演技直後、ボーやん史上最高と言っていいほどのガッツポーズ!と、にこにこキスクラ。
祈り、点数が出て喜び、
そして涙…。
演技中転倒しても、コミカルなパートでは邪気のない笑顔で滑り、
キスクラでも穏やかで、
チーム戦の試合では、自ら道化役をかってでる。
そんなボーやんが、オリンピックの個人戦キスクラで初めて泣いた。
ショート最終滑走で、抜群の安定感のあるジャンプ。スピン、ステップも素晴らしく、成長したパーフェクト演技を観せて迎えたフリー。
オリンピックで、ショートもフリーも、パーフェクトに滑ることを課して練習してきた。
朝の練習が早いため、最終グループは皆スキップした前夜の公式練習に、一人出て、観客を喜ばせたボーやん。
フリーで4Tを転倒してしまったけれど、
キスクラで、漬物石だったネイさんを抜いて暫定一位になったとき、メダルの可能性が見えただろう。
あのキスクラの涙は、全費用を自己負担し、時には食事も節約し、会場に入れなくても毎試合同じ都市に来てくれる、母親を思ってのことだと聞いた。
ペアのカップルを国主導で組み替えたと思われる国、ジジュンさんが人知れず引退した国、
男子シングル初のメダルを、ボーやんがどれだけ国から期待されているか、想像に難くない。
キスクラで暫定一位、自分のあとに滑るのは4人。
グリーンルームで、そんなこと思いたくなかったろう。
応援してくれた人のためにも、表彰台に乗りたい、グリーンルームの定員は3人。
でも、あとに滑った人が自分を上回る点が出れば、一つずつ後退していく順位。
4人目は、はじき出される。
そんなこと、思いたくなかったろう。
でも、思ってしまうだろう。
自分のやれることはもう終わった。
あとは、これから滑る他の選手の出来に左右される。
どれだけ、悲しいだろう。
そう思ってしまう自分が。
そう思うと、私は苦しくなる。
けれど、
グリーンルームでボーやんは、点数が出た最終滑走の宇野さんに、にこっとして、小さく手を振った。
ボーやんは宇野さんに向かって、まっすぐ祝福していた。
あの、いつもの、邪気のない笑顔で。
その、心から出たとしか言いようのないボーやんの混じりっ気なしの笑顔は、私の安っぽい気遣いによる妄想など軽く超越していった。
私は、
グリーンルームってテレビ的な、勝者のための演出で、悪趣味だと思っていた。
複雑な気持ちにさせられることが多かった。
四大陸では、ジェイソンさんとアーロンさんがサービス精神で見る人を楽しませてくれたけど…、
選手にこれ以上、よけいな何かを課したくない気持ちがしていた。
でも「よけいな何かを課して」いたのは、見ている私だったのだと思う。
https://m.weibo.cn/status/4208425858924851
「今後数年間で芸術の進歩を目指す」
https://www.instagram.com/p/BfS9AsHDT8L/?taken-by=1j0b0y3
「既に任務完了~私の全てを知っていただき、ありがとうございます。私はまだ若い、次のオリンピックで。ファイト」
次は母国でのオリンピック。
それまで毎試合、素晴らしい演技を観せてくれるだろうホールパッケージの選手に、ボーヤンはもう、なってる。
しかも、技術だけでなく、芸術面も進歩を目指す、って
日本勢にとっては、怖い存在です。
ワクワクしますね。
怪我だけは気を付けて。
今はゆっくり休んでほしいです。