最近、いわゆるクセがすごい…登記手続きをしましたので忘れないように書き留めておきます
ざっくりいうとこのような案件です
父Xが銀行から事業のためにお金を借りて、根抵当権設定登記をしましたが、根抵当権で担保されている借金3,000万円を残してお亡くなりになりました…
相続人は妻A、息子B、娘Cです。
BとCは事業とは関係のない暮らしをしており、とりあえず、事業のことに、あまり関わりたくないということです。
よって、Aのみが、Xの借金を引き継いで、今後、銀行と取引をしていていきたいとのことです。
お話的には簡単な感じですが、これを登記に反映していくのは、結構やっかいなことなのです…
まず、Xが亡くなった段階で、自動的にABCが借金3,000万円を引き継ぐことになります
そして、根抵当権は、債務者死亡後、6か月以内に指定債務者合意の登記というものをしないと元本が確定してしまいます
(根抵当権の元本が確定してしまうと、その根抵当権を使って新たな借り入れ等ができなくなってしまいます)
よって、指定債務者をAとする合意の登記をします
BCは借金を引き継ぎたくないので、BCがいったん引き継いだ借金をAが引き受ける契約をします
今後はAのみが銀行と取引をしていくので、債務者をAのみとする変更、債権の範囲を相続時の債務、BCから引き受けた債務を担保するように債権の範囲を変更します
以上を登記に反映すると…
①根抵当権変更
原因 平成29年〇月○日相続
債務者 ABC
②根抵当権変更
原因 平成30年〇月○日合意
指定債務者 A
③根抵当権変更
原因 平成30年〇月○日変更
債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権
平成30年〇月○日債務引受(旧債務者B、C)にかかる債権
平成29年〇月○日相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権
債務者 A
以上の3つの根抵当権変更登記をすることにより、相続人BCは完全に銀行とはおさらばして、Aのみが今後、銀行と取引を継続していくことができるようになります
しかし、このへん➔相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権 の言い回しやらが…
ほんとに登記のクセがすごいんじゃあ…と感じました…
このようなクセがすごい登記は、銀行の担当者もお客様にも分かりにくい登記ですので、当然に…
「何でこんなクセがすごいことせんとあかんの」
って普通なりますよね…まあ、クセがすごいとはおっしゃてませんでしたが…
それを、きちんと説明して、納得して頂いて、しかも、書式自体もズバリのものがありませんので、自前で契約書やら登記原因証明情報を作成して、何とか登記を完了することができました
ありそうでなかなかしない登記なので、お陰様で良い勉強をさせて頂きました
京都・大阪を中心に関西全域対応します!
すみのくら司法書士事務所
司法書士 角倉弘高
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