イラスト:雅

向田剛志(ムコーダ)27歳

 

○あらすじ

異世界の勇者召喚に巻き込まれた向田剛志は、不穏な空気を察知し、召喚した国を早々に立ち去った。

巻き込まれただけの彼固有のスキルは『ネットスーパー』。

戦闘には全く役に立たないスキルだったが、そこから生み出される地球の食物は、伝説の魔獣フェンリルや特別個体のスライム、幻のピクシードラゴンのみならず、異世界の神々をも魅了する、とんでもないスキルだった!!

 

ムコーダとして、異世界で生きていくことになった彼は、ネットスーパーの調味料を駆使し、美味なる料理を作り、その料理に釣られた押しかけ従魔たちとともに異世界を旅をする。

 

○感想

はい、ちょっと休憩です。

この作品は恋愛小説ではありません。

ネット小説好きな人なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。わたしめ、数あるネット小説の中で一番好きと言っても過言ではありません。

 

語ると長くなりますが、この小説のお気に入りは、何と言っても主人公、ムコーダにあります。

彼、ムコーダさんの魅力は『そこそこ』というところ。

そこそこの正義感と、そこそこのお人好し加減と、そこそこの戦闘力と、そして、抜群の料理の腕前と、絶望的な恋愛運です(笑)

 

この方、召喚された国を不穏に思いながらも、勇者の高校生たちをほったらかして出奔しております。まあ、高校生たちも態度が悪かったんですが、一言の忠告もせずにすっぱりと切り捨てております。時たま、気にかけてはおるようですが、基本、接触しない方針のようです。こういうところ、変に正義感にあふれていないところがすごく好印象。

 

かといって、狡猾なところばかりではなく、子供に御飯をおごったり、病気の親を持つ子供に薬を上げたり、孤児院に寄付をしたり・・・あれ?子供ばかりですね。

ま、というのも恋愛運が神様が面白がるぐらい低いんです。ムコーダさんは健康な男子で、幼児に興味はございません。

 

そして、ファンタジーのヒーローならあるべきはずの戦闘力は、普通の人より少し強い程度。はい、なぜなら、ムコーダさんの周囲には桁外れの戦闘力を持つ従魔たちが守っているから(主にメシのために)戦う必要がない。というか、その間に飯を作らさせられています。

 

フェンリルとスライムとドラゴンたちが、いつも上位ランクのモンスターを狩ってくるので、素材の売却金でムコーダさんの懐はいつもほかほかなんですが、ムコーダさんのすごいところは、それでも無駄遣いをしようとしないところでしょうか。

値切れるものは値切るし、高いと思ったら、絶対に買いません。

ちょっとケチなのかなあと思わないではないですが、必要だと思ったものは即決で買っていますから、そうでもないのかも。

 

この作品、書籍化され、コミカライズもされているんですが、できればアニメ化も期待したいところです。