ミニ話(40) 10年以上前に出会った園児とのエピソード | モカ先生のプログラミング講座&鬼のパンツをはいた小学生たち

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プログラミング学習は、考え、実行・変換・修正を繰り返しながら、答えを出します。学習の基本姿勢です。このブログは、小学生が取り組むプログラミング講座と、それにチャレンジする子ども達との教室で繰り広げられる思いもかけないエピソードを綴ったブログです。

 

 

 今日のお話は、十年以上前に出会った園児との忘れられないエピソードです。パソコン指導で初めて行った保育園でのことです。いつものように、グループに分かれてパソコン体験を始めました。すると、

 

 おおもめしているグループがありました。「交代して」と何度も友達が言っているのに無表情で、交代しない子がいました。初めて体験するときは、マウスを離さないで、交代しないという場面はよくあるのですが、このグループは、どこか様子が違っていました。そこで、そのグループに声をかけようとした時、慌てて担任の先生が、交代しない子に、

 

 「〇〇くん、お部屋に戻って、違うことをしようか?」「行くよ」

 

 といって、パソコンから離れて、教室に戻るように、声をかけていました。どんなに先生が腕を持って、促しても、絶対にマウスを離しません。先生に声をかけると、小さい声で「実は、あの子は、自閉症なんです。新しいことをするときは、周りが見えずにこうなることがあるんです・・・」と聞きました。様子を見ていると、パソコンは気に入っているようだったので、先生と話をして、今回は、同じグループだった子たちに、空いていた違うパソコンに移動してもらい、その子に1台パソコンを自由に使えるようにしてみました。すると、

 

 表情一つ変えずに、集中して、絵を描いています。5歳児と忘れるくらい、集中しています。パソコン指導が終わっても、その集中力は途切れず、もくもくと描いているので、「片付けが終わるまでね」と声をかけました。その声も届かない様子で、絵を描いています。チラッと後ろから見て、驚きました。考えられないくらい、細かく描かれていました。ショッピングモールの中を描いていました。エスカレーターに乗っている人まで描かれていました。びっくりしました。感動しました。その子は、納得すると、たたたーと教室から出ていきました。

 

 

 片付け終わると、この感動を、園長先生にお伝えしたくて、園長室で今日の出来事を話しました。

 

 

 あの子は、絵を描くのが好きで、どこにでも描くんです。この前なんか、いなくなって大騒ぎしていたら、先生たちの駐車場で、下に絵を描いていたんです。あまりに上手だったから、消さずに当分そのままにしておいたんだけど・・。

 

 

 すごい才能ですね。・・・と園長先生と話をしていると、園長室に、あの子がスタスタと入ってきました。園長先生が、

 

 

 〇〇君、今日はよかったねぇ、パソコンで絵が描けて

 

 

 と、その子に声をかけていると、

 

 何にも言わずに、私の膝の上に座りました。

 

 

 あら?めずらしい!!初めての人の膝に座るなんて!よっぽどうれしかったのね。

 

 

 その子は、一言もしゃべりませんでしたが、私がすごいなと認めたことが、伝わったのかなと思いました。この子が立って園長室を出ていくまで、しばらくそのままで、一緒の時間を過ごしました。ほっこりした時間でした。もう、この子も、二十歳くらいになっています。がんばっているのかしら・・・。今でも、思い出します。

 
 
前回のお話は、ミニ話(39) 美容室での世間話 でした。