ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

我が東京息子の日本語

2017-11-10 13:26:42 | 家族の話
2017年11月10日 

息子も娘も30を超えましたが、昔から言われる通り、幾つになっても子は子。親にとっては可愛く、気にもなる存在です。

そんな訳ですから、日本とポルトガル、遠く離れたわたしたち親子は、わたしがパソコンをよく知らないままではありますが、昔の仕事柄、タイピングが速いので、親子でスカイプを通じて文字会話をするのはしょっちゅうです。

娘は大学生だった頃、また、息子は時間的に余裕があった日本の生活が始まった頃には、毎日のように親子でおしゃべりをしたものですが、その頃に比べ、それぞれ仕事を持っている子どもたちです、娘は共稼ぎの現在、息子は少しは将来のことを考え始めたのか、大学の英語講師の仕事を増やし、なにやら日常生活が忙しくなったようです。

そんな中でも、ポルトガルに住むわたしたち親を気にしてか、以前のように毎日ではないにしろ、スカイプで結構頻繁に声をかけてくれる子どもたちです。

さて、昨日のこと、息子曰く、「今日の仕事、あがった。二度も電車の方向間違ったアホ(笑)」と来た。「ふ、二日酔いじゃぁないのん?」と言う母親に、「平日や次の日仕事がある日は飲まない」。

ふむふむ、いい心がけじゃ。もう家なの?と聞くと、「えへ。帰宅前にちょっと一杯ひっかけてる」
おい!花金は明日だよ。平日や次の日仕事がある日は飲まないと言った矢先ではないか(笑) すると、たまたま明日は仕事がないのだそうだ。なぁんだ。

「帰宅前にちょっと一杯ひっかけてる」なんて、すっかり日本のサラリーマンもどきではないの、と実は苦笑した母でありました。そうしてみたら、こんなことがあったなぁと、息子のリスボン時代のことを思い出したのでした。以下。

2007年 「ボク」から「わたし」に

リスボンに住み、(ヘンチクリンなw)音楽作曲をしたいからと言って、定職に着いていない我が息子、非常勤英語教師とwebデザインを請け負ってのカツカツの生活をしている。外食は高くつくからと、ほとんど自炊である。

気になるので、お金は足りてるのかと時々聞くのだが、送金頼むなどの言葉は息子の口からは出ない。

娘もそうだが、息子も時々、言葉を教える時のコツのようなものをわたしに聞いてくる。
「生徒が疲れてるみたいで授業にのってこない」「自分が日本語を理解できるのを知っているので、日本人生徒はついつい日本語を求めがちだ」などなどだ。

人に教えるということは、マニュアル通りにすればいいというものではない。資格があっても豊かな経験がないといい授業は難しいのである。息子も娘もその点では「先生1年生」だ。大切なことは、どうしたら生徒が学んでくれるかと色々工夫する熱心さを持っていることだとわたしは思っている。その情熱がやがて自分独特の授業を編み出すことになる。

もちろん、基本指導を元にしての上である。わたしも今日自分なりの教授法ができるまでは、使ってみてはボツにしたアイディアがどれほどあるか知れない。息子よ、娘よ、もがきながら常に前進したまえ。

さて、その息子、電話で話していて、新発見したことがあった。

これまでずっと彼は、「ボク」をつかっていたのに、あれれ?なんと「わたし」に切り替わっているではないか!

先だってわたしが語学授業の参考にと送ってあげた「Japanese for Busy People](ビジネスマンを対象にした日本語教本)を読んでみたようで、その影響ありかな?

息子が「わたし」なんてやってると、「アンタねぇ。」とは、おっかさん、やりにくい。でも、一チョ前の人間と話してるみたいでなんだか面映かった。

「わたしは、もう一度日本語を勉強しようかと思ってるんだけど・・」って来た時には、思わずプッと噴出しそうになったぜ、息子よ(笑) クックックと内心笑いながらも、幾つになってもこうして学習したことを使って見ようという息子の心がけに、どこか嬉しく思う母親である。 ――



小学校1年生から中3まで、週に一度の補習校で学んだ国語は、学年が上に上がるにつれ漢字も語彙も段々怪しい状態になって行き、高校部がなかったもので、卒業後はほとんど日本語の読み書きから離れてしまった息子です。

リスボン大学へ行ってからはそれに拍車をかけ、話すことからも遠ざかりましたが、補習校で培った国語は日本に住むことで少しずつ蘇り、日本語から英語、ポルトガル語への翻訳も副業で受けている息子は、現在も日本語を独学しています。

日本で生まれ育ったわわたしにとってもそうなのですが、言葉は永遠に勉強の連続だと思います。日本語に限らず、英語もポルトガル語も然り。これで終わり、ということはない。学べば学ぶほど、教えれば教えるほど奥が深く、面白くなるのであります。

「帰宅前にちょっと一杯」なんて表現は、仕事が終わったらまっすぐ帰宅」のポルトガル語にはないからね。来年の帰国には、息子よ、二人して、どこぞへちょいと一杯ひっかけに行こうか!


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2 コメント

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Unknown (けいこ)
2017-11-14 03:47:00
こんにちは。

30歳過ぎた息子さんとスカイプでしょっ中お喋りする、なんて仲が良くて良いですね。
それも日本語で自由にお喋りできるのは羨ましいなぁ。

私の長女は忙しそうで、電話も偶にです。
日本語は今は全然使ってないから、会話はともかく読めない、書けない、なのです。
次女は 大学で日本語も勉強してるから、週一でスカイプで日本語を教えています。

言葉はいつも使ってないと忘れてしまいますね。
けいこさん (spacesis)
2017-11-14 16:54:50
わたしたちもそうですが、使わないと例え母国語と言え、普段使わない語彙はなかなか出てきませんね。

息子も補習校の中3を出た後は、漢字が漢検の9級くらいしか読めない状態になり、リスボン大学時代は話す事も聞くこともなかったため、すっかり怪しい日本語になりましたが、周囲から日本語しか耳に入らないという環境は、すごいですね。語彙も増えていつの間にか、漢字の勉強などもしていました。

日本語が必要な環境になったら、けいこさんのお子さんたちもきっと同じようになると思います。

言葉は知っていて損はないですね。

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