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1月3日現在のコーンの状況について考察する - 【非会員限定】コーン先物情報ブログ

昨日に続いて、コーンの現状について考えていきたい。

 

 

1.現在のコーン価格は安いのか?

個人的には勝手に今のコーン価格は安いと思っている。何を根拠に行っているのかと言えば、単純に過去のチャートからである。

 

次の図を見てもらいたい。

 

f:id:NaohiroKatoh:20180103112827p:plain

参照:US Corn Futures Price - Investing.com

 

 

この図からは、現在の353.50が良いのか悪いのかわかりにくい。しかし、過去の1月の平均価格を取り出していく。

 

それが下記の通りとなっている。

 

2014年1月 434

2015年1月 370

2016年1月 372

2017年1月 360

2018年1月 353 (1月3日現在)

 

ぼんやり眺めていても、2018年のコーン価格は格安に近い水準にいることが感じ取れる。ただ、もちろん、年ごとに状況は少しずつ異なる。要は、現在ほど繰り越し残が多い年はこれまでない、ということ。需要はむしろ上昇傾向にあるのだからそんな供給過多な状況を反映してこの価格となっていることがわかる。

 

とは言え、昨日のブログで示した通り、需要が強いのは確実な中において、この現在の価格が妥当な物とも言い切れないのではないかと思われる。

 

(ちなみに昨日書いたブログはこちら)

 

naohirokatoh.hatenablog.com

 

 

2.コーン価格の農家にとっての損益分岐点はどこにあるのか?

 昨日のブログの中で示した通り、コーン現物価格が$3.29であっても、農家の収支はプラスとなる、と思われる。しかし、会社経営的な見方(人件費、保険や機会損等)をした時に大きな収益とは言えないのが現状のように思われる。

 

参照:USDA ERS - Commodity Costs and Returns

 

そのような状況の中、現状(1月3日現在)の農家からの現物価格は$3.09(1月渡し条件)となっている(先物3月限$3.53)。$3.29でも大きな収益とは言えない中、これよりも$.20も安い価格での推移となってしまっているのだから、農家としては100%辛い。

 

f:id:NaohiroKatoh:20180103115431p:plain

参照:Farmers Cooperative - Cash Prices

 

このCash priceに注目すると、7月、9月以降渡し条件がそれぞれ$3.25、$3.34となっている。2016年産の現物価格が$3.29であったことから、農家は年初予算価格をこの当りで設定していたと見て間違いないだろう。

 

このときの先物価格はそれぞれ369.6、3.86.2となっており、農家としてこのあたりまで上昇してこないとやってけない、と言うことになる可能性がある。となれば、先物価格がここまで上昇しないと農家はコーンを栽培する気をかなりやる気は失ってしまうことになる為、相場としても上昇せざるを得ない面はあるだろう、と言うことができる。

 

(非常にざっくりした内容として買いている。現実には、先物と現物の間の価格差(サヤ)も上下するものであるため、一概に言えるものではない。しかし、参考に値する内容ではないかと思われる。)

 

3.アメリカにおけるコーンの需要

 コーンの主な使用用途は「食品」、「飼料」、「エタノール」となると思われる。この中で、「食品」向けの需要はそう大きく変わる物ではないことから、「飼料」、「エタノール」の需要動向に注目をしたい。

 

①飼料需要

要はUS国内の畜産が増えそうかどうか?ということ。これは増加傾向にある。

 

まずは、と殺頭数の四半期毎の予測だが、次の通りとなっている。

 

f:id:NaohiroKatoh:20180103125116p:plain

参照:Hogs & Pigs Report: As expected, but futures higher | National Hog Farmer

 

いずれにしても、と殺頭数は増加傾向となっており、2018年全体では、2017年対比3.5%の増加予測をUSDAがしている。

 

2014年からのデータとなるが、毎年増加傾向にあることがわかる。

 

(2014年が前年比-8%となっているが、これは病気が流行ってしまったため。)

 

また、価格予測としては、

f:id:NaohiroKatoh:20180103125439p:plain

参照:Hogs & Pigs Report: As expected, but futures higher | National Hog Farmer

この欄の内、CMEがシカゴ商品取引所先物価格予測に相当するのだが、2017年より2018年の価格は上昇を見込んでいる。

 

つまり、2018年はと殺頭数が増えるにも関わらず、価格は上昇する、という需要が強い年が予測されているのだ。もちろん、このような状況を受けて飼料価格が下落するはずもない。「高騰」はしないものの、下支えするには十分ではないかと思う。

 

(飼料はコーン以外に小麦のふすま等、様々な穀物があり、コーンが100%ではないが、こちらも参考にはなると思われる。)

 

……と殺数がこれだけ増加する中で、コーンの消費量はどれほど増加するのか?まだ確認する余地はあるなとは思う。

 

 

 

② エタノールの生産

前回の記事で上げたようにエタノールの生産量は増加傾向にある。

では、実際にどれほどのコーンの消費量が増加すると予測できるのだろうか?計算をしていきたいと思う。

 

2017年12月の生産量は前年より約50千バレル/日増加していると仮定する。

参照:Weekly U.S. Oxygenate Plant Production of Fuel Ethanol (Thousand Barrels per Day)

 

よって2018年における2017年対比の増減は「50千バレル/日×365日=18,250千バレル/年」

 

となる。

 

1ブッシェルのコーンから2.7ガロンのエタノールが取れるので

参照:USDA ERS - U.S. Bioenergy Statistics

 

1バレルは42ガロンに相当することから、18,250千バレル/年は766,500千ガロン/年となる。

 

よって、コーンの消費量は283,889千(284百万)ブッシェルと産出できる。かなり大きなコーンの需要が控えているということができると思う。

 

この数字をもとに、12月に発表されたWASDEのキャリーオーバーも精査していきたい。

 

 

まず、上記の284百万ブッシェルが1年間なのに対し、コーン年度は9月から8月であるため、1月⇒8月の数値に変換をする。これにより、2018年1月~8月で189百万ブッシェルのエタノール向け需要増が見込めると考えられる。

 

WASDEによると2017年のエタノールと副産物の生産量予測は5,439百万ブッシェルであることから、2018年は5,628百万ブッシェルとなるのだが、WASDEの予測は5,525百万ブッシェルと少な目の予想となっている。よって、更に約100百万ブッシェルの織り込まれていない需要増があると予測できる。

 

 

①、②いずれにしても、大きな需要増が控えていることを予見させる内容となっている。

 

 

まとめ

・ 現在のコーン価格は過去の相場、現物相場を見ても割安である。

・ 値が下がっている大きな原因である2017/2018年の大きなキャリーオーバー予測については、需要の増加が見込めることから解消されていく可能性が高いと思われる。

 

 

現在は、まだ見ぬ需要増のためこれが相場が動かす、ということも考えにくいが、今後については、作柄不安、作付面積の減少不安が相場上昇に大きく影響する時が来る可能性が高いと思われる。

 

よって、現在のコーン価格であれば買い推奨ということができると思う。(但し、順ざやであることは注意)

 

 

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