中学受験の小箱 by 元私立中学教師 yamesen

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塾とは別の角度から学校選択のヒントを書いています。

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文春オンラインにも中学受験特集が掲載されています。
中学受験“25年で上がった学校、落ちた学校” 親の常識で学校を選んではいけない

この記者の主張はその通りです。
ただ、中学入試を考えている保護者は偏差値の確認は済んでいるのではないでしょうか? 昔と違うことを知らないままに受験をすることはありえません。

きっとかつて中学受験を経験した人に「へえ、やっぱり」と確認してもらうことを狙った記事なのでしょう。

偏差値表を見ると大きく推移している学校があります。
ただし記事にもあるように、この偏差値表は、共学も別学も試験日も受験科目もごちゃ混ぜです。取り上げてある学校も選択されています。
記事に説得力を持たせるために構成されています。

1992年の桜蔭と共立学園は偏差値が近接しています。しかし、当時から桜蔭の試験に合格できる学力がある場合、共立学園を選ぶ家庭が多かったとは思えません。

偏差値が下がっても共立学園はいい学校だとなんとなく思っています。伝統校だからです。
今なら、同じ偏差値の他の学校よりも歴史のある共立学園を受けるという積極的な選択もあると思います。

偏差値急上昇の学校で働いていた時、職場のことを話すと、複数の知人から「永遠の2番手校の宿命だね」とか「営業努力の学校だよね」とか言われました。辛辣ですが、その人にとって正直な意見なのでしょう。こちらも納得してしまいました。

私が新しい学校に対して慎重なのは、生きている作家を評価する難しさと同様のものを感じるからです。

この記事には興味深い言い回しがいくつか見られます。
例えば「この25年間で一番の快進撃は『洗足学園』です。92年は偏差値40.5だったのが今は62と神奈川の難関女子校の一つです」。
学校に「快進撃」という表現を使われては洗足学園も気分が悪いでしょう。何を攻撃しているというのでしょう。

もう一つ。「周囲でも、桜蔭や開成を蹴って、渋幕へ進学したお子さんがかなりいます」。
これは、渋幕と桜蔭・開成の間には「超えられない壁」が厳然としてあるということです。
「渋幕を蹴って、桜蔭や開成へ進学」というのが趨勢だといっているにすぎません。

受験生の保護者がこの記事から学ぶことは、現在の偏差値だけを問題にしていると25年後には偏差値は変わってしまう可能性が高いということです。