落語はビジネスにも役立つ!「笑う力」を身につけたい

アマチュア落語家・太助が、落語の魅力を考えます。

お勧めの落語家:柳亭左龍(2)~ふくよかな古典の名手。人形町での独演会

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こんにちは、アマチュア落語家の太助です。2017年11月29日、人形町で開催された「第2回 柳亭左龍 独演会」に行ってきました。

 

会場は、人形町駅から徒歩5分くらいの日本橋社会教育会館のホール。いかめしい名前のホールですが、ここの席は、列ごとに段差が付いているので、とても見やすいのです。客席数は250程度。広さ、見やすさ、音の響きなど、いろいろな面ですばらしい会場です。

 

まんまるな顔と体から繰り出す、多彩な表現

 

柳亭左龍師匠といえば、まんまるな顔と体に、つぶらな瞳。漫画「おぼっちゃまくん」のような風貌ながら、深く響く美声の持ち主。

 

この日の演目は、

・長短

・片棒

・お見立て

 

「長短」は、おそろしく気の長い長七と、とても短気な短七の噺(はなし)。まったく正反対の性格の2人だが、小さい時分から仲がいい。しかしこの二人、会話や動作のテンポがまったく噛み合わない。長七の饅頭の食べ方や煙草の吸い方、すべてが短七には気にくわない。五代目の柳家小さんが得意とした落語です。

 

落語は音楽と同じようにリズムとメロディーが大切です。この落語の面白さと難しさは、長七と短七で異なるリズムとメロディーを奏でなければならないところ。左龍師は、この緩急のリズムの使い分けが実に見事です。長七の「のんびりした口調」には、聞いている私たちもイライラして、突っ込みを入れたくなります。

 

「片棒」は、倹約を重ねて一代を築いたケチ兵衛さんが、3人の息子の誰かに財産を譲ろうと考え、自分の葬式の提案をさせる噺。父親そっくりの人形を作り山車に載せるとか、骨壺を神輿に入れて練り歩くとか、息子たちの提案する葬式は支離滅裂。

 

この噺で改めて感じたのは、左龍師匠の声量の豊かさ。通常は7割程度の声量で話し、「ここぞ」というときには、驚くほど大きな声が出るのです。また、顔芸ともいえる愉快な表情も魅力的です。山車の人形の表情には、場内から大きな笑いが起こっていました。

 

「お見立て」に出てくる吉原の花魁・喜瀬川は、客で田舎者の杢兵衛(もくべえ)大尽が嫌でたまらない。杢兵衛に会いたくないので、若い衆に「病気だから会えない」「入院したので、ここにはいない」など、いい加減なことを言って応対させるのだが……。

 

この杢兵衛のような人物は、左龍師の得意技。大きな目をギョロリとさせ、大声でなまって話すと、本当に無粋な田舎者が現れます。この杢兵衛、ガサツな雰囲気にもかかわらず、妙に頭の回転が速いところが楽しめました。

 

落語の持っている本来の面白さを味わえる

 

第1回の独演会でも感じましたが、左龍師匠の声の高さや大きさのメリハリ、顔芸ともいえる愉快な表情など、その引出しの豊かさには、本当に驚きます。落語の中に現代的なギャグなど入れず、古典落語が本来持っている面白さだけでしっかりと楽しませてくれる、まさに「本寸法」の魅力です。

 

平日の水曜ということもあり、会場は満席とはいきませんでしたが、集まっているお客さんは、「笑いたいために集まっている」というより、古典落語を楽しみたい方が集まっているという温かい雰囲気でした。

 

前回の独演会もそうでしたが、3席とも左龍師匠のお得意な噺が並べられていました。1つだけ希望を言いますと、せっかくの独演会ですから、普段の高座では聴けないような噺、手掛ける人の少ない長編噺なども、ぜひ聴いてみたい気がします。練達の落語家であることは分かっていますので、さらに新たな一面を見てみたいのです!

 

ともあれ、柳亭左龍、お勧めの落語家さんです!

 

 

柳亭 左龍(りゅうてい さりゅう)

2009(平成21)年 第14回林家彦六賞受賞

2010(平成22)年 花形演芸大賞銀賞受賞

2011(平成23)年 花形演芸大賞金賞受賞

2012(平成24)年 花形演芸大賞金賞受賞

 

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