#7 碁敵は憎さも憎し懐かしし ~「笠碁」~ | 鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

1956年に落語に出逢い、鑑賞歴50余年。聴けばきくほど奥深く、雑学豊かに、ネタ広がる。落語とともに歩んだ人生を振り返ると共に、子や孫達、若い世代、そして落語初心者と仰る方々に是非とも落語の魅力を伝えたいと願っている。

今、NHKテレビで放映されている大河ドラマ「おんな城主直虎」では囲碁を打つ場面がしばしば登場し、囲碁が効果的に使われているという印象がある。落語にも囲碁が登場する噺がいくつかあるが、その中で「笠碁(かさご)」がよくできた噺である。

 

幼友達で今はお互い隠居の身となり、ヘボ碁を唯一の楽しみにしている二人の男が主人公である。

上達のためにこれからは「待ったなし」にしようと取り決める。その舌の根の乾かぬ内に、「この一手だけ待ってくれ」「いや、決めたことだから待てません」の言い合いになる。「貴方が借金の返済を待ってくれと言った時、私は待てないと言いましたか」と関係のない話まで持ち出す始末で、お互いが意地を張り合い、ついに「絶交だ!」と喧嘩別れになる。

 とはいうものの、他に碁の相手になってくれる人はなく、二人ともイライラが募る。ある雨の日、辛抱しきれなくなった一人が、富士登山の折に使った菅の笠を被った変な格好をして碁敵の家を訪れる。が、敷居が高くて玄関先を行ったり来たりするばかり。これを観て喜んだ碁敵が、玄関先に碁盤を持ち出して、「ヘボ、一丁くるか」と誘いを掛ける。

 二人はお互いに先日のことを謝りつつ早速碁盤を囲むが盤上に水滴がポタリ、ポタリと落ちる。碁敵が雨漏りかと思いつつ相手を見ると、相手はまだ笠を取っていなかった。

 

 囲碁・将棋は長い歴史を持っていることから落語にもよく出て来るが、概ね、旦那衆は碁を、職人衆らは将棋を愛好したようである。「碁敵は憎さも憎し懐かしし」という川柳の情景を描いた傑作で、五代目柳家小さんの高座が有名であるが、私は十代目金原亭馬生の一席が好きである。

 

【雑学】碁石を使った二人で遊ぶゲームがある。

①碁石を適当な数だけ取り出して、2つの山に分けて盤上に置く。但し、どちらの山も2つ以上置かなければならない(上限はない)。

②交互に好きな数だけ山から取って行く。但し、一度に2つの山から取ることはできない。③これを繰り返して、最後の1個を取らされることになった人が負け   というゲームである。

 このゲームには必勝法があり、「自分の番の時に、2つの山の数が同数になるように取る」というものです。と言っても山の数が多い時は目で数えられませんので適当に取り、目で数えられるようになったら必勝法を実行に移すのがコツです。子や孫らとの遊びに単純で効果的なゲームです。

 

(万博記念公園・大阪 2014年)

 


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