気まぐれな管理人による雑文サイト。Web小説「Rebirth」連載中 (笑)

心の時計を止めてしまったあなたへ(Remember 神戸 1.17)

2018年1月17日  2018年4月18日 
あなたに出会ったのはいつのことでしょうか。

具体的な日付は覚えていないのだけれども、僕が多感な高校生の夏だったように記憶しています。
ほんの些細なきっかけでしたが、やがて頻繁にことばを交わすようになり、毎日のようにいろんなことを話す間柄になりましたっけ。

いつしか、僕はあなたが紡ぐことばを心待ちにするようになりました。
ユーモラスでありながらも機知に富むあなたのことばに、すっかり魅せられてしまった僕は、あなたのことばの虜になったのです。
どこまでも真っ直ぐな、しかし命を削るかのようなあなたのことばは、僕の心を大いに強め、時に大きく揺さぶりました。
まだ未熟だった僕が一方的に心の拠り所としていたのでしょう。

――そんなあなたの心に。
ぽっかりと大きな穴が空いていることに気づくのに、それほど多くの時間は要しませんでした。

すべてのものが崩壊した1995年の寒い朝。
あなたの幸せもまた崩壊し、あなたの心は時を刻むことを拒否するようになったのです。
その心痛は想像を絶するものだったことでしょう。

いつの日か。
あなたの心の時計が再び時を刻み始めるときが来て欲しいと、淡い期待を抱いていました。
たとえ僕が力になれなかったとしても、別の誰かがあなたの心の時計を動かし、あなたの時計の針を進めてくれることを強く願っていたのです。

その願いは届かず、あなたのことばは少しずつ途切れがちになりました。
それでも愚直な僕は、いつか再び、あなたのことばが聴けるものと信じてやみませんでした。
その願いも、12年前のあの日、とうとう潰えてしまったのです。

――残った人は辛いよね。
自分のことは忘れて欲しいけれど,忘れてくれないならせめて悲しまないで欲しいかな。

――ありがとう。関わってくださったすべての人に。

たいせつな人を失い、自責の念に苦しみ続けたあなたらしいことば。
あなたの願いとは裏腹に、あなたのことを想い続ける僕は、今でも形容しがたい慟哭に苛まれるのです。
時は過ぎ、気がつけば僕は、あなたの歳をとうに追い越してしまいました。

そんな僕にできること……
つたなくても、日々ことばを紡ぎ続けること。
いつ無くなってしまうとも判らない、目の前の小さな幸せを手放さないよう、しっかり握りしめながら前に進むこと。

そして、命尽きるその瞬間まで、僕はあなたを忘れません。
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bell(@bellstown21
いろんなこと書く人。比較的なんでも食べます (笑)
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