2月下旬、埼玉県教育委員会は高校生のバイク利用を禁じた、いわゆる3ない運動の見直しを行う方針を決めました。
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3ない運動とは、1980年代初頭、バイクブームによる交通事故や、暴走族の増加を受け、高校生の命を尊重するために、1982年から高校のPTA連合会が推進(もとい、強制)を決議した運動のことです。
この3ない運動は、免許を取らせない、(バイクを)買わせない、(バイクを)運転させないという3つの指針を掲げており、その他に一部では車に乗せてもらわないなどを加えた4ない運動として実施しているところもありました。
ですが、1990年近くになると3ない運動による事故予防結果が疑われると真っ先に神奈川県が廃止。
1994年に福島県で生徒指導教員の取り締まり車が高校生を追いかけて事故死する事件が起こり、この運動に社会的批判が高まり、PTA連合の会長が個人的見解であるが廃止を表明。
これに伴って、97年に全国決議文から拘束力の弱い宣言文に格下げし、各地、各校のPTAによる裁量で決定する方式に変更。
最終的に2012年、3ない運動をマナーアップ運動に衣替えすることが発表され、事実上3ない運動は終焉を迎えることとなりました。
しかし、埼玉県ではその3ない運動が尾を引いており、入学前には高校生にはバイクは不要と言う主旨のリーフレットを配布。
(ただし、秩父地域などでは例外が存在する)
挙げ句の果てに高校ではバイクの免許を取らない、乗らないといった宣誓文のようなものに署名をしなければならないところも未だに存在し、悪しき風習となっています。
もしバイクに乗ったり、免許を取ってしまった場合、謹慎処分、学校によっては退学処分となることもあるようです。
今回の見直しは、これを変更し、バイクは届出制にするものの、通学以外では交通ルールを守った上で自由に乗れるようになるようです。
これについて私が思ったことは、この3ない運動の廃止はとても遅いと思います。
近くの神奈川県が3ない運動を廃止したのは1990年付近でもう25年以上も経っています。
本来であれば、25年前にもできたことを、今になってようやく重い腰を上げて取り組もうとしているのです。
(ただ、二輪車事故ワースト上位に入るからためらっていたと言うのはあるのでしょうが)
その被害者は紛れもなく、その年代の卒業生です。
その時期に卒業した卒業生は、バイクに乗る楽しみを一切教えられず、人によってはその楽しみを奪われ、バイクを一切悪として教えられてしまった人もいるでしょう。
特にバイクが趣味の親の下で育てられたのなら、免許が取れる16歳になったら免許を取ってバイクに乗ってみたいと思うのも自然な流れです。
それを悪として極端に禁止している現状では、将来もバイクはとても危険だという偏見を持ち続ける可能性が高いです。
しかも、そもそも道路上では道路交通法などといった法律で決まりを作っているのに、どうしてわざわざ学校(教育委員会)が道路上でのルールを作ってしまうのでしょうか。
道路はあくまで道路であって、学校ではありません。
そんなところで、どうして学校のルールが持ち込まれてしまうか、それがどうしても気になります。
そして最後に、文部科学省が提言している教育機関の意義、目的が以下の通りにあります。
学校教育は、すべての国民に対して、その一生を通ずる人間形成の基礎として必要なものを共通に修得させるとともに、個人の特性の分化に応じて豊かな個性と社会性の発達を助長する、もっとも組織的・計画的な教育の制度であり、国民教育として普遍的な性格をもち、他の領域では期待できない教育条件と専門的な指導能力を必要とする教育を担当するものである。 参考リンク:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/gijiroku/04053101/007/001.htm 法律上ではバイクが運転できるのに、教育機関によってそれができないと言うのは、豊かな個性の発達を助長できているといえるのでしょうか。 豊かな個性の発達を助長するのであれば、免許を取った上で、バイクの楽しさ、そして危険性を十分に教えた上で、バイクに乗ってもいいように思います。 バイクを運転するための基本的な力(判断力など)は免許試験で既に試されていて、お墨がついているのです。 ですから、そもそもバイクを運転してはいけないような人間はその時点ではられていると思うのです。 (バイクの危険運転をする人の中には無免許運転がちらほらいますが、それは論外です) 最近の教育機関は、本当にいけないこと以外にも、バイクに限らず一点張りにダメということが増えておりますが、本当にそれは生徒のためになっているのでしょうか。 そのように言っていると、子供の好奇心を無くし、体ではない、また別の成長を止めてしまうことにつながります。 一点張りにダメと言っているのは、事故の起こさない学校を目指していたり、事故後の対応が面倒だったりするからで、学校が損をしたくない、名誉を守りたいからというのはもうわかっています。 私は、事故が起きることで学習することも多くあると思います。 本当に(法律的に)ダメなことはダメと言っていいのですが法律的には全然問題ないことはチャレンジするべきだと思います。 ですから、バイクを一点張りにダメといっている3ない運動はあまりにもおかしいものだと思います。 今後、3ない運動が廃止されて、バイクが解禁されていけば、更に個性が多様化し、高校生活も付随して魅力的なものになっていくと期待しています。 これはまだ見直しに向けての方針を立てただけなので、このあと、廃止に動くか、存続するかどう動くかわかりません。 ですから、今は交通安全教育の更なる充実を図り、いつ高校生のバイクが解禁されてもいいような社会環境づくりに取り組むことが重要であり、課題だと思います。 |