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東急シアターで上演中のミュージカル「エビータ」を観てきました。

ミュージカル界の巨匠、アンドリュー・ロイド・ウェバアーがわずか28歳の時に作り上げた傑作ミュージカル。

 

今までロンドンでの長期ロングランから、ブロードウェイ、そして日本では劇団四季が、何度も上演してきました。今回は初期のオリジナル版。ロンドンから本場のスターキャストが集結しました。

アルゼンチンの田舎町で婚外子として誕生したエビータ。6歳の時、実父の葬儀に出席を拒まれた経験が、彼女のアイデンティティに大きな影響を与えたと言われています。15歳で当時南米で最も栄えていた首都ブエノスアイレスに乗り込み、美貌と生来のスター性を武器に、次々と有力なパトロンを得てのし上がっていきます。その猛烈な上昇志向とハングリー精神は、その時代、政治や行政を牛耳っていた貴族社会や軍部からは総スカンを食らいますが、当の本人は気にも止める様子もなく。

 

やがて自身の自出でもある労働者階級の人々を取り込み、軍の有力者であった恋人のペロン大佐を大統領に押し上げていきます。ファーストレディになった彼女は、労働者階級のために、基金を造り、その活動に心身を捧げていきます。しかし、それは、劇中でチェが、「女のヒステリー」と揶揄したように、政治の素人だった彼女の思いつき、自己満足だった部分も大きかったようです。また夫のペロンの軍事政権も、抵抗する特権階級には、容赦なく暴力でねじ伏せてその言論を封じていきます。ファシズムと左翼的思想という一見、相対するイデオロギーがそこには存在しました。当時、裕福な先進国だったはずのアルゼンチンは、ペロン政権下、徐々に経済力を失い、弱体化していきます。

 

それでもなお、今もエヴァがアルゼンチンで「聖母」として慕われ続けるのは、やはり、立場の弱い人たちのために尽くしたいという気持ちを、例え、自己満足とは言え、実際の行動で示してくれたことが大きいかったのでしょう。

 

私がこのミュージカル「エビータ」を初めて観たのは、まだ二十代の頃、マドンナ主演の映画でした。

 

全く、スケールは異なる話でおこがましいのですが、当時の若い私にも、ささやかな上昇志向がありました。強烈なハングリー精神で次々に夢を叶えていくエヴァのその姿は、眩しく憧憬の的に映ったものです。

 

今回、久しぶりにこの作品を観て、冷静に今一度、彼女のこの止まぬ情念を支えていたものは一体、何だったんだろうとふと考えてしまいました。たぶん、その理由の一番大きな部分は、自分を見下してきた特権階級の人達を見返すことでは決してなかったような気がします。彼女は、自身の出自でもあった労働者階級の人たちに、実父の葬儀に出席を拒んだ、自分を取り巻くごくありふれた市井の隣人にこそ、自身の存在を認めて貰いたかったのではないでしょうか。

 

人の承認欲求というのは、見知らぬ誰かに対してよりも、身近な原体験の中に存在しています。けれど、多くの人はそのことに気づかず、投影している見果てぬ遠い世界の方に照準を合わせてしまうのです。そのほほえましくも愚かさこそが、人生を複雑にし、時には驚くような変革をその人に与えることもあるのではないかと、エヴァよりも幾ばくか長く細く生きて、ようやくぽつぽつと人の一生というものががわかり始めた私は思うのでした。

 

かつては輝かしい地位を得たエビータの姿に胸躍らせていた私も、時を経て今回、彼女が病に倒れ、静かに過去を振り返る、人生を集約してとらえたシーンに、最も心動かされました。

 

主人公を演じたエマ・ヒングストンは、したたかですましたエヴァの魅力が光っていました。

 

ミュージカル「エビータ」7月29日(日)まで東急シアターオーブにて絶賛上映中。

公演パンフは¥2000で会場内で販売されていますラブラブ

 

チケットぴあ

 

シアターオーブ、渋谷ヒカリエの最上階にあって、すごく景色がいいです。日の長いこの時期、夜の公演前でも、東京の街並みが一望できます。(写真撮り忘れました)

 

 

マドンナの映画版のサントラ。このサントラも何度聞いたことか。

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