夏の名残が残るような暑さだったが、参道はミストが吹き続けられているような感じでひんやりと潤っていた。

 大きな二体の像が、参道の脇に立っていた。

 その前を歩いて行く。

 何か物申したいような視線を感じるが、目が合わないようにその像を視野に入らないように見過ごして横を通り過ぎた。

 

 その場を通り過ぎ、階段に片足をかけると、帯がスルスルと飛んできて巻き付かれた。

 片足を階段にかけたまま動けなくなった。身体全体が固まってしまった。

 妙な姿で止まるわたしに気づいた男性が振り返って「どうしたの?」と聞いた。

「身体が動かない。たぶんあの二体の像がわたしを引っ張っている」

 それから、後ろ向きに引っ張られるまま引き戻され、二体の像のど真ん中に立たされ向き合わされた。

「何ですか?誰ですか?」わたしの問いに言葉は返ってこなかった。

 

 わたしはこの波動を聞き取れるほどの繊細さはないのだと理解できた。

 とても細かくて静かで素早く流れていた。

 身を委ねるしかなかった。悪いものでないということは明らかだった。

 澄んでいて透明で清々しく細かく振動し素早く流れる。

 人はこれを恐ろしいと表現するかもしれないが、高い波動というものは、そういうものだと認識している。

 


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