こんな人たちが出てきます右矢印登場人物紹介


元々、幼稚園で学級委員を引き受けたことも、小学校で1年目から学年委員(しかも委員長)を引き受けたことも、遥希は歓迎していなかったのかもしれない。

 幼稚園時代は自分もパパ会に参加していたり、蘭花が幼稚園に居る間の活動だったので、遥希からも
「頑張れ」
と軽く言われていたのだが、小学校は学校行事以外の活動、夜間に会議などが入ることもあった。
なので、遥希に迷惑を掛けないという約束をした上で引き受けた(夜間の会議には蘭花を同席させ、遥希の食事は用意してから出るなど)のだが、役員をしていなかったら出来ていたことに対する皺寄せは遥希にもあったと思う。

それでも1年目は何とか乗りきったのだが、2年目になると遥希も『またか……』という気持ちになったのだと思う。
育成会の役員は必ず務めることになっていたので、仕方がないと言いつつも、昨年のことがあったので遥希の『育成会』に対する認識は最悪だったこともある。

遥希本人は直接は言わなかったが、ミエコから
「今年は仕様がないけど、来年は引き受けるのはやめなさいね」
などと言われたこともある。

引き受けることになった時に、遥希には
「今年も申し訳無いのだけれど、お願いします」
と頭を下げ、定例会や行事で家を開ける度に
「有難うございます」
は伝えてきた。

そんな時、遥希は
「……まぁ、仕方がないじゃないの?」
と言ってくれていたので、私自身がそこに甘えてしまっていたのだと思う。


育成会の行事で特に大きな行事は夏祭り。
自治会と絡むことなので、育成会の役員である母親は2日間そちらに掛かりっきりになることは3月の時点で分かっていた。

夜祭りでは警備、翌日はお神輿の手伝いに男性の手を借りたいと自治会から申し出があったのが5月。

毎年のことなのだが、回覧板などで募集をしても人手は集まらず 役員の夫を中心に手伝うというのが暗黙の了解だった。
だが、土日が休みという男性ばかりでは無い。
最終的に手伝いをお願いしても仕事を抜けられるかは不明だという返事だった。

私も遥希に手伝いをお願い出来ないか、と話はしていた。
遥希からは
「……そんな先のことは分からないな。出張とかで無ければ出来るけど」
と言われたので、
「では、出張などが無ければお願いしたいから、その時は協力してください」
と話しておいた。

育成会には
「出張の予定が直近で無いと分からないので正式にはお返事が出来ない。手伝いが出来るかどうかは不明なので人数には含めない形でお願いします」
と話した。


例年通り、回覧板で手伝いを募ったが申し出は無かった。


7月の定例会で、最終的に手伝いをして貰えるかと聞かれることは分かっていたので、遥希に
「夏祭りの手伝いだけど……」
と聞いたが、今度は
「分からない!って言ったでしょ!!」
という返事だった。

定例会では、最終的に
手伝いが出来るかは8月になってみないと分からない。 と伝えた。


7月下旬に、自治会から手伝いをしてくれる男性の役割分担表が出来たということで手紙を受け取った。

遥希の名前はあくまでも補助という形で、当日に顔を出せたらで良いというくらいの役割が振られていた。

手紙を受け取った私は遥希に
「夏祭り、参加出来そう?まだ分からないよね?」
と聞いた。

すると、今まで何ヵ月も同じようなことばかり言われた遥希はそれに苛立ち
「分からない!って何度言えば分かるの!?」
と私を怒鳴り付けた。

「役割分担表が出来たから聞いただけだよ」
と静かに言ったが
「出れるかどうかなんて分からないよ!何で引き受けてくるんだよ!」
と再び怒鳴ってきた。

「引き受けては居ないよ。パパの役割は”出れたらお願いします”というものだから、当日に参加出来なくても大丈夫だよ。ただ、参加出来るならお願いしたいことが決まっ……」
説明していた私の体が突き飛ばされたのはその時だった。

「上から目線で物を言うな!!」

遥希は鬼のような形相で倒れた私を見下ろしていた。

「違うよ!聞いて!!」
私は懸命に説明をしようとしたが、遥希は聞く耳を持たなかった。

「何で育成会の手伝いなんて俺がしなくちゃいけないんだよ!勝手に蓮華が引き受けたんだろ!!巻き込むなよ!!」


確かに育成会の役員の仕事は私のものだ。
けれど、学校へ登校班で登校するためには その育成会に入らなくてはならない。
その育成会に居るには役員を引き受けることが前提だ。

まして、夏祭りは自治会が主催だ。
我が家も自治会に入っている。
これは育成会からでは無く、自治会の仕事でもあるのだ。


「毎週毎週、育成会だ、定例会だって昼過ぎまで集まって、決めてくるのはそんなに下らない役割分担なのか!!」


なおも私を怒鳴り付けてくる遥希を私はやりきれない気持ちで見つめるしかありませんでした。



ここまで読んでくださり有難うございます。

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