【これで納得。不眠症総論】
千葉県野田市北部の内科医の外来患者さんの中で「不眠」を訴える方が相当数います。「不眠」と一言で表現されますが、「不眠症」とはいったいどんな病気なのでしょうか?今回は野田市北部の内科医がこの「不眠症」について解説したいと思います。
【不眠症の診断基準】
不眠症の診断基準としてICSD-2やDMS-Ⅳ-TRという基準が用いられていることが多いです。ICSDとは睡眠障害国際分類(The International Classification of Sleep Disordera)の頭文字をとったものです。2014年にはICSD-3が発表されて「不眠症」についての基準がかなり変わりました。メンタルヘルスの臨床や本邦での実際の診療ではそれぞれ単独の基準で上手く合致しないことも少なくないため、野田市北部の内科医は「睡眠薬の適正な使⽤用と休薬のための診療療ガイドライン」を参考にしての解説をします。以下に診断基準を記します。
不眠症というのは普通に睡眠がとれる生活があるのですが、入眠困難(寝つきが悪い)、中途覚醒(寝ても短時間で覚醒してしまう)、早朝覚醒といった睡眠障害があり、日中の生活に支障を来たしてしまうというわけですね。睡眠の質の障害というものも前3つに加えて存在しているのですが、これは個人の主観が強すぎるため、あまり重点を置かない方向になってきています。
【不眠症の治療】
【睡眠衛生指導】
薬物治療が主体となるのですが、その前に「睡眠衛生指導」というものを行うことが勧められています。これは、薬物による治療を導入する前に良眠のための正しい知識を持ち、生活環境を改善させることを目的とします。具体的にはどんなものかというと大体以下のものになります。
・就寝前のカフェインの摂取を控える。
・就寝前の多量の水分摂取は控える。
・就寝前の喫煙は控える。ニコチンには神経刺激作用があるためです。
・寝床ではあまり考えることをしない。
・眠るためのアルコールの摂取はしない。
・寝室の防音を整え、明かりも対策をして遮光カーテンを活用したりします。
・寝室の温度は寒すぎず暑すぎないようにする。ただし、若干涼しめのほうが入眠には効果があるようです。
・極端な空腹で就寝に挑まない。
【薬物療法】
現在実際の治療で使用する薬物としては以下のものが挙げられます。
・ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬
・非ベンゾジアゼピン系睡眠導入薬
・メラトニン受容体作動薬
・オレキシン受容体拮抗薬
【新しい不眠症治療薬】
上で記した「メラトニン受容体作動薬」と「オレキシン受容体拮抗薬」は新しい作用機序の不眠症の治療薬です。詳細は省きますが、長所も多い反面短所も当然ながら存在します。
【治療薬の選択】
治療薬の選択は単剤から始めるのが原則です。そして、睡眠障害のタイプ、神経症的症状の強さ(肩こりが強いとか)、腎機能障害、肝機能障害が強い場合など様々条件から決定されます。
治療の詳細については「これで納得。不眠症の治療」で具体的な説明をしたいと思います。