院機構新潟病院 小児科診察室から

赤ちゃんの熱は日時と温度の推移を記録しておくと、医師の診断が正確に出やすく、赤ちゃんの突然死を回避できる

医師は、赤ちゃんの経過を観察しますので、赤ちゃんの熱の記録や、症状などが記録されていると、診断がしやすくなります。

赤ちゃんの熱はよく起る事なので、熱以外の症状がなければ、風邪などのウイルス感染と考えて経過観察をする事がほとんどです。熱は3日で下がる事がほとんどで、3日間は経過観察になるわけです。

初診時と、3日目を比較して、どんな症状の変化があるかをみることが、診察にとって重要なのです。

しかし、初診がすでに3日経過していたり、4日経過していたりすると、医師としては経過が分からないものの、何かしらの異常があると思って調べます。

血液検査などで全てが分かればいいのですが、発熱以外は全く症状のでない病気もあります。

そんな時に、体温の変化や食事はどれくらい食べたか、何らかの症状があったのかなかったのか、そういった記録があれば、医師としてはとてもよい判断材料になるのです。

季節によっては、赤ちゃんの熱や咳などで小児科医はとても忙しくします。記録がとってあるだけで、忙しい医師でも特に検査をすることなく、大体の治療の目安が立てやすくなるのです。

面倒かもしれませんが、可愛い我が子の為と思って、ちょっとした熱でも記録をする習慣をつけておきましょう。

赤ちゃんの熱が単なる風邪と診察されたものの、実は肺炎であったと言う話しはとても多いのです。

もちろん、それが最初から肺炎であった訳でなく、途中で風邪のウイルスで抵抗力が弱くなり、体の中に普段からいる常在菌(じょうざいきん)と呼ばれる菌が、肺炎を引き起こす事もあるのです。

肺炎の原因菌である肺炎球菌(はいえんきゅうきん)はお母さんの体の中に普通に生きています。

それは、決して診断ミスではなく、赤ちゃんの症状の経過が細かく分からなかったためと考えるべきです。特に肺炎は、症状の急激な変化が診断の基準になる事もあるくらいです。

医師も「熱が下がりません」だけでは治療の目安が立ちませんが、記録とともに「3日前から熱が下がりません」といえば、すぐに血液検査が必要と判断したりできる訳です。

また、最初の風邪の症状が治まって熱が下がりかけ、そこで再び肺炎にかかって熱が上がると言う場合、体温の記録を付けていなければずっと熱が出ているようにしか思えないものです。

こうして多くの肺炎の発症の発見が遅れます。しかし、きちんと赤ちゃんの熱の推移が記録されていれば、医師は、早期に肺炎などの重症化しやすい病気も発見しやすくなるのです。

その為にも、お母さんが赤ちゃんのちょっとした変化をある程度の年齢になるまで続ける事で、赤ちゃんの健康を維持できると考えるのがよいと思います。

以下の記録グラフを印刷して使うと便利です。

一社こどもクリニック 発熱記録グラフ (PDF)

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