プライドがチョモランマで崩壊しそうだってよ

プライドが高い33歳女子の普通の日常を小説形式でお届けします。

出会いを求めて

膝から崩れ落ちるなんて表現だけで実際は崩れ落ちることさえもできず
ただただ、スヤスヤ眠るカズキの横でフリーズしてしまった。

 

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”妻は子供ばかりでまったく俺の相手なんかしてくれないよ。愛なんて最初からなかった”

 

 


カズキは奥さんの話をするたびにいつもこう言っていた。


バカみたいに信じきっていたワタシ。

 

 

 

 

 


カズキのことはスキだけど

 

 

 


自分の中の何かがふっきれた。

 

 

 

 

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「シオリさーーんランチいきましょおお!」

マリとレイコが月に数回、思い立ったときにランチに誘ってくる。


丸の内のランチ平均価格は1,280円(ワタシ調べ)


正直ただの腰掛OLの給料ではそのランチの値段は厳しい、けど安物服系女子たちにそんなことばれたくないから、2回に1回の誘いは仕方なくノルことにしている。


「いいわよ。今夜は松坂牛のすき焼きに行く予定だからランチはさっぱりしたいものがいいな。最近ヴィーガンにハマっているからお野菜とれるリストランテとか?
あああ、いつもいくところはちょーっと高いから若い2人には厳しいよね。ウンウンいいのいいのじゃぁ会社の横の定食屋さんにしようか?」


「えーヴィーガンとかかっこいいんですけどおお!さすがシオリさーーん!あたしらよく分からないけど、今度つれてってくださいーー」


フフフ、また尊敬のまなざしで見てる。気持ちがよい。


「イヤイヤ、20代のうちはお肉をたくさん摂って良質なたんぱく質摂取したほうが良い女性ホルモンがでてお肌ツルツル・美しくなるわよ~ワタシが25歳の時は週5で焼肉いってたけどね。」


「えーそうなんですかー!物知りーぃ!」


全部適当な話なのに、120%信じ込んでいる。


こっけいだ。

 



 

 

8年前、カズキも心の中で笑いながら、ワタシにウソついてたのかな・・・

 


何年たってもあの日膝から崩れ落ちた事を思い出す・・・・

 

 

 

 

 


定食屋では一番ボリュームのある揚げ物3点盛り定食を頼んだ。

定食が運ばれてくるまでは恋愛話や社員の噂話で盛り上がる。


「あ、そういえばーヤイバーエージェントとの合コン、今週金曜じゃないですかぁぁ?
シオリさん、ちゃんと予定空けてくれいますぅぅ?」


「えー今週の金曜だっけ?やだーちょっと待ってー」


もちろん空いているスケジュール。だけどマリやレイコの前ではいつも忙しいワタシを演じている。


「あ、大丈夫。大丈夫、あーあせったー!大学時代の恩師の還暦の宴がペニンシュラであるっていわれたんだけど、恩師がぎっくり腰になったからちょっと延期になったんだった」

 

 

 前回はエルメスのレセプションパーティと言っていたのに今回はペニンシュラでの恩師のお祝いになっている。あーおもしろい。どうせバカは気がつかないだろう

ワタシだってカタカナを言いたいだけだし。別に悪気ないし。

 

 

 

 

・・・


そして金曜日、


独身生活を謳歌していると思われているワタシだが、本音を言えば結婚をノドから手が出るほどしたい。

 

ヤイバーエージェントというチャラそうな男子が多そうな会社だが、東証一部上場企業であることには違いないので旦那候補である。

 


男子側は30歳前後という事前情報があったので、今回のワタシは

【しっかり者の姉御キャラ☆週末は青山のcafeでコーヒーを飲みながら村上春樹を読む事が多いかな。家は9万円もする世田谷区☆お料理ブログもかいてます】

っていうテーマ。


合コンはキャラ設定が大切。だから途中でブレないように合コンに挑む時は毎回しっかりとキャラを作るのがワタシのマイ・ルール。


姉御キャラにふさわしい、タイトスカートにVネックのニット(どちらもユニクロ)で肌見せをしつつALTAで10年前に購入した8cmヒールのパンプスを履く。
唯一のブランド物であるエルメスのエールライン。古すぎてよれよれなのは知っているけどこれ以外ビニールのバッグだから仕方が無い。

 

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早く買ってもらえる相手を見つけないと。

 

 

 

 

 

最後にルージュをひいて。


よし、今日もワタシはソコソコキレイだ。

 

 


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