私から、申し出た入院は、あっさりと決まりました。
最初にお医者さんからの問診がありましたが、人と話せる状態でなかったので、私は院内に飾ってあった観葉植物をぼーっと眺めていました
観葉植物の生き生きとした葉脈や繊毛に、何故か心惹かれるものを感じていました
その間に夫が私の状況を伝えてくれたようです。
病院は、精神科のみでしたが、とても大きな病院でした
敷地もとても広く、体育館や売店もあり、学校のようです。
私にとって、一番有り難かったのは、全く人目を気にせずに良いことでした。
他の患者さんは、一見するところ、何が問題なのかよくわからないのですが、ずっとニコニコと笑っている人や、自分の世界に閉じこもっている人など、あまり周りの人の素振りを気にしていないようで、とても自由に見えました。
一般社会と違って、とても緩やかで穏やかな空気感に包まれているような気がして、病気のままの自分をそのまま出しても、誰にも責められないというのは、私にはとても有り難い空間です。
また、院内では、母でもなく、妻でもなく、娘でもなく、社会的なポジションがないことも幸せでした
患者さんには、若い世代の人もたくさんいました。
中には、10年以上入院しているという人や、恋人同士というカップルもいて、デートを楽しまれていました
最初の夜は、抗うつ剤の点滴をされたせいか、全く眠れず、食堂で星空を眺めて過ごしました
その後は、抗うつ剤がきいたせいか、途端に気持ちは元気になっていました
病院の中を探索したり、他の患者さんとおしゃべりしたり・・・。
普通の社会の人とは、抵抗があったのに、患者さん同士だと普通に話せていました
売店では、患者さんがアルバイトもしていたので、病院全体が、一つの街のようで、解放感もありました。
私は、気が向くと、体育館で、バレーボールまでしていました。
当時は食欲もなく痩せていたのですが、久々に身体を動かそうという気持ちになれたのは、私にとっては画期的な事でした
そして、時々、病院から外出許可をもらって、街にショッピングにも行きました
知らない街のショッピングセンターは、新鮮でワクワク
お店で、海の香りのする石を買いました。
海の香りは、私の心を海辺へと連れていってくれるようです
道中には、建売の住宅があって、こんな家に住めたらいいなぁ・・・なんて夢想していました
病気を忘れてしまったかのような、こんな晴れやかな気持は、久しぶりでした。