【ミステリー短編集感想】「贈る物語 Mystery〈九つの謎宮〉」 綾辻行人編

開かれた洋書

名作の短編ミステリー小説9編が収録された入門的なアンソロジー作品の読後感想。ネタバレはありません。

作品情報

  • ジャンル:本格ミステリー、推理小説、短編集
  • 著者名(編者名):綾辻行人 編
  • サブタイトル:九つの謎宮(めいきゅう)
  • 発行年月:2006年10月
  • 価格:税込720円
  • ISBN:4-334-74143-6 978-4-334-74143-3
  • 判型(サイズ):文庫
  • ページ数:416頁
  • 出版社:光文社
  • 参考:Books.or.jp 【書籍の詳細】

綾辻行人が編者を務めた「本格ミステリー入門編」的なアンソロジー。古今東西の名作9編が収録。

主な内容

「Who(誰が)?、How(いかにして)?、Why(なぜ)?、What(何が)?、Challange(挑戦)!」という5つのグループに分けて計9つの短編作品が収録されていました(最後の「Challange」は事実上「Who」にあたるのだそう)。

  1. Who:「暗黒館の冒険」 エラリー・クイーン
  2. Who:「黄色い下宿人」 山田風太郎
  3. How:「密室の行者」 ロナルド・A・ノックス
  4. How:「妖魔の森の家」 ジョン・ディクスン・カー
  5. Why:「長方形の部屋」 エドワード・D・ホック
  6. Why:「カニバリズム小論」 法月綸太郎
  7. What:「病人に刃物」 泡坂妻夫
  8. What:「過去からの声」 連城三紀彦
  9. Challange:「達也が笑う」 鮎川哲也

各編に綾辻行人の前書きがあり、その作品やテーマに沿った楽しみ方やポイントになりそうなヒントが書かれているので、ミステリー初心者な自分にも読みやすかったです。




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感想:★★★★★

全作面白かったのですが、特に印象的だったのは最後の「達也が笑う」でした。「わかるものなら犯人を当ててみな!」と言わんばかりの「作者VS読者」の知恵比べ挑戦小説で、推理のし甲斐&読み応えが抜群でした!

解決パートを読む前の推理で、犯人(Who)とトリックの一部(How)は分かったものの、何があったのか(What)、そして犯行に及んだ動機(Why)については結局分からず、ちょっぴり悔しかったのですが、最終的にはスッキリとした読後感が得られてすごく楽しかったです。

他にも印象的だったのは、Whyグループ「カニバリズム小論」のWhyが明らかになった後のWhoとWhatの衝撃。そして、Howグループの「密室の行者」のトリックには「その手があったか!」と驚かされました。

あとがきの解題には、各著者の他作品や、同種作品の紹介もされていてるので、面白いミステリー作品を探す足がかりになりそうでした。あと、「贈る物語」は今回の「Mystery(ミステリー系)」の他にも、「TERROR(ホラー系)」と「WONDER(SF系)」もあるようなので読んでみたいと思います。




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