V=4/3πr³

詩と物語を紡ぎます

降臨

2017-11-15 00:39:00 | daily tsukasa


   降臨

辺り一面耳をつんざく鐘の音が響き狂っている。
くわあああああん、   くわあああああん、
くゔをををををん、   くゔをををををん、
其処此処声の渦が凶暴な津波と押し寄せてくる。
食え!               食え!
喰え!               喰え!
猫の群れに囲まれた僕の前にしなしな萎びた草。
眼の前に立っているのはまさかのシュガーさん?
くわあああああん、   くわあああああん、
くゔをををををん、   くゔをををををん、
食え!               食え!
喰え!               喰え!
食えおっぺけぺんぺん草、おっぺけぺんぺん草
喰えやーれんそーらん草、やーれんそーらん草
食え食え食えおっぺけぺんぺん草食え食え食え
(無理無理無理食べられないよ無理無理無理!)
喰え喰え喰えやーれんそーらん草喰え喰え喰え
(ああああああああああああああああああ!!)

その瞬間だった。巨大な影が空に浮かび上がったのは。それは草の山を蹴散らして、両手を空に突き上げ、咆哮した。
【ああああああああああああああああああ!!】
【大魔、神子、降臨!】
鋭い剣が次々と猫を蹴散らし猫と思っていたそいつ等はどす黒い霧となって空間に溶けていった。
【妖鬼妖魔、魑魅魍魎、退散消散、雲散霧消!】
辺りが、俄に光を取り戻して輝き始め、僕は手を掴まれ闇から引き上げられ……た。
……た?
「い、いい? ……痛たたた! 棘、刺々がっ?」

深夜、夥しい寝汗をかいて、僕は枕元のサボテンを掴んでいた。


むふ、むふふふふ、だいま、じんこ、こうりん……。



2017/11/15
00:14 am
**

コメントを投稿